皆さん、こんにちは!日々のマネジメント業務、本当にお疲れ様です。マネージャーとして、チームの目標達成とメンバーの育成、そしてご自身の重要な業務…たくさんの役割を抱え、毎日が時間との戦いだと感じている方も多いのではないでしょうか?
「もっと自分の戦略を考える時間が欲しい」
「でも、部下に任せると、かえって時間がかかる気がする…」
そんなジレンマを抱えていませんか?
今日のテーマは、まさにそんな悩みを解決するための鍵、「マネージャーが自身の仕事を実行するための『委任する技術』」について、深く掘り下げていきます。
この記事は、『部下をもったらいちばん最初に読む本』 橋本 拓也 (著)を参考に書かせていただきました。
委任とは、単に仕事を「手放す」ことではありません。それは、メンバーの成長を促し、チーム全体の生産性を高め、そして何より、マネージャー自身が未来を創るための時間を生み出す、戦略的な「技術」なのです。
この記事を通して、あなたが自信を持って仕事を委任し、チームと共にさらに高く飛躍するためのヒントを得ていただければ幸いです。
育成の意図を持って委任する。放任しない ~信頼と成長の架け橋~
「部下に仕事を任せる」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?もしそれが「ただ放っておく」ことだとしたら、それは大きな間違いです。真の委任は、明確な育成の意図を持って行われます。
委任は、メンバーに新しい挑戦の機会を与え、スキルアップを促す絶好のチャンスです。彼らが自ら考え、判断し、行動することで、経験が知識となり、自信へと繋がっていきます。だからこそ、仕事を渡す際には、「なぜこの仕事をあなたに任せるのか」「この仕事を通して、あなたにどう成長してほしいのか」という育成の狙いを具体的に伝えることが不可欠です。
もちろん、最初から完璧にできるメンバーはいません。しかし、リーダーは彼らの可能性を信じ、必要に応じて適切なサポートやフィードバックを提供する伴走者であるべきです。丸投げではなく、適切なタイミングでの声かけや進捗確認、困ったときの相談相手になることで、メンバーは安心して挑戦し、着実に成長していくことができるでしょう。放任ではなく、意図的な育成を伴う委任こそが、チーム全体の底上げに繋がるのです。
第1象限の仕事を委任し、マネージャーは第2象限の領域の仕事に移行する ~未来を創る時間の確保~
時間管理のマトリクスをご存じでしょうか?緊急度と重要度で仕事を分類する考え方です。
- 第1象限:緊急かつ重要(今すぐやるべきこと、トラブル対応など)
- 第2象限:緊急ではないが重要(未来のための投資、戦略立案、人材育成など)
- 第3象限:緊急だが重要ではない(割り込み業務、不要な会議など)
- 第4象限:緊急でも重要でもない(無駄な時間、暇つぶしなど)
多くのマネージャーは、目の前の「緊急かつ重要」な第1象限の仕事に追われがちです。しかし、真に組織を成長させるのは、未来を見据えた「緊急ではないが重要」な第2象限の仕事です。
委任の技術を磨くことで、あなたは第1象限の業務を部下に託し、自身は第2象限の領域に時間とエネルギーを集中できるようになります。例えば、日常的な報告書のチェックやルーティン業務などは積極的に委任し、自分は長期的な戦略立案、新たな事業機会の探索、あるいはメンバー個々のキャリアプラン支援といった、より本質的なマネージャー業務に集中するのです。
この移行こそが、マネージャーが未来を創り、組織全体の価値を高めるための時間を確保する上で、極めて重要な戦略となります。
自分の仕事はできるだけ同行指導にし、同時に誰かの育成を兼ねている時間にする ~一石二鳥の学びの場~
マネージャーとして、どうしても自分で対応しなければならない業務、あるいは、あなたの専門性が最も活かされる業務もあるでしょう。そういった「自分の仕事」をこなす際にも、ただ一人で完結させるのではなく、できる限り同行指導の機会と捉えましょう。
