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今回は『社内プレゼンの質疑応答術』についてレビューと要約の記事となります。
著者
前田 鎌利(まえだ・かまり)
書家・プレゼンテーションクリエイター
1973年福井県出身。東京学芸大学教育学部書道科卒業。5歳より書を始め、独立書家として活動しながら光通信、J-Phone、Vodafone、ソフトバンクに従事。
2010年、孫正義氏の後継者育成機関「ソフトバンクアカデミア」の第1期生として選考され、初年度1位の成績を修める。
孫正義氏の資料作成にも携わり、プレゼンテーションスキルはソフトバンク社内のプレゼンテーション研修プログラムとして採用され後に書籍化。累計25万部を超えるプレゼンテーションの定番書となる。
2013年にソフトバンクを退社し、未来へ書をはじめとした日本の文化を継承していく「継未-TUGUMI-」を設立。全国700名を超える生徒が通う教室を経営している。また、書家としてJリーグ「絶対突破」、ソフトバンク「志高く」、JAXA「こうのとり」、羽田空港「翼」をはじめとして多くの書を揮毫。個展・ライブパフォーマンスは国内のみならず、NY、フランス、イタリア、イギリス、スイス、中国、韓国、台湾、シンガポール、タイなど海外でも精力的に活動する。また17年に及ぶビジネス経験を元にしたビジネススキルの企業研修・講演等は年間200を超える。
著書『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)『最高のリーダーは2分で決める』(ソフトバンククリエイティブ)『ミニマム・プレゼンテーション』『『入社3年目までに押さえたい 社内プレゼンの攻略術』(すばる舎)など
1. 本書の概要
『社内プレゼンの質疑応答術』は、ビジネスにおける社内プレゼンで、最も重要でありながら多くの人が苦手とする「質疑応答」に特化した一冊です。著者の前田鎌利氏は、プレゼンの達人として知られ、質疑応答を制することでプレゼンを成功に導くための具体的なノウハウを紹介しています。社内での提案やプロジェクトの承認を得る場面で、どのように質問に対応し、的確に答えるかを、実践的かつ図解を交えながら解説しています。
プレゼンの準備自体はしっかりしているものの、質疑応答で思わぬ質問が飛び出し、その場で頭が真っ白になってしまった経験がある方も多いでしょう。本書では、そうした「予想外の質問」に対する対応力を鍛えるためのチェックリストや、質問への具体的な切り返し方を50パターン紹介。さらに、質疑応答に特化した練習方法も提供されており、すぐに実践できる内容です。質疑応答が弱点だと感じている人にとって、強力な味方となる一冊です。
2. 本書の要約
第1章 社内プレゼンの構造
社内プレゼンの目的は、単なる情報の伝達ではなく、決裁者を納得させることです。そのため、単に資料やデータを整えるだけでは不十分です。本章では、社内プレゼンがどのような構造で成り立っているのかを詳しく解説しています。特に、プレゼン自体よりも質疑応答が重視される理由や、質疑応答の重要性を示す事例が挙げられています。
第2章 「プレゼンの話し方」を磨く
プレゼンの話し方は、相手に自信を伝えるための重要なスキルです。本章では、プレゼンの構成や言葉遣い、声のトーンやリズムなど、効果的な話し方の技術について解説されています。相手に強い印象を残すための具体的なテクニックが紹介されており、例えば、「要点を3つにまとめる」「感情を込めて話す」などが挙げられます。
第3章 「質疑応答の話し方」を磨く
質疑応答では、短時間で要点を的確に伝えることが求められます。本章では、「聞かれそうな質問」と「聞かれると嫌な質問」にどう対応すれば良いか、具体的なアプローチ方法が示されています。「聞かれそうな質問」には詳細や理由、根拠を明確に説明し、「聞かれると嫌な質問」には質問の背景を想像し、相手の意図を理解することが重要です。さらに、質疑応答をスムーズに行うための「即答スキル」を高めるための練習方法も紹介されています。
第4章 社内プレゼンの準備と実践
本章では、プレゼンの準備段階で何をどのように意識すべきかについて、具体的なステップを解説しています。プレゼン本体だけでなく、質疑応答の準備にもしっかりと時間をかけることが強調されています。例えば、プレゼン前に「よくある質問」と「難問リスト」を作成し、それに対する答えを準備しておくことが勧められています。また、プレゼンのリハーサルに質疑応答の練習も取り入れ、想定外の質問にも冷静に対処できるようにすることが大切です。
