「時間を無駄にせず、確実に良書と出会いたい」
平木典子氏の著書『言いにくいことが言えるようになる伝え方』で紹介されていた『読むと「アサーション」がよくわかる参考図書』を紹介します
アサーションとは、「自分も相手も大切にする自己表現」のことです。攻撃的(アグレッシブ)でも、非主張的(ノン・アサーティブ)でもない、健全なコミュニケーションの形を身につけるための考え方とスキルです。
平木典子氏が推薦するこれらの書籍は、アサーションの基本理論から具体的なトレーニング方法、そして聞く技術といった関連スキルまでを体系的に学べるラインナップとなっています。
1. 図解 自分の気持ちをきちんと<伝える>技術
この本は、アサーションの核心である「自分の正直な気持ちや考えを、相手を傷つけずに適切に表現する技術」に焦点を当てた入門書です。
アサーションの基本原則を、豊富な図解と具体的な会話例を用いて、非常にわかりやすく解説しています。感情を抑え込んでしまう「ノン・アサーティブ」な状態や、相手を攻撃してしまう「アグレッシブ」な状態から脱却し、「アサーティブ」な状態へ移行するためのステップが明確に示されています。
特に、「I(アイ)メッセージ」を使って、「私はこう感じる」と主語を自分にして伝える手法や、状況、感情、要求を整理して伝える具体的なフレームワークが役立ちます。このフレームワークを活用することで、言いにくいことでも感情的にならず、論理的かつ誠実に相手に伝えることができるようになります。
理論だけでなく実践を重視した構成となっており、人間関係のストレスを軽減し、自己肯定感を高めたいと考えるすべての人にとって、すぐに活用できるコミュニケーションスキルを身につけるための良書です。
2. 自己主張トレーニング 改訂新版
この本は、アサーションの概念を日本に広めた平木典子氏自身による、アサーションを体系的に学ぶための実践的なトレーニングブックです。
改訂新版では、現代の多様な人間関係やビジネスシーンに合わせた内容が加筆・修正されています。本書は、アサーションの理論を学ぶだけでなく、具体的な場面設定に基づくロールプレイングや演習を通じて、スキルを「体得」することを目的としています。
アサーションの四つの柱(状況の把握、感情の認識、要求の表明、結果の受容)に基づいた訓練プログラムが組まれており、読者は自身のコミュニケーションの傾向を自己診断しながら、段階的にアサーション能力を高めることができます。
例えば、「NOと言う技術」「批判への対処法」「依頼や要求をする際の言い方」など、具体的な課題解決に直結するトレーニングが豊富に用意されています。
自分のコミュニケーションスタイルを変えたいと強く願う人や、研修プログラムのテキストとしても適しています。自己表現力を根底から鍛え上げたいと考える人にとって、長年にわたり信頼されてきた実績あるトレーニングの決定版です。
3. アサーション入門――自分も相手も大切にする自己表現法
この本は、アサーションという概念を初めて学ぶ人にとって、その理念と基本原理を最も優しく、かつ深く理解できる「入門書」としての役割を果たします。
アサーションが、単なるテクニックではなく、「人間関係における自己尊重と相互尊重の哲学」であることを明確に提示しています。アサーティブな態度の重要性、そして非主張的な人、攻撃的な人の心理的背景についても深く掘り下げています。
特に、なぜ日本人が自己主張を苦手とするのかという文化的な背景にも触れられており、読者は自分のコミュニケーションの傾向がどこから来ているのかを客観的に見つめることができます。本書を読むと、アサーションが、相手の権利を侵害することなく、自分の権利を守るための、倫理的で健全なコミュニケーションであることを理解できます。
職場の人間関係、家族や友人との対話など、あらゆる場面で対立を避けつつ、建設的な意見交換を行うための土台が学べます。アサーションという概念を体系的に捉え、その本質を理解したいと考える人にとって、最適なスタート地点となる一冊です。
4. 図解 相手の気持ちをきちんと<聞く>技術
この本は、アサーションが「伝える技術」と認識されがちな中で、「聞くこと(傾聴)」の重要性を強調し、コミュニケーションの両輪を完成させるための技術に焦点を当てたものです。
