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今回は『歴史思考』についてレビューと要約の記事となります。
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著者
深井龍之介(ふかい・りゅうのすけ)
株式会社COTEN代表取締役CEO
島根県出雲市出身。大学卒業後、大手電機メーカーや複数のベンチャー企業の取締役・社外取締役などを経て、2016年に株式会社COTENを設立。「メタ認知を高めるきっかけを提供する」をミッションに掲げ、3500年分の世界史情報を体系的に整理。数百冊の本を読んで初めて分かるような社会や人間の傾向・行動パターンを、誰もが抽出可能にする「世界史データベース」を開発中。COTENの広報活動として「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」を配信。2019年には、「JAPAN PODCAST AWARDS2019」で大賞とSpotify賞をダブル受賞。Apple Podcast総合ランキング1位。
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1. 本書の概要
『歴史思考』は、深井龍之介氏による「歴史を通して現代の問題に対処するための思考法」をテーマにした書籍です。歴史と聞くと、年号や出来事を覚える学問と捉えがちですが、本書はその枠を超えて、歴史の偉人たちの人生を通じて「当たり前」を疑い、新しい視点や考え方を獲得することを提案しています。イエス・キリストやマハトマ・ガンディー、カーネル・サンダースといった偉人たちが、必ずしも完璧ではなく、多くの失敗や葛藤を経て成功に至ったエピソードが、非常に身近に感じられる形で紹介されています。また、歴史を学ぶことが単なる知識の蓄積ではなく、自己の問題解決や成長に役立つことを強調しています。
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2. 本書の要約
『歴史思考』は、歴史を一歩引いた視点で捉え、現代の悩みや課題に適用するための思考法を学べる本です。以下、各章の内容を簡単にまとめます。
- プロローグ:僕たちの「当たり前」を疑え
深井氏は、チンギス・カンのような偉大なリーダーたちでさえも、時代や文化の「当たり前」に挑戦し、革新をもたらしてきたことを指摘しています。歴史の視点を持つことで、私たちの現在の「常識」が必ずしも普遍的なものではないことに気づけるというメッセージです。 - 第1章:スーパースターも凡人だった
イエス・キリストや孔子といった歴史のスーパースターたちも、最初から偉大な存在ではなかったことを描きます。彼らの成功には多くの試行錯誤があったことを知ることで、完璧主義に陥らず、成長の過程を楽しむ姿勢が大切であることが示されています。 - 第2章:100%完璧な人間なんていない
マハトマ・ガンディーの内向的で引っ込み思案な性格や、カーネル・サンダースの失敗続きの人生が紹介されます。これらの人物は、自らの弱さや失敗を克服して成功を掴んでおり、その過程を通じて、失敗を恐れない生き方が推奨されています。 - 第3章:人生のクライマックスは終盤に現れる
カーネル・サンダースの物語に焦点を当て、彼が65歳を超えてから成功を収めたことを強調します。この章では、人生のどの段階においても新しい挑戦が可能であり、年齢に囚われずに挑戦し続けることの重要性が述べられています。
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- 第4章:奇跡を起こすのは誰だ
アン・サリヴァンの指導によって、ヘレン・ケラーが奇跡的にコミュニケーションを取り戻したエピソードが紹介されます。この章では、他者のサポートが人生において重要な転機となり得ることが示唆され、人間関係や支援の力を再評価させられます。 - 第5章:千年後のことなんて誰も分からない
武則天やその他の歴史的人物の人生を例に、私たちが未来を完全に予測することは不可能であり、未来に向けた準備は常に不確定要素を含むことが指摘されます。そのため、確実なものを求めるのではなく、不確実性を受け入れることが重要です。 - 第6章:僕らの「当たり前」は非常識
性やお金、命に関する現代社会の「常識」が、歴史を通してみると必ずしも普遍的なものではないことが解説されます。私たちの「当たり前」を疑い、他の視点から物事を考える力が養われます。 - 第7章:悩みの答えは古典にある
アリストテレスやゴータマ・シッダールタの教えが紹介され、古典的な知識や哲学が現代にも通じる解決策を与えてくれることが強調されています。古典の中には、普遍的な知恵が詰まっており、それを現代に活用する術があるとしています。 - エピローグ:今こそ教養が必要なワケ
教養としての歴史や古典を学ぶことが、現代においてますます重要であることがまとめられています。教養は個人の内面を豊かにし、現代の課題に立ち向かうための武器となるとしています。
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3. 印象に残った言葉
- 社会には無数の「当たり前」があり、そこから外れる人が悩んでいる。
悩みの原因は、社会にある常識や価値観。 - 人間の評価を短期的なスパンで下すことにあまり意味はない。
現代の価値観は性急に勝ち負けを決めすぎ。
