企業と社会の新しい結び目。オズマピーアール流「問い」を立てる力に学ぶ、これからのビジネスの最適解

凡人の戦略-僕が部長に慣れた理由-
スポンサーリンク

 めまぐるしく変化する市場の中で、売上目標と向き合いながら、新しい価値を生み出し続けるのは本当に大変なことですよね。 「今の時代、お客様に本当に響くメッセージって何だろう?」と、ふと立ち止まって考える夜もあるのではないでしょうか。

日々ビジネスの最前線で戦い、そして深く思考を巡らせているあなたに、今日はとても素晴らしい視点をお届けします。 それは、「企業が社会課題に向き合うことの本当の意味」についてです。

今回は、株式会社オズマピーアールの榑林佐和子(くればやし さわこ)さん、林直樹(はやし なおき)さんの著書『世の中の最適解を共に考える 「問い」を立てる力』から、その背景を紐解いていきます。 読み終わる頃には、明日からの企画会議や、自分の考えを文章にまとめる際の、新しい希望の光が見えてくるはずです。

『世の中の最適解を共に考える 「問い」を立てる力』とは?

まず、この本と著者について少しだけご紹介させてください。

株式会社オズマピーアールは、日本を代表する老舗の総合PR会社です。 その第一線で活躍するプロフェッショナルである榑林さんと林さんが、これからの時代の「PR(パブリックリレーションズ)」のあり方を根本から問い直したのが本書です。

多くの人は、「PR」と聞くと「自社の商品をどう目立たせて宣伝するか」というプロモーションの手法を思い浮かべるかもしれません。 しかし、PRの本来の意味は「Public Relations」、つまり「社会との良好な関係づくり」です。

著者の二人は、情報が溢れ返る現代において、企業が一方的に「うちの商品はこんなに素晴らしいですよ!」と発信するだけのコミュニケーションは、すでに限界を迎えていると指摘します。 では、どうすればいいのか。

その答えが、社会に対して「問い(アジェンダ)」を立てることです。 「私たちは今、こんな社会課題に直面していますが、皆さんはどう思いますか?」と、世の中に問いかけるのです。 企業が答えを押し付けるのではなく、生活者や社会と共に「最適解」を考えていく姿勢こそが、これからの強いブランドを作ると説いています。

それでは、なぜ今、企業にそのような社会課題への取り組みが求められるようになったのでしょうか。 本書で紹介されている「5つの背景」を、一つずつ丁寧に見ていきましょう。

① 企業の社会への姿勢が、購買に影響するようになった

一つ目の背景は、生活者の「モノの買い方」が劇的に変化したことです。 かつては、商品の「品質」や「価格」が良ければ、モノは売れていました。 しかし今は、それだけでは選ばれない時代になっています。

現代の生活者は、商品そのもののスペックだけでなく、「その商品を作っている企業が、社会に対してどんな姿勢を持っているか」を厳しく見ています。 環境問題に配慮しているか。 労働者の人権を守っているか。 多様性を尊重しているか。

これらに対する企業のスタンスが、最終的な「購買ボタン」を押すかどうかの決め手になるのです。 商品の魅力と同時に「信頼感」が直結するビジネスにおいては、この傾向は顕著に現れます。

「この会社から買えば、自分も社会を良くする手伝いができる」。 お客様にそう感じていただけるストーリーがあるかどうか。 企業が社会とどう向き合っているかという「姿勢」そのものが、最強の商品力になる時代なのです。

② 起業戦略に社会課題の解決が求められるようになった

二つ目の背景は、企業経営の根幹に関わる部分です。 いまや「社会課題の解決」は、余裕のある会社がやるボランティアやCSR活動ではありません。 企業の「成長戦略そのもの」に組み込まれなければならない必須項目となりました。

特に上場企業においては、株主や投資家からの目線が大きく変わっています。 ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮していない企業は、長期的な成長が見込めないと判断され、投資の対象から外されてしまうリスクすらあります。

「この事業はどれだけ儲かるか」という視点に加えて、「この事業は社会のどんな痛みを解決するか」という視点が不可欠です。 社会の課題を解決する事業だからこそ、優秀な人材が集まり、パートナー企業が協力してくれ、持続的な利益を生み出すことができます。

社会課題の解決と、企業の利益の創出。 この二つは決して対立するものではなく、完全に一致させるべきものなのです。 この難しい両立に挑むことこそが、現代のリーダーに与えられた最もエキサイティングな使命だと言えます。

③ 生活者は、企業に「仕掛けられる」ことを嫌う

三つ目の背景は、生活者のメディアリテラシーの向上です。 スマートフォンの普及により、誰もが膨大な情報に瞬時にアクセスできるようになりました。 その結果、生活者は企業の「広告の裏側」を簡単に見透かすようになっています。

