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今回は『やっぱり見た目が9割』についてレビューと要約の記事となります。
1. 著者の紹介
竹内一郎氏は、劇作家・演出家であり、マンガ原作も手がけるなど、多岐にわたる分野で活躍されているのは前作『人は見た目が9割』と同様です。ペンネーム「さいふうめい」としても知られ、舞台やマンガといった表現活動を通して、言葉だけでなく、非言語コミュニケーションの持つ力、つまり「見た目」の重要性を長年体感されてきました。前作のミリオンセラーから8年、本書『やっぱり見た目が9割』では、その間に得られた新たな視点や社会の変化を踏まえ、「非言語コミュニケーション」の本質、威力、面白さをさらに深く掘り下げています。選挙における候補者の「見た目分析」など、具体的な事例も交えながら、「見た目」が私たちの人間関係や社会生活に与える根強い影響力を改めて示唆する一冊です。
2. 本書の概要
前作『人は見た目が9割』から8年の時を経て刊行された『やっぱり見た目が9割』は、タイトル通り、私たちが依然として「見た目(=非言語情報)」の虜であるという事実を改めて強調します。初対面の0.5秒で相手を判断してしまう人間の本能から、目が輝いている人とそうでない人の違い、オーラのある人とない人の差、さらには面接や人間関係で本当に必要とされる能力まで、あらゆる側面から「見た目」の重要性を論じています。著者は、政治家の「見た目分析」といった時事的な話題から、学校教育における「見た目」の扱いの考察、そして「オーラ」の正体まで、幅広いジャンルを題材に、「非言語コミュニケーション」の奥深さと面白さを解き明かします。前作を読んだ方はもちろん、初めて竹内氏の著作に触れる方にも、人間関係や自己プロデュースを考える上で多くの示唆を与えてくれる一冊です。
3. 本書の要約
『やっぱり見た目が9割』は、前作から8年間の著者の考察と社会の変化を踏まえ、「やっぱり見た目が9割」である理由を多角的に解説しています。
やっぱり「見た目」の虜
- 前作刊行後の社会の変化や、選挙における候補者の「見た目分析」の経験を通して、依然として「見た目(=非言語情報)」が人々の判断に大きな影響を与えていることを改めて指摘します。
- 政治家の髪型一つにもメッセージが込められている例を挙げ、「見た目」が戦略的なコミュニケーションツールとなり得ることを示唆します。
- 『やっぱり見た目が9割』が、意識されがちな「言語情報」の背後にある膨大な「非言語情報=見た目」の面白さや奥深さを理解するきっかけになることを期待しています。
第一印象は0.5秒
- アメリカの心理学者ジョン・マナーの研究を紹介し、人が相手を魅力的な異性、普通の異性、魅力的な同性、普通の同性として判断するのに要する時間はほぼ0.5秒であることを示します。
- この0.5秒で得られる情報は基本的に相手の外見のみであり、私たちは思っている以上に「見た目」で判断し、「見た目」で判断されているという事実を強調します。
- 自分の見た目は完璧だと考える人以外、すべての人に本書が役立つと述べています。
学校教育と「見た目」
- 学校教育では「人を見た目で判断してはならない」と教えられる一方、前作『人は見た目が9割』が教育現場で意外なほど活用されている現状を紹介します。
- 教師たちも建前とは裏腹に、「世の中では見た目がかなり重要である」という認識があり、そのメッセージを何とか子供たちに伝えたいと考えているのではないかという著者の考察を紹介します。
イケメン枠だけれど人気がない人、美人なのに美人扱いされない人
- 世間一般では美男美女であるはずなのに、なぜか華がない人、パッとしない人の存在に疑問を投げかけます。
- その理由を、単なる容姿の良し悪しではなく、第一印象を含む総合的な「見た目」にあると分析します。「見た目」とは容姿だけでなく、身体、表情、動作、色、音、匂いなど、その人から発信されるすべての情報を指すことを改めて定義します。
- 私たちは「見た目」による第一印象から、相手の性格まで判断していると述べ、好感のある「見た目」とは、好感のあるしゃべり方、表情、姿勢、視線の向け方、リアクション、距離感、声、匂い、服装、髪型といった要素の総合力であると解説します。
言語情報と非言語情報
- 「見た目」は、言語情報以外の情報、つまり「非言語情報」を象徴する言葉であると説明します。
