マーケティング実務者必読!フレームワーク「STP」を究める古典4冊

レコメンド-超個人的おすすめ-
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「時間を無駄にせず、確実に良書と出会いたい」

「マーケティングフレームワークの功罪」菅 恭一 (著)で紹介されていたSTPに関する読むべき4冊を紹介します。

マーケティングの基礎を学ぶ上で、1丁目1番地ともいえる最も重要なフレームワークの一つがSTPです。

STPの基礎的な理解はもちろん、コモディティ化された市場の中で、違いのあるポジショニングを確立するための考え方について学ぶことができます。


1. 『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』

この本は、「マーケティングのバイブル」と称される、フィリップ・コトラーとケビン・ケラーによる教科書です。マーケティングを体系的に学ぶ上で、これ以上ないほど網羅的な内容となっています。STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)は、本書で提示されるマーケティング戦略の核となるフレームワークです。

本書は、まずマーケティングの基本概念から丁寧に解説します。市場を細分化する「セグメンテーション」の重要性を、消費者行動の分析を通して解き明かします。顧客のニーズや属性、購買行動パターンなど、多様な切り口から市場を捉える方法が示されています。

次に、どのセグメントに焦点を当てるかという「ターゲティング」について、具体的な評価基準や戦略が解説されます。最も魅力的な顧客層を選び、そこに経営資源を集中させることで、効率的なマーケティング活動が可能になることがわかります。

そして、「ポジショニング」では、顧客の心の中に自社製品のユニークな位置づけを確立する方法を学びます。単なる製品の機能ではなく、ブランドの価値や顧客が感じるベネフィットを明確にすることが、競争優位性を築く鍵であると説いています。

本書の強みは、これらの概念を理論だけでなく、具体的な事例と共に学ぶことができる点です。世界中の有名企業の成功・失敗事例が豊富に紹介されており、読者は抽象的な理論を現実のビジネスに結びつけて理解できます。例えば、大手飲料メーカーがターゲット市場をどう絞り込み、若年層向けのポジショニングをどう確立したか、といった実践的な内容に触れることができます。

また、本書はマーケティングの4P(製品、価格、流通、プロモーション)についても詳しく解説しています。STPで定めた戦略を、4Pの各要素でどう具体化していくか、その一貫性を持たせることの重要性が強調されています。市場の変化が激しい現代において、常に顧客のニーズを捉え、柔軟に戦略を調整していくことの必要性も示唆されています。

この本は、マーケティング担当者だけでなく、経営者や企画担当者、そしてビジネスを学ぶ学生にとっても必読の書です。この一冊を読みこなせば、マーケティングの全体像を深く理解できます。そして、コモディティ化が進む市場で、自社ブランドをどう差別化し、顧客に選ばれ続けるかを考えるための、確固たる基盤を築くことができるでしょう。

2. 『ポジショニング戦略』

この本は、マーケティングの世界に「ポジショニング」という概念を確立させたアル・ライズとジャック・トラウトの古典的名著です。この本が提示するのは、単なる製品の差別化ではなく、顧客の「心の中」に独自のポジションを築くという、革新的な考え方です。

著者は、現代社会が「情報の洪水」に直面していることを指摘します。膨大な広告やメッセージが飛び交う中で、顧客はすべての情報を処理できません。そこで重要になるのが、顧客の記憶に深く刻まれる、シンプルで明確なポジショニングです。この本は、「最初の勝者」になることの重要性や、「後発の戦略」としてニッチ市場を狙う方法など、具体的な戦略を提示しています。

例えば、コンピューター市場でIBMが圧倒的なシェアを持っていた時代に、後発の企業がどう戦うべきか。著者は「巨大な敵(IBM)の逆を行け」とアドバイスします。つまり、IBMが「大型コンピューター」の代名詞なら、対極にある「ミニコンピューター」という新しいカテゴリーを創造し、そこに自社のポジショニングを確立するという戦略です。これは、単に製品の性能を訴求するのではなく、顧客の心の中に新しいカテゴリーを創り出すことで、競争を回避し、市場を独占する思想です。

本書のもう一つの重要なメッセージは、「あなたは何者か」を明確にすることです。すべてのものを手に入れようとすると、何も得られなくなります。ブランドが複数のメッセージを同時に発信すると、顧客は混乱し、最終的に何も記憶に残りません。この本は、ブランドが持つべき「たった一つのメッセージ」をどう見つけ出すか、そのプロセスを教えてくれます。