例えば、重要な顧客への訪問、複雑な交渉、新しいプロジェクトの立ち上げなど、あなたの知識や経験が詰まった業務に、若手メンバーを同行させるのです。
- 目的を共有する: なぜこの顧客と会うのか、今回の交渉のポイントは何かを事前に説明する。
- プロセスを見せる: 実際にどのように状況判断し、言葉を選び、相手の反応を見ながら進めるのかを実演する。
- 思考プロセスを解説する: その場で「なぜ今、この質問をしたのか」「この提案を選んだ理由は何か」といった、あなたの思考の背景を共有する。
これは、メンバーにとって生きた教材であり、座学では得られない実践的な学びの場となります。同時に、あなたは「自分の仕事」をこなしながら、無意識のうちに誰かの育成を兼ねている時間にすることができます。一石二鳥どころか、一石三鳥にもなるこの方法は、マネージャーの時間の有効活用とメンバーの成長を同時に実現する、賢い委任の形です。
毎日「プライムタイム」を確保し、未来を考える時間を持つ ~戦略的思考の習慣化~
前述の第2象限の仕事に移行するためには、意識的にそのための時間を作り出す必要があります。そのために推奨したいのが、毎日「プライムタイム」を確保することです。
「プライムタイム」とは、あなたが最も集中でき、創造的な思考ができる時間帯のこと。人によっては朝一番かもしれませんし、午後の静かな時間かもしれません。その時間帯を、あらかじめスケジュールにブロックし、他の割り込みが入らないように徹底するのです。
このプライムタイムで何をするか? それは、まさに未来を考える時間です。
- チームの長期的な戦略を練る。
- 新しい事業アイデアを検討する。
- メンバー個々のキャリアプランを考える。
- 業界のトレンドを深く分析する。
- 自分のリーダーシップについて内省する。
この「考える時間」は、短期的な成果には直結しないかもしれませんが、中長期的な組織の成長には不可欠です。毎日、意識的にこの時間を確保し、未来を見据える習慣をつけることで、あなたは「目の前の業務に追われるマネージャー」から「未来を創るリーダー」へと変貌していくでしょう。
任せるときは「なぜあなたに任せるのか」理由を伝える ~信頼と期待を明確に~
仕事を委任する際、「これ、お願いね」とだけ伝えていませんか?それでは、メンバーは単なる「作業者」だと感じてしまうかもしれません。
委任の質を高めるためには、「なぜあなたに任せるのか」その理由を具体的に伝えることが非常に重要です。
- 「〇〇さんの強みである分析力は、このプロジェクトの成功に不可欠だと考えているから、ぜひお願いしたいんだ。」
- 「君は以前、似たような課題を素晴らしい形で解決した経験がある。その経験を活かして、今回の件も突破してくれると期待しているよ。」
- 「将来的に〇〇のリーダーになってほしいから、今のうちにこの業務を経験して、視野を広げてほしいんだ。」
このように理由を伝えることで、メンバーは単なる業務の押し付けではなく、「自分は信頼され、期待されている」と感じます。自分の強みが認められていること、自分の成長に繋がることを理解することで、彼らは主体的に、そして高いモチベーションを持って業務に取り組むことができるでしょう。これは、委任が育成に繋がるための、決定的な一歩です。
任せっ放しにせず、途中経過で求める報連相の基準を伝える ~自律を促すフレームワーク~
「任せたはいいけど、結局うまくいかなくて、また自分がやり直す羽目になった…」これは、委任の失敗談としてよく聞かれる声です。この原因の多くは、「任せっ放し」にしてしまうことにあります。
委任とは、「丸投げ」ではありません。メンバーの自律性を尊重しつつも、適切なタイミングで進捗を確認し、必要なサポートを提供するフォローアップが不可欠です。
そのためには、仕事を任せる際に、途中経過で求める報連相の基準を明確に伝えましょう。
- 「この段階まで来たら、一度相談してほしい」
- 「週に一度、〇曜日の〇時に進捗報告をお願いしたい」
- 「もし、〇〇という問題が発生したら、すぐに連絡してほしい」
