日清食品社長の安藤徳隆氏が初めて著した『日清食品をぶっつぶせ』は、その衝撃的なタイトルが示す通り、破壊と創造の経営哲学が詰まった一冊です。
「ぶっつぶせ」という言葉には、現状の成功にあぐらをかくのではなく、常に自らイノベーションを起こし続けるという、創業家三代目の安藤徳隆氏の強い覚悟が込められています。
この記事では、日清食品をぶっつぶせという反骨精神に満ちたこの書籍の要約と、非連続な成長を目指すビジネスパーソンに向けた具体的なヒントをレビューします。
1. 著者の紹介
著者の安藤 徳隆(あんどう のりたか)氏は、インスタントラーメンの生みの親である安藤百福氏の孫にあたります。
日清食品グループの創業者を祖父に持つ、まさにサラブレッドです。
彼は、伊藤忠商事を経て日清食品に入社しました。
その後、斬新なアイデアとクリエイティブを駆使し、日清食品のマーケティングを牽引しました。
現在は日清食品の代表取締役社長CEOとして、伝統を守りながらも、既存の常識を打ち破る「破壊と創造」の精神を体現されています。
安藤氏の経営手法は、常にユニークで挑戦的であり、日本企業の進むべき道を示すものとして注目されています。
2. 本書の要約
『日清食品をぶっつぶせ』は、安藤徳隆氏が実践してきた経営とマーケティングの哲学を、具体的な事業の裏側と共に解説した内容です。
本書の最も重要な要約は、「自社の成功体験こそ、ぶっつぶすべき最大の敵である」というメッセージです。
「ぶっつぶす」とは成長への反骨精神
本書の核となるのは、創業者である安藤百福氏の「食足世平(食が足りてこそ世の中が平和になる)」という哲学を、現代でどう進化させるかという問いです。
二代目社長が掲げた「カップヌードルをぶっつぶせ!」というスローガンを受け継ぎ、安藤徳隆氏は「日清食品をぶっつぶせ」という反骨精神を掲げます。
これは、過去の成功に縛られず、常に新しい食文化を創造し続けるための、企業文化そのものなのです。
第1章:革新的なヒット商品を生む秘訣
多くの読者が興味を持つであろう「カレーメシ」誕生の舞台裏が、この章で詳しく語られています。
「カレーメシ」は、従来の「本格志向」とは真逆の、「理解不能な新しさ」を追求した商品です。
本格的な味を追い求めるのではなく、あえてジャンクで、しかし中毒性のある味をデザインすることで、新しい市場を創造しました。
これは、市場の「最適解」を探すのではなく、「唯一解」を生み出すという日清食品の姿勢を示しています。
「なぜそういう判断をしたのか」という過程を見せることが社員たちの成長につながる
『日清食品をぶっつぶせ』
第2章:クセになるCMの設計術
日清食品のCMは、常に話題の中心です。
この章では、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏との協働など、ユニークでクセになるCMの裏側が要約されています。
彼らのCMは、単なる「面白い広告」ではありません。
社長の安藤氏自らがクリエイティブの最前線に立ち、「普通のことを普通にやらない」という姿勢を徹底しています。
クリエイティブは、企業のブランディングと経営戦略そのものなのです。
通常であれば、広告代理店のクリエーターに任せるような部分も、自分たちで決める。自分たちの商品やブランドのことを一番よく知っているのは自分たちだから
『日清食品をぶっつぶせ』
第3章:ジャンクの頂点からヘルシーへの大転換
本書のハイライトの一つが、「最適化栄養食(完全栄養食)」への挑戦です。
カップヌードルというジャンクフードの代名詞とも言える企業が、真逆の「最高にヘルシー」な事業に挑戦するのです。
この事業転換は、日清食品がインスタントラーメンという成功体験に安住せず、未来の食という「新しい課題」に挑む、破壊と創造の究極の例です。
