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今回は『話し方の戦略』についてレビューと要約の記事となります。
著者
千葉佳織(ちば かおり)
株式会社カエカ代表/スピーチライター
1994年生まれ、北海道札幌市出身。15歳から日本語のスピーチ競技である「弁論」を始め、2011年から2014年までに内閣総理大臣賞椎尾弁匡記念杯全国高等学校弁論大会など3度の優勝経験を持つ。
慶應義塾大学卒業後、新卒でDeNAに入社。人事部にてスピーチライティング・トレーニング業務を立ち上げ、代表取締役のスピーチ執筆や登壇者の育成に携わる。
2019年、株式会社カエカを設立。AIによる話し方の課題分析とトレーナーによる指導を組み合わせた話し方トレーニングサービス「kaeka」の運営を行う。経営者や政治家、ビジネスパーソンを対象としてこれまで5,000名以上にトレーニングを提供している。2023年、週刊東洋経済「すごいベンチャー100」、Forbes「2024年注目の日本発スタートアップ100選」選出。
1. 本書の概要
『話し方の戦略』は、ビジネスシーンや日常生活で「伝わる」話し方を身につけるための実践的なガイドブックです。著者の千葉佳織氏は、話し方に必要な要素を「戦略」として分解し、誰でも効果的に使えるように体系化しています。この本は、「話し方に才能はいらない。必要なのは戦略だ」というコンセプトのもと、話し方を訓練し、磨き上げるための具体的な方法を提供しています。ビジネスパーソンやリーダー、プレゼンテーションを行う方など、あらゆるコミュニケーションの場で役立つ内容が詰まっており、すぐに実践できるテクニックが満載です。
2. 本書の要約
本書は、話し方の戦略を3つの主要な部分に分けて解説しています。
第1部では、「伝わる」ための基本原則を紹介しています。ここでは、相手に何を伝えたいかを明確にし、それに基づいて話の構成や伝え方を考える方法が解説されています。この部分は、話し方の戦略の基礎となる部分であり、話す前の準備がいかに重要かを強調しています。
第2部では、「言葉」の戦略に焦点を当てています。具体的には、伝えたい内容を「ひとことで言う」ことの重要性や、話の順番と比率を意識すること、そして、自分にしかない物語で共感を呼ぶ方法などが紹介されています。また、事実をどのように取り扱うかや、聞き手を味方につけるためのレトリックも解説されており、話し方の技術を具体的に学ぶことができます。
第3部では、「音声・動作」の戦略に関する内容が紹介されています。ここでは、発声のトレーニング方法や、沈黙を効果的に使うテクニックなどが解説されています。話し方は言葉だけではなく、声や身体の動きも重要な要素であることがわかります。これらの要素を意識することで、より魅力的で説得力のある話し方を身につけることができるでしょう。
3.「話し方の戦略」
・3つの原則
①「話す目的」を明確にする
②「対象者」を分析する
③「話し言葉」の意識を持つ
・「言葉」の5つの戦略
①言語化:
コアメッセージをつくる
コアメッセージを磨く
②構成:
目的に沿った順番で話す
情報のバランスを考慮する
一貫性のある話をする
冒頭と締めを工夫する
③ストーリー:
共感を呼ぶストーリーを語る
自己の弱み・強みを開示する
時間軸・感情・五感を描写する
④ファクト:
適切な史実情報を抽出する
自分と社会を接続する
数字で表現する
ストーリーとファクトを組み合わせる
⑤レリック:
会話文・名言を引用する
聞き手の気持ちを代弁する
「場」の価値を強調する
・「音声・動作」の3つの戦略
①発声:
呼吸の仕組みを理解する
腹式呼吸で大きな声を出す
声の大小を使い分けて心情を表現する
一定の速度で話せるようになる
相手と状況に合わせて話速を決める
話のポイントで話速を変える
声の高低の振り幅をもつ
重要な言葉は声の高さを戻す
②沈黙:
適切な間を確保する
フィラーを認識し、なくす
③身体表現:
重心・手足の位置を安定させる
表情・視線を管理する
立ち位置を工夫する
ジェスチャーで多彩に表現する
4.印象に残ったコメント
・「話し方の戦略を立てる」とは、自分が伝えたいことを聞き手に届けるために、話すときの目的を定め、言葉・音声・動作を考え抜くこと。
・「話が伝わらない」のは話し手の責任
・「すべて相手の記憶に残っていると思わないこと」が重要です。何も全部覚えてもらう必要はない、と思考を転換する。
・コアメッセージはとにかく「わかりやすく端的に」
・事実に対して深掘りする「問い」を持っておくと、数字情報の威力を増幅させることができる。
・音声と動作の意識は自分の思う3倍以上やって初めて、聞き手には普通に聞こえる。
・話し言葉の”大敵”「フィラー」をなくすためには「フィラーを認識する」ことが有効。
・グー・チョキ・パーの法則
5. 感想とレビュー
『話し方の戦略』を読んで最初に感じたのは、話し方に対する新しい視点が得られるということです。これまで、話し方はある程度の才能や経験が必要だと思っていましたが、本書を通じて、それが戦略によって大きく改善できることを学びました。特に、「伝わる」話し方の3つの原則が明確に示されている点が非常にわかりやすく、実践的だと感じました。
また、言葉の選び方や話の構成、そして聞き手との共感を得るためのストーリーテリングの重要性についても、非常に参考になりました。これらのテクニックは、プレゼンテーションや会議で役立つだけでなく、日常のコミュニケーションでもすぐに使えるものばかりです。特に、事実の扱い方やレトリックの使い方は、聞き手の心を掴むための強力なツールになることがわかりました。
音声や動作に関する戦略も、これまであまり意識していなかった要素であり、改めてその重要性に気づかされました。発声のトレーニングや沈黙の効果的な使い方など、具体的なアドバイスが満載で、実際に練習してみようという気持ちになりました。
全体を通して、本書は「話し方を磨くための実践書」として非常に優れた内容になっていると感じました。読んだだけで満足するのではなく、実際に試してみることで、その効果を実感できるでしょう。
6. まとめ
『話し方の戦略』は、話し方に関する具体的な戦略を学び、実践するための必携の一冊です。ビジネスシーンや日常生活でのコミュニケーションにおいて、伝わる話し方を身につけたい方にとって、非常に役立つ内容が詰まっています。言葉の選び方、話の構成、発声や動作など、多岐にわたる話し方の要素を体系的に学ぶことができるので、話し方を改善したいと思っている方にはぜひおすすめです。実践することで、あなたのコミュニケーションスキルが大きく向上することでしょう。
最後まで読んでいただきまして、
ありがとうございました。
背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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