- 「最終的な判断は〇〇さんに任せるけれど、途中で〇〇の状況になったら、私に相談してほしい」
このように、事前に「いつ、何を、どう報告してほしいか」の基準を伝えることで、メンバーは安心して作業を進めることができます。また、マネージャーも過度な不安を抱えることなく、適切に状況を把握し、必要なタイミングでアドバイスや方向転換を促すことができます。これは、メンバーの自律を促しつつ、リスクを管理する、絶妙なバランス感覚を要する技術です。
アチーブメントゾーンの最適目標勾配の仕事を委任する ~ストレッチと成功体験のサイクル~
最後に、最も重要な委任の技術の一つです。メンバーに仕事を委任する際は、そのメンバーにとって「アチーブメントゾーン(達成可能領域)の最適目標勾配」の仕事を委任することを意識しましょう。
これは、メンバーの現在の能力より「少しだけ難しい」と感じる程度の、絶妙なレベルの仕事を任せるということです。
- 簡単すぎる仕事(コンフォートゾーン): 成長や学びが少ない。退屈を感じやすい。
- 難しすぎる仕事(パニックゾーン): 挫折感や無力感に繋がりやすい。モチベーションの低下を招く。
- 最適目標勾配の仕事(アチーブメントゾーン): 適度な挑戦があり、頑張れば達成できるという手応えがある。
この「少しだけ難しい」という挑戦は、メンバーに「もう一歩頑張ればできる!」というモチベーションを与え、成功体験へと導きます。そして、成功体験は自信となり、次のより高い目標への挑戦意欲へと繋がります。
メンバーの能力や経験を正確に見極め、それぞれに最適なレベルの仕事を委任することで、彼らは常に成長の実感を得ながら、高いパフォーマンスを発揮できるようになります。これは、メンバーの才能を最大限に引き出し、持続的な成長サイクルを生み出す、委任の真髄と言えるでしょう。
まとめ
今回のテーマ「マネージャーが自身の仕事を実行するための『委任する技術』」は、単なる業務分担の枠を超え、マネージャー自身の時間創出、チームの成長、そして組織全体の生産性向上に繋がる、戦略的なアプローチについて深く探求してきました。
委任は、明確な育成の意図を持って行われるべきです。放任ではなく、メンバーの成長を促す伴走者として、信頼と成長の架け橋を築きましょう。
第1象限の仕事を委任し、マネージャー自身は第2象限の領域に集中することで、未来を創るための時間を確保できます。さらに、自分の仕事はできるだけ同行指導とし、同時に誰かの育成を兼ねることで、一石二鳥の学びの場を生み出しましょう。
日々の忙しさの中でも、意識的に「プライムタイム」を確保し、戦略的思考の習慣を身につけることが重要です。
仕事を任せる際には、「なぜあなたに任せるのか」その理由を具体的に伝え、メンバーに信頼と期待を明確に示しましょう。
そして、任せっ放しにせず、途中経過で求める報連相の基準を伝えることで、メンバーの自律を促しつつ、適切なフォローアップを行うことができます。
最後に、メンバーの能力を見極め、アチーブメントゾーンの最適目標勾配の仕事を委任すること。これは、彼らの潜在能力を引き出し、成功体験を通じて持続的な成長サイクルを生み出すための、最も重要な技術です。
これらの「委任する技術」を意識的に実践し、磨き続けることで、あなたは「目の前の業務に追われるマネージャー」から「未来を創り、チームを覚醒させるリーダー」へと変貌していくことができるでしょう。
さあ、今日から「委任する技術」をあなたのマネジメントに取り入れてみませんか?きっと、あなたの時間が増え、メンバーは大きく成長し、チーム全体がさらに輝きを増していくはずです。
詳しく知りたい方は、『部下をもったらいちばん最初に読む本』 橋本 拓也 (著)を手に取ってください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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