既存の事業をぶっつぶせという覚悟なくしては、決して成し得ない挑戦だと言えるでしょう。
会社が生み出すことができる価値や、会社が戦う舞台がどんどん大きくなるようにデザインする———。それが社長、経営者の仕事。
『日清食品をぶっつぶせ』
第5章:挑戦的な風土をデザインする
安藤氏のリーダーシップは、社員の「即興」と「挑戦」を促すものです。
社員に細かく指示を出すのではなく、本質だけを伝えて、あとは現場の裁量に委ねる「ジャムセッション」のような風土を重視されています。
社員が「面白さ」を感じ、「報酬系」が回るような環境をデザインすることが、非連続なイノベーションを生み出す源泉だと要約できます。
これは、多くの日本企業が抱える組織変革のヒントとなるでしょう。
仕事を楽しめるとはどういうことかというと、成長を感じられるかどうかだと思うんです。「あれもダメ、これもダメ」じゃなくて、「それ、面白いからやっちゃおう」と挑戦できる社風は、会社として絶対に強みになる。
『日清食品をぶっつぶせ』
3. ココだけは押さえたい一文
「破壊なくして進化なし。つぶされないために、自ら、自社をぶっつぶす覚悟を持つことが、非連続な成長の唯一の道です。」
『日清食品をぶっつぶせ』
結局、責任を取るのは自分じゃないですか。そこに1%でも「失敗する」とか「負けるかもしれない」というのがあると、やっぱり組織に伝染していきますよね。トップは絶対にそういうのを見せちゃいけない。
『日清食品をぶっつぶせ』
だから、経営者はクレージーじゃなきゃダメなんです。
日清10則
『日清食品をぶっつぶせ』
01.ブランドオーナシップを持て。
02.ファーストエントリーとカテゴリーNO.1をめざせ。
03.自らを創造し、他人に潰されるくらいなら、自ら破壊せよ。
04.外部の英知を巻き込み、事業を加速させよ。
05.純粋化した組織は弱い。特異性を取り込み、変化できるものが生き残る。
06.知識と経験に胡坐をかくな。自己研鑽なき者に未来はない。
07.迷ったら突き進め。間違ったらすぐ戻れ。
08.命令で人を動かすな。説明責任を果たし、納得させよ。
09.不可能に挑戦し、ブレークスルーせよ。
10.仕事を楽しむのも仕事である。それが成長を加速させる。
4. 感想とレビュー
この『日清食品をぶっつぶせ』を読んで、私が最も感銘を受けたのは、安藤氏の経営者としての覚悟です。
誰もが知る巨大企業のトップでありながら、決して現状に満足せず、常に「反骨」の精神を忘れない姿勢が伝わってきます。
特に、既存の成功と真逆を行く「最適化栄養食」への挑戦は、まさに「破壊と創造」の実践であり、圧巻のレビューポイントです。
日清食品をぶっつぶせという言葉は、私たちビジネスパーソンにも突き刺さります。
私たち自身の過去の成功体験やルーティンこそ、ぶっつぶすべき敵ではないでしょうか。
本書は、マーケティングやクリエイティブの具体的な手法だけでなく、新しいことに挑む際の恐怖を乗り越えるための精神的な支柱を与えてくれます。
「どうすれば日本企業は非連続な成長を遂げられるのか」という問いへの、日清食品からの鮮烈な回答がここにあります。
5. まとめ
安藤徳隆氏の『日清食品をぶっつぶせ』は、日本を代表する企業でありながら、常に挑戦し続ける日清食品の躍進の裏側を深く要約した一冊です。
成功とは、安藤徳隆氏のように、自ら進んで過去の成功を破壊し、新しい価値を創造し続ける反骨精神に他なりません。
「日清食品をぶっつぶせ」というメッセージは、あなたのビジネスや仕事に対する姿勢を根本から変えるきっかけとなるでしょう。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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