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今回は「競争しない競争戦略」についての記事となります。
■著者
山田 英夫
早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授
1955年、東京都生まれ。1981年、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了後、三菱総合研究所入社。1989年、早稲田大学へ移籍、現在に至る。
著書に、『逆転の競争戦略 第5版』『ビジネス・フレームワークの落とし穴』『成功企業に潜むビジネスモデルのルール』『ビジネス版 悪魔の辞典』『経営戦略 第3版』『異業種に学ぶビジネスモデル』『ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門』『なぜ、あの会社は儲かるのか?』『デファクト・スタンダードの競争戦略 第2版』などがある。
■まとめ
- 孫氏の教え
戦略定石を見ると、どの場面にも全面戦争を避けて「戦わないこと」が重要 - 競争地位の類型化

- リーダー企業の戦略定石
①周辺需要拡大
②同質化改革
③非価格対応
すべての企業が一割引きすれば、取扱量が多いためコストを抑えることができるリーダーの利益が最も残る。
④最適シェア維持
80→85%にシェアアUPする営業努力は効率が悪い。企業にとって「美味しくない顧客」を取ることになるので注意。

- 差別化はリーダーと闘う戦略であり、ニッチは、リーダーと闘わない戦略
差別化はリーダーとの違いを強調することで、リーダーのシェアを奪うのが目的<チャレンジャーの戦略>
ニッチ戦略は、リーダーの地位を狙うのではなく、限られた市場において利益を上げていく戦略
→”違い”をリーダーのシェアを奪う武器とするか、リーダーと闘わないバリアとするかの違い。 - リーダー企業の戦略:コストリーダーシップ戦略<経営資源が最大>
- ニッチ企業の戦略:集中戦略<収益の最大化を狙う>
- チャレンジャー企業の戦略:差別化戦略<リーダーの座を狙う>
- リーダー企業が同質化しにくい戦略を取る
企業資産の負債化:リーダー企業の資産が競争価値を持たなくなる戦略
市場資産の負債化:リーダー企業の製品・サービスを購入してきたユーザーにとって、組み換えが難しい製品・サービスを提供する
論理の自縛化:これまでリーダーが顧客に対して発信してきた論理と矛盾する戦略を取る
事業の共食化:リーダーの強みとしている製品・サービスとの共食い関係にある製品・サービスを提供する - 不協和戦略を立てるには、
①リーダーの強みとなる競争の源泉を複数探して1つずつ負債化する
②顧客を教育して賢くし「情報の非対称性」を下げ、同時にバリューチェーンを解体する
→顧客が自ら必要なものだけを購入できる仕組みにする - 協調戦略
相手のバリューチェーンに入り込む。
自社のバリューチェーンの中に機能や製品を取り込むように、他者に積極的に働きかける。 - ニッチ企業において、売上より利益率などを重視する。
- 不協和戦略では、環境変化によって資産と負債が変化することに注意が必要。
■感想
早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)に通っていた友人から推薦されて手に取った。とにかく事例が多いのが本書の特徴。価格競争という不毛な消耗戦から脱し、「競争しない」状態を作ることで利益率を高める。そのための戦略を、「ニッチ戦略」「不協和(ジレンマ)戦略」「協調戦略」の3つに整理して解説している。
ニッチ戦略と差別化の違いが、たくさんの事例をもとに説明されている。新規事業を起こすときに、いきなり市場のリーダーにはなれない。まず、ニッチ市場を探し、そこから広げていく。多くの会社の既存事業は、チャレンジャーか、フォロワーに位置しているため、新規事業の時はマインドチェンジが必要となる。本書を通して、既存・新規事業の戦略立て直しのヒントが見つかるはず。日本企業の事例が多い点も理解を深める助けになります。
最後まで読んでいただきて、ありがとうございました。
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