信じている価値観も、50年後、100年後の人から見たらどうでもいいこと。価値が逆転しているかも。 - ガンジーは子育てに完全に失敗。
歴史も人間も複雑で多面的。 - 「成功しなければいけない」「若くして成功する」これが絶対的な価値になっている。
30代、40代くらいで「成功した」「失敗した」というのは不毛。
歴史上の偉い人の多くが遅咲き。
あなたの人生はまだ、ちまちまと伏線を張っている段階に過ぎない。
クライマックスはまだまだずっと先。 - 「存在すること」が何よりも大事。
生きることに意味があって、その人生がどういう意味を持つかなんてわからない。
人々の「存在」が複雑な連鎖反応を生み、奇跡につながる。
誰だって「奇跡の人」の一人かもしれない。
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- 未来のことは誰にもわからない。
短期的には独裁し、マイナスだった武則天の政治も
数百年スパンでは、中央集権化が進み、世襲から実力主義に変わり、プラスに作用した。
さらに1,000年以上のスパンで見ると、資本主義が生まれず、ヨーロッパに負け、マイナスに作用する。 - 近代ヨーロッパが強くなったり中の一つは、産業革命が起こり資本主義が生まれ経済力と工業力が増したから。
Before :王様が人のお金や土地を奪える状態→自分の利益のために頑張る人がいない
After:財産や権利を保障された個人は自分の意志で利益を追求できる「資本主義」←イギリスは王権が弱かったので、個人が経済活動しやすく、産業革命が起こった。 - 歴史は複雑で簡単ではない。
今、悪く感じられる物事が、のちのちあなたを救うかもしれない。 - 「当たり前」は歴史的に見れば全然当たり前ではない。
- 人類史を見ると男性同士の関係も普通。
プラトン、ソクラテス、アレクサンドロス大王、織田信長、武田信玄、奥川家光など否定的なイメージを持たれるようになったのは、ユダヤ教とキリスト教の影響
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- 社会の価値観は変わるもの。
文化はパッケージで輸入されるもの。シリコンバレー企業に対抗と併せて、Tシャツ、ジーンズで仕事をする文化がパッケージで入ってくる。「スーツを着るのはダサい」という価値観の広がり。
←明治時代に欧米から取り入れた「スーツは格好いい」という価値観を今度は否定する。 - 「稼ぐ人が偉い」のも最近の価値観。
近現代の資本主義社会の中で通用する価値観。
江戸時代は公家や武士、キリスト教では信仰心の篤さ。 - 命の価値も、とても低かった。
兄弟で殺し合いも戦国時代はよくあった、農民たちの「口減らし」。
→絶対的な価値観は存在しない。 - ブッタは、人間が本来、コントロールできないことをコントロールできると思い込むことを「執着」と呼んだ。
- この世の物事はすべてうつろう。
だから「絶対」は存在しない。
確実に存在するように見えている「私」でさえ絶対ではない。
様々なモノ事との関係によって、今、ここに存在しているように感じられるだけ。 - 現代は、生き方を選ばなければいけない時代。
特定の価値観に依存しない方が楽。
その価値観を唯一絶対とは思い込まず、他の価値観も認めておく方が楽。
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4. 感想とレビュー
『歴史思考』は、歴史を単なる過去の出来事として捉えるのではなく、現代に生きる私たちの「思考」を鍛えるためのツールとして活用する視点を提供してくれます。特に印象的だったのは、登場する偉人たちが完璧ではなく、むしろ多くの失敗や挫折を経験していたことです。これにより、歴史を学ぶことが自己の成長や困難を乗り越えるヒントとなることを強く実感しました。
また、チンギス・カンやカーネル・サンダースのように、常識に囚われない生き方が成功を導いたという点は、現代のビジネスや人生にも大いに通じる内容です。本書は、歴史の教訓を現代の読者に非常に身近に感じさせ、日常の悩みに対しても新しい視点で考え直すきっかけを提供してくれます。
歴史を学びながら自己の思考を深める素晴らしい一冊であり、歴史に対する苦手意識がある人にもぜひ手に取ってほしい作品です。
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5. まとめ
『歴史思考』は、歴史の偉人たちのエピソードを通して、「当たり前を疑う」思考法を学ぶ一冊です。歴史上の成功者たちも多くの失敗や困難を乗り越えた凡人であり、その過程から現代にも通じる教訓が得られることを教えてくれます。特に、自分の常識や固定観念を見直し、違った視点で物事を捉える力が身につく内容が満載です。
歴史を学ぶことが、単なる知識の蓄積ではなく、自己成長や問題解決に繋がる視点を与えてくれる点で、非常に価値のある一冊です。悩みや課題を抱えている人、現代社会の「当たり前」に疑問を感じている人には、ぜひおすすめしたい本です。
最後まで読んでいただきまして、
ありがとうございました。
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背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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