企業が巧妙に作り上げた「買わせるための仕掛け」や、美辞麗句を並べただけのキャンペーン。 現代の生活者は、そうした「仕掛けられる」ことを何よりも嫌います。 「自分たちはコントロールされている」と感じた瞬間、企業に対する信頼は一瞬で冷めてしまうのです。

だからこそ、企業は「等身大で誠実であること」が求められます。 できないことをできると言わない。 商品のメリットだけでなく、開発の背景にある苦労や、まだ解決できていない課題についても、正直にオープンにする。

「私たちは完璧ではありませんが、この課題に一生懸命取り組んでいます」。 そんな嘘偽りのない姿勢こそが、人々の共感を呼び、「応援したい」という強い気持ちを引き出すのです。 誠実さこそが、最大のマーケティング戦略になります。

④ 社会に受け入れられないと、炎上リスクがある

四つ目の背景は、誰もが恐れる「炎上」のリスクです。 SNSがインフラとなった現代では、企業の些細な表現のズレや、社会の価値観との乖離が、一瞬にして大きな批判の波となって押し寄せます。

炎上は、単に「言葉選びを間違えた」という表面的なミスから起こるだけではありません。 その根底には、企業が「今の社会が何を大切にしているか」という価値観の変化を、正しく捉えられていないという深刻な問題があります。

ジェンダーへの配慮、環境への意識、多様な生き方の尊重。 社会の常識は、驚くべきスピードでアップデートされています。 企業が自分たちの内側の常識(社内論理)だけでモノを作り、発信してしまうと、社会の常識と衝突し、炎上を引き起こしてしまいます。

これを防ぐためには、企業自身が社会の中に飛び込み、社会の痛みや課題を「自分ごと」として捉え続けるしかありません。 社会課題に真摯に向き合うことは、企業のブランドを守るための最大の防御策でもあるのです。

⑤ ステークホルダーの共創が不可欠になった

最後の背景は、問題の複雑化と「共創」の必要性です。 現代の社会課題は、プラスチックごみの問題にせよ、地域社会の衰退にせよ、一企業だけで解決できるほど単純なものではありません。

企業が単独で「私たちが解決します!」と宣言しても、限界があります。 そこで必要になるのが、様々なステークホルダー(利害関係者)との「共創(一緒に創ること)」です。

顧客、取引先、地域住民、NPO、そして競合他社すらも巻き込んで、知恵を出し合う。 そのためには、企業が旗振り役となって、「私たちはこの問題についてこう考えますが、皆さんはどうですか?」という「問い」を立てる必要があります。

「問い」を中心にして、共感する人々が集まり、コミュニティができる。 そのコミュニティの中で、新しいアイデアや解決策が生まれていく。 企業は「答えを提供する存在」から、「一緒に考え、共に創り上げるための舞台を提供する存在」へと進化しなければならないのです。

スポンサーリンク

新しい時代のリーダーへ:思考を紡ぎ、発信する価値

さて、ここまで『世の中の最適解を共に考える 「問い」を立てる力』から、企業が社会課題に向き合うべき5つの背景を見てきました。

  1. 購買への影響:姿勢が選ばれる理由になる。
  2. 経営戦略の要:社会貢献はビジネスの核心である。
  3. 仕掛けの拒絶:誠実さだけが共感を呼ぶ。
  4. 炎上リスクの回避:社会の価値観とシンクロする。
  5. 共創の不可欠性:単独ではなく、問いを立てて巻き込む。

この5つの背景は、これからのビジネスを考える上で、非常に強力な羅針盤になります。

日々の業務の中で、「この商品は、本当にお客様の、そして社会の幸せに繋がっているだろうか?」と葛藤することもあるかもしれません。 しかし、その葛藤こそが、企業を正しい方向へ導くための大切なエンジンです。

「仕掛け」で一時的に売上を作るのではなく、社会への誠実な「問いかけ」を通じて、長く愛されるブランドを作っていく。 それは非常にタフな道のりですが、同時に、ビジネスパーソンとしてこれ以上ないほど誇り高く、面白い挑戦でもあります。

明日からの会議の席で、あるいは静かにキーボードに向かう夜に。 「自分たちは社会にどんな問いを投げかけられるだろうか?」と、少しだけワクワクしながら考えてみてください。

詳しく知りたい方は、株式会社オズマピーアールの榑林佐和子さん、林直樹さんの著書『世の中の最適解を共に考える 「問い」を立てる力』を手に取ってください。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
日々の仕事やライフスタイルのヒントになればうれしいです。

X(Twitter)ThreadsinstagramBlueskyもやっているので、もしよかったら覗いてください。

タイトルとURLをコピーしました