朝から晩まで仕事や家事に追われて、あっという間に一日が終わってしまう。 夜、ベッドに入ったときに「今日も自分のために使えた時間がなかったな……」と、ため息をついたことはありませんか?
「もっと自分の趣味や勉強に時間を使いたい」
「家族や大切な人と、ゆったり笑顔で過ごしたい」
「いつも時間に追われていて、心にまったく余裕がない」
そんなふうに、手帳のスケジュールを眺めながら、切ない気持ちになっている方は少なくありません。
私たちは「お金」を節約することにはすごく敏感ですよね。 スーパーで10円安い卵を探したり、セール品を求めて遠くのお店まで歩いたりします。
でも、本当に大切な「時間」の節約については、どうでしょうか? 気づかないうちに、膨大な時間をドブに捨ててしまっていないでしょうか。
今日は、ハーバード・ビジネススクールの准教授であり、時間の科学の第一人者であるアシュリー・ウィランズ(Ashley Whillans)さんの名著『TIME SMART(タイム・スマート)』で紹介されている「ハーバード流『捨てる技術』」と、自分のスケジュールを見直すための「3つのレンズ」について、ゆっくりとお話ししていきたいと思います。
アシュリー・ウィランズ教授と『TIME SMART』とはどんな本か?
今回のお話のベースとなる知見を発信されているのは、ハーバード・ビジネススクールで「時間とお金と幸福度」の関係を専門に研究しているアシュリー・ウィランズ准教授です。
現代人の多くは、お金を稼ぐことや節約することに必死になるあまり、時間を犠牲にする「時間貧困(Time Poverty)」という恐ろしい状態に陥っています。
「もっと働いて稼がなきゃ」 「もっと安いものを探して得をしなきゃ」 そうやって時間を切り売りした結果、いくらお金が増えても幸福度はまったく上がらず、むしろストレスで心身を壊してしまう人が後を絶ちません。
ウィランズ教授の著書『TIME SMART(タイム・スマート)』は、そんな私たちが「時間の価値」を再発見し、幸福度を高めるための「正しい時間の使い方」を科学的なデータから解き明かしてくれた一冊です。
「お金より時間を優先する選択をすることが、人を最も健康で幸福にする」 この本は、追われるような毎日から脱出し、自分の人生の主導権を取り戻すための最高のアドバイスを教えてくれます。
なぜ私たちは「時間の無駄遣い」をしてしまうのか?
「時間がない!」と焦っているのに、なぜ私たちは無駄な時間を捨てられないのでしょうか?
それには、人間の脳に潜む心理的なバイアスが大きく関係しています。
たとえば、「可視性(目に見えるか)」のバイアスです。 お金は銀行の残高や財布の現金として「目に見える」ので、減るとすごく損をした気分になりますよね。
しかし、時間は目に見えません。 今日使ってしまった2時間が、どれほど貴重なものだったのかを数字で実感することが難しいのです。
だからこそ、私たちは「30円安く買うために1時間遠くの店まで歩く」というような、結果的に大損をする行動を平気でとってしまいます。 1時間を時給換算すれば数千円の価値があるのに、数十円の得のために時給換算で大赤字になる選択をしてしまうわけですね。
この「目に見えない時間の価値」を正しく認識し、自分にとって意味のない時間を徹底的に削ること。 これこそが、ハーバード流の「捨てる技術」の第一歩なのです。
無駄な時間を潔く捨てるための「3つのレンズ」
では、自分の24時間の中から「捨てるべき時間」をどうやって見極めればいいのでしょうか?