この本は、長年にわたり、多くのビジネスパーソンに影響を与えてきました。その内容は、単なるマーケティング戦略にとどまりません。リーダーシップ、コミュニケーション、そして事業の立ち上げ方など、あらゆるビジネスの場面で応用できる普遍的な原則が詰まっています。この本を読めば、コモディティ化された市場で、どのようにして他社と差別化し、顧客の心をつかむか、その本質的な答えが見つかるはずです。

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3. 『マーケティング 近視眼 』

この本は、ハーバード・ビジネス・スクールの教授であったセオドア・レビットによる、マーケティングの古典的な論文集です。本書の中心テーマである「マーケティング近視眼」とは、自社の事業を「製品」で定義し、顧客の「ニーズ」を見失うという危険な落とし穴を指します。

レビットは、企業の歴史的な失敗事例を分析して、この現象を鮮やかに示しています。例えば、鉄道会社の事例です。かつて鉄道会社は、自らを「鉄道事業」と定義しました。しかし、顧客が本当に求めていたのは「移動手段」というニーズでした。そのニーズが自動車や飛行機によって満たされると、鉄道会社は衰退していきます。もし、鉄道会社が自社の事業を「移動手段」と定義していたら、彼らは自ら自動車や飛行機を開発し、事業を拡大できたかもしれない。レビットは、この歴史的な教訓を通して、事業の本質を「顧客が解決したい課題」から捉え直すことの重要性を説きます。

この考え方は、STPにおける「セグメンテーション」と深く結びついています。市場を単に製品のカテゴリーで分けるのではなく、顧客が抱える「ニーズ」や「課題」を基準に細分化すること。これが、真の差別化戦略の出発点となります。

本書は、単なるマーケティング理論に留まりません。企業が成長し続けるための本質的な問いを投げかけています。あなたの会社が提供しているものは、本当に顧客が求めているものですか?顧客は、製品そのものではなく、その製品が解決してくれる「課題」や「便益」にお金を払っているのではないでしょうか?

レビットの洞察は、技術革新や市場の変化が激しい現代において、ますます重要になっています。新しい技術や製品に飛びつくあまり、顧客の本質的なニーズを見失う企業は少なくありません。この本を読めば、事業の本質を再定義し、未来の成長を見据えた戦略を立てるための、確固たる羅針盤を得ることができるでしょう。すべてのビジネスパーソンに、自社の事業と顧客を深く見つめ直すきっかけを与えてくれる、哲学的な一冊です。

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4. 『ジョブ理論 』

この本は、イノベーション研究の世界的権威、クレイトン・M・クリステンセンによる画期的な著作です。この本が提示する「ジョブ理論」は、顧客が製品やサービスを「雇用する(Hire)」というユニークな視点から、イノベーションの本質を解き明かします。

クリステンセンは、多くの企業が、顧客の属性(年齢、性別、収入など)に基づいて市場をセグメンテーションしていることの限界を指摘します。なぜなら、顧客は特定の製品を「買う」のではなく、「あるジョブ(片付けたい用事)」を片付けるために、その製品を「雇う」からです。

例えば、牛乳の消費量を増やすために、牛乳自体の味やパッケージを改良しても、効果は限定的かもしれません。しかし、もし顧客が「朝の慌ただしい時間帯に、簡単にエネルギーを補給したい」というジョブを片付けたいのだとしたら、牛乳はシリアルやヨーグルト、プロテインバーといった競合と戦うことになります。クリステンセンは、顧客がどんな「ジョブ」を片付けたくて製品を雇うのか、その背景にある真のニーズを深く掘り下げることの重要性を説きます。

この考え方は、STPにおける「セグメンテーション」に革命をもたらします。市場を顧客の属性や製品のカテゴリーで分けるのではなく、顧客が解決したい「ジョブ」で細分化するのです。これにより、従来の市場には見えなかった新しい機会を発見できます。

本書は、コモディティ化された市場で、どのようにして他社と明確に差別化するか、そのための新しい視点を提供してくれます。顧客の「ジョブ」を深く理解し、そのジョブを最も効果的に片付けるためのソリューションを開発すること。これが、持続的なイノベーションを生み出す鍵だと説きます。

この本を読めば、あなたは顧客の行動を、全く新しい視点から見ることができるようになります。なぜ顧客はあなたの製品を選んだのか。そして、なぜ顧客は競合の製品に乗り換えたのか。その答えが「ジョブ」という概念を通じて、鮮やかに見えてくるでしょう。すべてのビジネスパーソンに、顧客の本質的なニーズを見抜く力を与えてくれる、深い洞察に満ちた一冊です。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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