- 生きていく上で、「非言語情報」を読み取る能力が重要であり、「発信」と「受信」の両面において、非言語コミュニケーションが大きな割合を占めることを強調します。「なんとなく苦手だな」と感じる「なんとなく」の正体は、意識していない「見た目=非言語情報」であることが多いと指摘します。
感じの良い人
- 「見た目」の良い人とは、結局のところ「感じの良い人」のことではないかと提起します。
- コミュニケーション能力においては、「発信」能力だけでなく、周囲の反応や相手の求めている空気を察知する「受信」能力が重要であり、的確に発信するためにはまず「非言語情報」を受信する力が必要不可欠であることを解説します。
- メールなどの文字だけのコミュニケーションにおいても、「見た目」(レイアウト、文体など)が相手に与える印象を大きく左右する例を挙げ、人からどう見られるかを意識している人は、やはりそれなりに努力していると述べます。
まとめ
- 「非言語情報」を使いこなすためには、読書を通して想像力を養うことが大切であると説きます。文字を絵や立体としてイメージする作業は、コミュニケーションのチャンネルを増やすことにつながります。
- 「非言語情報」の一つである「オーラ」について、実際にはオーラを発している人がいるのではなく、「あのスターが目の前にいる!」という受け手側の高揚感をオーラと名付けて理解しているのではないかという著者の考察を紹介します。
- 私たちは外見的特徴からある程度の性格をイメージしており、「目力」のない人は魅力的には映らないと指摘し、本書を通して「自分の見た目に責任をとろう」というメッセージを伝えています。
- 最後に、就活生が面接前に自分の声を録音して客観的に分析するなど、自分の印象を知る方法をアドバイスしています。
『やっぱり見た目が9割』は、前作の内容を踏まえつつ、より多角的な視点から「見た目」の重要性を再認識させてくれる一冊です。
4. ここだけは押さえたい一文
「人は相手を〇・五秒で判断する生き物なのだから――」
『やっぱり見た目が9割』
「見た目について学ぶことは、自分を見直すことになり、コミュニケーション能力を向上させる」
『やっぱり見た目が9割』
5. 感想とレビュー
前作『人は見た目が9割』から8年、竹内一郎氏が再び「見た目」の重要性を説く『やっぱり見た目が9割』は、単なる焼き直しではなく、その間に著者が得た新たな知見や社会の変化を反映し、より深く、そして面白く「非言語コミュニケーション」の本質に迫っています。
特に、政治家の「見た目分析」は非常に興味深く、政策や言葉だけでなく、髪型や表情といった非言語的な要素が、有権者の判断に少なからず影響を与えているという事実に改めて気づかされました。また、学校教育における「見た目」の扱いの考察は、建前と現実のギャップを示唆しており、考えさせられる内容でした。
『やっぱり見た目が9割』では、「見た目」を単なる容姿の良し悪しとして捉えるのではなく、その人から発せられるあらゆる情報、つまり声のトーン、話し方、表情、仕草、服装、匂い、雰囲気など、総合的な印象として捉えることの重要性が強調されています。「感じの良い人」とは、容姿だけでなく、これらの非言語的な要素全体を通して、相手に好感を与えることができる人なのだと理解しました。
また、「オーラ」の解釈についても、単なる神秘的な力ではなく、受け手側の高揚感や、実際に立体として目の前に現れた時の情報量の多さからくるインパクトであるという説明は、非常に納得感がありました。
前作を読んだ方はもちろん、初めて竹内氏の著作に触れる方にも、『やっぱり見た目が9割』は「見た目」というフィルターを通して、人間関係やコミュニケーション、さらには社会現象までを見つめ直すきっかけを与えてくれるはずです。「やっぱり見た目が9割」という率直なタイトルに、少しドキッとしながらも、ページをめくる手が止まらない、そんな魅力的な一冊でした。
6. まとめ
『やっぱり見た目が9割』は、ミリオンセラーとなった前作『人は見た目が9割』から8年、竹内一郎氏が改めて「見た目(=非言語情報)」の重要性を多角的に論じた一冊です。初対面の印象から、政治、教育、さらには「オーラ」の正体まで、幅広いテーマを通して、「見た目」が私たちの判断や人間関係に深く根ざしていることを示唆しています。前作を読んだ方はもちろん、非言語コミュニケーションに関心のあるすべての人にとって、新たな発見と気づきを与えてくれる、読み応えのある一冊です。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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