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今回は『チームX(エックス) ── ストーリーで学ぶ1年で業績を13倍にしたチームのつくり方』についての記事となります。
■著者
木下 勝寿
北の達人コーポレーション(東証プライム上場)代表取締役社長/エフエム・ノースウエーブ取締役会長
神戸生まれ。大学在学中に学生企業を経験し、卒業後は株式会社リクルートで勤務。2002年、eコマース企業「北の達人コーポレーション」設立。独自のWEBマーケティングと管理会計による経営手法で東証プライム上場を成し遂げ、一代で時価総額1000億円企業に。フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」を4度受賞。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」1位。日本国より紺綬褒章8回受章。著書に『売上最小化、利益最大化の法則』『時間最短化、成果最大化の法則』、『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』がある。
■事業を成功させるために必要なこと
事業を成功させるには、2つの段階が必要。
第1段階が正しい経営戦略を作ること。第2段階は、経営戦略を実行できる組織を作ること。この二つを実現するためには、「課題」と「解決策」を分けて考える。
本書では、課題を「5つの企業組織病」、解決策は、北の達人コーポレーション(チームX)が実施した「5つのXポイント」でまとめている。
5つの企業組織業
①職務定義の刷り込み誤認
②お手本依存症
③職務の矮小化現象
④数字万能病
⑤フォーマット過信病
5つのXポイント
①KPI
②教育の仕組み
③共通言語化
④タスク管理
⑤風土
■5つの企業組織業
①職務定義の刷り込み誤認
組織が急拡大する際、急激に人が増え、教育や引継ぎがしっかり行き届かない段階で発生することが多い。
本来、職務には達成すべき目的がある。だが、多くの人は最初に任された職務目的を「目的を達成すること」ではなく、「その作業自体をやること」と誤認してしまう。
この仕事は、どんな意義があるか?
その意義の中で、この作業はどんな位置づけなのか?
その作業は、これからどんな職務につながっていくのか?
など最初に使えておくべき。
②お手本依存症
本来、商品や広告は消費者を見てつくらなければならない。消費者を見ずに、すでに成功している商品や広告をお手本として作っていると、消費者のニーズがわからなくなる。するとお手本がないと、何もつくれなくなってしまう。
「そもそも何のために、この事業をやるのか」を考え直す。
商品、広告、事業は、いつの時代も「お手本」を見てつくるものではなく、「ユーザー」を見てつくるものだ。
③職務の矮小化現象
職務を引き継いでいくときに効率化して渡していくと、切り落とされた施策、手段が共有されず、職務の矮小化が進んでいく。個々の努力で克服を難しく、教育制度の見える化、仕組み化を行うことが必要。
④数字万能病
デジタル化が進み、あらゆるものがデータ化されることで、今まで感性主導だったマーケティングは、WEBマーケティングの登場で、数字主導に移行した。ただし、すべてを数字だけで判断することはできない。
本来7割段階まで裏付けを取るサポート的な存在であるべき数字が、あたかも10割まで判断できる「万能な判断基準」と捉えている。
数字はあくまでも仮説を裏付けるモノ。あまりに仮説と違う結果が出た場合は、「数字自体を疑う」ことが必要になる。
⑤フォーマット過信病
お手本をみて、表面的なテクニックだけをマネし、本質的な部分を外してしまうと「フォーマット過信病」になりやすい。当たるクリエイティブを見つけると、その成功体験を黄金法則と思い込み「このフォーマットは万能だ」と過信する人が多い。
■5つのXポイント
①KPI
KPIの設定を誤ると、メンバーもろとも企業は間違った方向に進む。設定の際は、あらゆる失敗パターンを想定し慎重に設定する必要がある。
設定したKPIは、わかりやすく「見える化」する。最低限、「残り営業日数」「標準達成率」「実績達成率」が一目でわかる必要がある。わかりやすい「見える化」された表があってこそ、初めてKPIが機能する。
②教育の仕組み
組織の教育システムを整えるには、組織内に2名以上のトッププレイヤーを揃えることが最低条件となる。一人は、プレイヤーとして目の前の成果をあげ、もう一人は教育担当として新人を育て、チーム全体の底上げをする。
教育プログラムは、自社オリジナルが良い。汎用的な研修カリキュラムだと、自社と概念が違ったり、言葉の定義が違ったりするのでメンバーが混乱する。自社オリジナルの教育プログラムこそ、自社の強みの源泉となる。
③共通言語化
個人の経験や勘に基づいたノウハウやスキルを共通言語として形式化していくことで、誰でも同じ認識ができるようになる。共通言語化をすることで、個人スキルのギャップやコミュニケーションコストが下がり、組織力全体の底上げになる。
④タスク管理
伸びていない理由の半数以上がタスク漏れによる「機会ロス」。
これは個人の問題もあれば、組織的な問題もある。大事なことは、「そもそもメンバーはタスク漏れするもの」という前提で考えること。
リーダーは、戦略を立案・計画してメンバーに落とし込んだら終わりではなく、各メンバーのタスク管理までやることが重要。「計画の立案」と「メンバーのタスク管理」はセット。
⑤風土
風土に最も影響を与えるものが「リーダー」の存在。
リーダーを選ぶときは、「他者への影響」を考えるべき。「その人の一番悪い部分がチームに蔓延するとしたら、誰を選ぶか」を基準に考える。
リーダーに選んではいけない10ヶ条
- すぐにあきらめる
- できない言い訳をする
- 危機感がない
- 成果が出ない理由を外部要因にする
- やるべきことを「自分がやらなくていい理由」を見つけてやらない
- ミスをしても謝らない
- ミスをしても、バレないようにごまかす
- 人が見ていないところでサボる
- 嘘をついてごまかす
- トラブルから逃げる
人材不足の中、リーダーの器が育っていない人を急いでリーダーにすると逆効果になる。
■感想
実際に北の達人コーポレーション中で起こった組織改革がストーリー調で書かれている。小説を読んでるように戦略、戦術、マーケティング、マネージメントの情報が入ってくる。何より、リアルな話なので自分の組織に置き換えて考えることができる。
新規購入者の集客人数が全盛期の約6分の1まで縮小した会社が、その課題に実際に立ち向かい、1年で13倍の成果を出せるチームに変わった実話。
チームマネジメントの課題、問題発見力、改善に関するノウハウだけでなく、デジタルマーケティングの考え方も身に付く。デジタルマーケティングの業務をしている人は、より自分ごとに捉えることができる。きっと同じ課題に直面している。
「課題」と「解決策」を最終章で整理されているので、理論とケーススタディーが一気通貫で学ぶことができる。この本で書かれていることをどんな会社でも起こっている。マネージメントをしているすべてのビジネスパーソンに読んでほしい一冊。
最後まで読んでいただきて、ありがとうございました。
背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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