ウィランズ教授は、スケジュール帳や1日の行動を整理するときに、片づけコンサルタントの「こんまり」こと近藤麻理恵さんのメソッドを時間に応用することを提案しています。
モノを捨てるときに「ときめくか・ときめかないか」で選ぶように、時間も「自分を幸福にするか・しないか」という基準でふるいにかけるのです。
そのための判断基準となるのが、以下の「3つのレンズ」です。
あなたの行動やスケジュールが、この3つのうち「どれか1つ」にでもあてはまっていれば、それはあなたにとって残すべき貴重な時間です。
しかし、どれにもあてはまらない時間があったとしたら、それは「無駄な時間」であり、潔く捨てるべき時間なのです。
それでは、3つのレンズを具体的に見ていきましょう。
レンズ①:喜び(Joy)〜ワクワクする、楽しい時間〜
1つ目のレンズは、「喜び(Joy)」です。
これは、心から「楽しい!」「ワクワクする!」と感じられる時間のことです。
・大好きな連続ドラマを夢中になって見る時間 ・仲の良い友人と美味しいお茶を飲みながら笑い合う時間 ・大好きな音楽を聴いたり、趣味の作業に没頭したりする時間
「ドラマを見るなんて生産性がないんじゃないか……」と罪悪感を持つ必要はまったくありません。 その時間があなたに心からの「喜び」やリフレッシュを与えてくれているなら、それは立派で価値ある時間です。
ポイントは、それが「本当に心が躍る時間かどうか」です。 ダラダラと意味もなくスマホを見続けている時間は「喜び」ではありませんよね。 心が満たされる本物の「喜びの時間」を、しっかりと確保してあげましょう。
レンズ②:達成感(Achievement)〜将来の達成感を得るための時間〜
2つ目のレンズは、「達成感(Achievement)」です。
これは、いま現在は少しきつかったり大変だったりするけれど、将来の大きな達成感や成長につながる時間のことです。
・フルマラソン完走を目指して、毎朝コツコツこなすランニングの時間 ・キャリアアップや資格取得のために、机に向かって勉強する時間 ・苦手を克服するために、新しいスキルの練習に打ち込む時間
やっている最中は「ちょっと辛いな」「疲れたな」と感じるかもしれません。 しかし、それを乗り越えた先にある「やり切った!」という素晴らしい達成感は、あなたの人生を深く豊かなものにしてくれます。
未来の自分への投資となるこの時間は、あなたの幸福度を長期的に大きく引き上げてくれる大切な資産なのです。
レンズ③:存在意義(Meaning)〜人の役に立ったと実感する時間〜
3つ目のレンズは、「存在意義(Meaning)」です。
これは、誰かの役に立ったり、社会や地域に貢献できていると実感できたりする時間のことです。
・地域や学校のボランティア活動に参加する時間 ・困っている同僚や友人の相談に親身に乗る時間 ・家族や子どものために、心を込めてサポートする時間
人間は、誰かの役に立っていると感じたときに、深い幸福感と自分の「存在意義」を感じる生き物です。
自分ひとりのためだけに時間を使うよりも、他人の笑顔のために時間を使ったときの方が、心は温かい満足感で満たされます。
「自分が世界や周りの人とつながっている」と実感できる時間は、あなたの生きがいそのものを形作ってくれます。
どれにもあてはまらない時間は「潔く捨てる」!
「喜び」「達成感」「存在意義」という3つのレンズ。
もう一度、ご自身の昨日一日のスケジュールや、普段のスマホの使い方を思い出してみてください。
・SNSのコメント欄やタイムラインを、ただ目的もなくスワイプし続けていた1時間 ・他人の悪口やネガティブなニュースを見て、モヤモヤしていた時間 ・数十円の割引のために、寒い中で長蛇の列に並んでいた時間
これらの時間は、「喜び」をもたらしてくれたでしょうか? 「達成感」に繋がったでしょうか? 「存在意義」を感じられたでしょうか?
答えがすべて「いいえ」なら、その時間はあなたから大切な命(時間)を奪っているだけの無駄な時間です。
ウィランズ教授は言います。 「3つのレンズのどれにもあてはまらない時間は、躊躇なく潔くカットしてしまいましょう」と。
スマホの画面を見る時間を意識的に減らす。 家事で苦手な作業があるなら、家電やアウトソーシングを頼って人に任せる。 気乗りのしない付き合いや無意味なミーティングは断る。
そうやってできた「余白の時間」を、本物の喜びや達成感を得られる時間に充てていくのです。
今回のテーマをまとめた一覧表(保存版)

完璧じゃなくていい。自分の人生の主導権を取り戻そう
ここまで、アシュリー・ウィランズ教授の『TIME SMART』から、ハーバード流の「捨てる技術」と「3つのレンズ」についてご紹介してきました。
- 「喜び」をもたらす時間(ワクワク・楽しい)
- 「達成感」につながる時間(未来への投資)
- 「存在意義」を感じる時間(人の役に立つ)
- どれにもあてはまらない時間は、潔く捨てる!
私たちは、忙しい毎日の中で「やらなきゃいけないこと」に追われ、自分の大切な時間を他人に明け渡してしまいがちです。
でも、あなたの人生の時間は、あなただけの限られた貴重な宝物です。
もし「今日が人生最後の日だったら、自分は何をやらなかったことを後悔するだろう?」と、自分に問いかけてみてください。
「もっとスマホを見ていればよかった」と後悔する人は、きっと一人もいませんよね。 きっと、「もっと大好きな人と笑い合えばよかった」「もっと自分のやりたいことに挑戦すればよかった」と思うはずです。
完璧に時間をコントロールできなくても大丈夫です。 今日から、まずは10分だけでもいいので、無駄な時間を削って、自分が心から「喜び」を感じることに時間を使ってみてください。
その小さな決断が、あなたの毎日をパッと明るく輝かせてくれます。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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