自分の意見を効果的に伝えるためには、まず相手の気持ちや考えを正確に理解することが不可欠です。本書は、アクティブ・リスニング(積極的傾聴)のスキルを、豊富な図解と具体例を用いてわかりやすく解説しています。
「聞く」ことを、単に黙って相手の話を受け止めることではなく、適切な相槌や質問、そして要約を通じて、相手への関心と理解を表現する能動的なプロセスとして捉えています。
特に、相手が抱える感情を正確に受け止めるための共感的な態度の作り方や、非言語コミュニケーション(ボディランゲージ)の読み取り方など、実践的なノウハウが満載です。
部下や顧客、家族といったあらゆる関係性において、信頼関係を築き、より深い対話を実現したいと考える人にとって、伝える技術と並ぶ、人間関係構築の要となるスキルを学ぶための貴重な一冊です。
5. マンガでやさしくわかるアサーション
この本は、アサーションの理論と実践を、親しみやすいマンガのストーリー形式で解説した、最も敷居の低い入門書です。
活字を読むのが苦手な人や、理論よりも具体例を通じて学びたいという人に最適です。主人公が、職場や家庭で直面するコミュニケーションのトラブルを通じて、非主張的、攻撃的、そしてアサーティブな言動の違いを体験的に学び、成長していく様子が描かれています。
マンガ形式であるため、具体的な会話のトーンや、登場人物の表情を通じて、アサーティブなコミュニケーションの「空気感」を直感的に理解しやすいのが大きな特長です。
「言いたいことが言えず後悔する場面」や「つい感情的に言い過ぎてしまう場面」など、読者自身の経験と重ね合わせやすいエピソードが多く、自己理解と共感を深めることができます。
アサーションという概念に初めて触れる人、そして楽しみながらコミュニケーションスキルを改善したいと考える人にとって、堅苦しさなく、アサーションの本質を学べる理想的な一冊です。[
6. 三訂版 アサーション・トレーニング: さわやかな〈自己表現〉のために
この本は、長年にわたりアサーション・トレーニングの現場で使われてきた、定評あるプログラムの教科書的三訂版です。
アサーションを、個人の精神的な健康にも寄与する重要なスキルと捉え、自己理解から他者との関係構築までを包括的に扱っています。三訂版では、現代社会の変化に対応した新しい事例や、トレーニングの進め方に関する最新の知見が反映されています。
本書は、アサーションの基本概念に加え、「さわやかな自己表現」を可能にするための思考パターンや感情のコントロールについても深く掘り下げています。個人の権利と責任について明確に定義し、「Iメッセージ」や「DESC法」といった具体的な技法を、体系的なワークシートや練習問題とともに提供しています。
専門職としてアサーションを指導したい人や、自己流ではなく、構造化されたプログラムで確実なスキルアップを目指したい人にとって、理論と実践を高いレベルで統合した、信頼のおける決定版のテキストです。
7. アサーション・トレーニング活用術 (精神療法 増刊第8号)
この書籍は、精神療法やカウンセリングといった専門的な分野で、アサーション・トレーニングをどのように臨床的に活用するかに焦点を当てた、専門家向けの増刊号です。
平木典子氏をはじめとする専門家たちが執筆しており、アサーションを様々な精神的課題や対人関係の問題を持つクライアントへの介入手段として捉えた、深い洞察と実践例が収録されています。
本書は、アサーションの基本を超えて、適用範囲の広さや効果の検証、そして他の心理療法との関連性について論じています。例えば、うつ病や不安障害、対人恐怖症といった特定のケースに対するアサーション・トレーニングの具体的な進め方や、治療プロセスにおけるアサーティブなコミュニケーションの役割が詳しく解説されています。
心理職、医療職、教育職など、専門的な立場で人々のコミュニケーション改善を支援する人にとって、アサーションをより深く理解し、その臨床的な可能性を探るための、高度で貴重な資料です。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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