3. ポイント
- UCA時代とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)
状況に応じて、いかに早くキャッチアップして課題を解決していくかが大切 - プレゼンを1枚のサマリーにまとめる
課題・原因・解決策・効果・スケジュール・メリット・デメリット - 決裁者は、話の途中でプレゼンターが伝えたいことがだいたい理解できるので、「で、結局どうしたいの?」「中身は大体わかるから、どうするの?」を早く結論で知りたい。
- 社内プレゼンの話し方
- 結論+理由(根拠)を話す
- 目線は決裁者:7割、スライド:3割
- 絶えず決裁者の反応を意識
- ポジションはスライドの右側
- 指揮棒・ポインターは使わない
前提条件:スライド=シンプル+ロジカル
課題→原因→解決案→効果(13文字の法則)
- 「あまり好意的に思われていない」反応をキャッチしたときは、なるべくプレゼンを切り上げる。
- プレゼンが終わったら、第一声は「何もしゃべらない」が一番大切
「~以上です」と言って、後は決裁者が何を言うかを待つ - プレゼンのスライド内容が多すぎることに注意
- 質疑応答の基本形
結論→理由
結論「○○です」短く、言い切る
理由「■■だからです」データ(実績、比率)
※前提として質問の意図を理解する - 決裁を取るには、事前準備とやり切る姿勢が大切
質疑応答で聞かれたことに準備をし、質の高い情報を発信する - ワンスライド・ワングラフの作り方で、短時間で理解してもらう
- 決裁者は、短時間で意思決定したい。議論に時間を割きたい。
結論を知りたい
結局に至るロジックを聞きたい - プレゼンの事前チェック
- 話すスピードは速すぎないか
- 短い文章で話してみる
- フィラー(えー、あの・・・、えーと、など)がないか
- トータルのプレゼン時間
- 目線
4. 感想とレビュー
『社内プレゼンの質疑応答術』は、単なる「プレゼンの成功法」ではなく、より重要な「質疑応答」に焦点を当てている点が非常にユニークです。特に、ビジネスの現場で決裁者を前にした場面では、プレゼン内容そのものよりも、質疑応答での受け答えが最終的な意思決定に大きな影響を与えるという指摘には非常に納得感があります。
実際に本書を読んでみると、質疑応答における準備の重要性がこれまで以上に感じられました。私自身、プレゼンの資料作成や話す内容にはかなり時間をかけてきたものの、質疑応答の練習をあまり重視していなかったことに気づかされました。前田氏が紹介する「質疑応答チェックリスト」や「50パターンの質問対応例」は、どんなシチュエーションにも役立つ実用的なツールです。実際にこれらを参考に、いくつかのプレゼンで試してみましたが、結果的にプレゼン全体に自信を持って臨むことができ、質疑応答の場面でも冷静かつ的確に対処できるようになりました。
また、質疑応答の際に大切なのは「正確に答えること」ではなく、「相手に納得してもらうこと」という著者のアドバイスは、非常に印象に残りました。答えに詰まったり、想定外の質問に遭遇した場合でも、相手の真意を理解し、その背景にある問題点やニーズをくみ取って対応する姿勢が大切だという点が、本書を通じて非常に明確に伝わってきました。
加えて、図解やチェックリストが豊富に掲載されており、視覚的にも理解しやすく、具体的なアクションに結びつけやすい点も高評価です。ビジネス書にありがちな堅苦しさは一切なく、実践的なアドバイスが満載で、すぐに日常の業務に役立てることができると感じました。
5. まとめ
『社内プレゼンの質疑応答術』は、ビジネスの現場で確実に成果を上げるための強力なガイドブックです。特に、質疑応答に不安を抱えている方や、プレゼンがうまくいかず悩んでいる方にとっては、一度手に取る価値のある一冊と言えるでしょう。質疑応答に特化したアプローチを取ることで、従来のプレゼン術とは異なる、新しい視点での成功を目指すことができます。
本書を通じて、質疑応答の重要性を再認識し、準備を怠らない姿勢が、プレゼンを制するための鍵であることを強く感じました。質疑応答を制する者が、ビジネスを制する――この言葉を心に留め、次のプレゼンに臨んでみてください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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