『池上彰の世界の見方 ロシア』は、私たちがニュースで見聞きするロシアという国の複雑な実像を、池上彰さんが徹底的に「わかりやすく」解説してくれる一冊です。
「恐ろしい国」「謎の多い国」といったイメージだけで捉えられがちな大国の歴史と論理。
その背景にある深いロシアの歴史を、池上さんならではの視点と切り口で学べます。
国際情勢の理解に欠かせない、池上彰 世界の見方 ロシアの魅力を深くご紹介します。
1. 著者の紹介
著者の池上彰(いけがみ あきら)さんは、ジャーナリスト、作家、そして東京工業大学の特命教授も務める方です。
NHKの記者やキャスターとして長年活躍されました。
現在は、テレビ番組などで複雑なニュースや国際情勢を誰にでも理解できるように解説するスタイルで、絶大な信頼を得ています。
特に、歴史的背景や専門知識を平易な言葉で伝える「池上解説」は、多くの視聴者や読者から支持されています。
2. 本書の要約
本書は、ロシアに関する授業をもとに構成されています。
広大な国土を持つ隣国、ロシアの基本的な情報から、私たちが理解しにくいその行動原理までを丁寧に紐解きます。
権力の中心と独裁の歴史
まず、第1章ではプーチン大統領という人物からロシアを見ていきます。
プーチン氏が元KGBのスパイだった経歴や、いかにして四半世紀にわたって絶大な権力を掌握し続けたかを解説しています。
大統領選挙の裏側や、彼が目指す新しい帝国主義の可能性についても言及されています。
ソ連崩壊と社会主義の実験
第2章から第3章にかけては、池上彰 ロシアの歴史を深掘りします。
資本主義の格差への反発から始まったソ連型社会主義の実験が、なぜ崩壊に至ったのか。
鉄のカーテン、恐怖政治、計画経済の失敗など、ソ連時代に起きた出来事を詳細に解説しています。
老人が支配する国というイメージや、宗教を否定した社会主義の実態も明らかにしています。
ソ連とロシアを比較して、ソ連時代は、言論の自由はない。批判すると逮捕される。しかしロシアになってからは、言論の自由はある。批判してもかまわない。ただし命の保証はない。
『池上彰の世界の見方 ロシア』
日本との間に横たわる問題
第4章では、日本にとって最も重要な問題の一つである北方領土問題に焦点を当てます。
日露間の主張の食い違いはどこにあるのか、二つの終戦の日がどのようにこの問題を生んだのかを説明しています。
歯舞・色丹の2島返還が実現しなかった背景には、日米安保改定が深く関わっているという、複雑な国際政治の構図も解き明かしています。
資源と外交戦略
終盤では、ロシアの外交政策を決定づけるエネルギー資源の側面を取り上げます。
石油や天然ガスといった資源が、どのようにロシア経済を左右し、外交カードとして使われているのかを解説しています。
また、クリミア半島併合やウクライナ問題、シリアへの介入など、国際紛争への介入を繰り返すロシアの「守りに弱い国」という地理的・歴史的背景についても考察を深めています。
ロシアの全体像を理解するために、基礎知識から最新情勢まで網羅した構成となっています。
3. ココだけは押さえたい一文
『池上彰の世界の見方 ロシア』の核心を突く、この一文を特に押さえておきたいです。
ロシアにはそれなりの事情と論理がある。
『池上彰の世界の見方 ロシア』
ニュースで報じられるロシアの行動は、しばしば「怖い」「理解不能」と捉えられがちです。
しかし、池上彰さんは、どんな行動にもその国特有の歴史的背景や論理が存在すると説いています。
単なる善悪で判断するのではなく、その論理を知ることこそが、真の「世界の見方」につながるというメッセージが込められています。
4. 感想とレビュー
『池上彰の世界の見方 ロシア』を読んで、この本はまさに「現代のロシアを知るための最高の入門書」だと確信しました。
ニュースだけでは表面的な情報しか得られないロシアについて、池上彰さんが構造的に解説してくれるからです。
複雑な歴史が「ストン」と落ちる
特に素晴らしいのは、池上彰 ロシアの歴史の解説です。
ソ連時代、冷戦、独裁体制といった、複雑に入り組んだ要素を時系列で整理してくれます。
なぜロシアはこれほどまでに領土の拡大と「守り」にこだわるのか、その国民性の背景が腑に落ちました。
難解な歴史が、まるで物語のようにわかりやすく頭に入ってきます。
隣国に対する視点の変化
「おそろしあ」という造語があるように、ロシアに対して恐怖を感じる人は多いかもしれません。
しかし、本書を読み進めるうちに、ロシアの行動は彼ら自身の「事情」に基づいていることが理解できます。
それは、必ずしも支持できる行動ではないかもしれませんが、相手の論理を知ることで、ニュースの見方が冷静に、多角的になります。
この視点の変化こそが、『池上彰の世界の見方 ロシア』の最大の価値だと思います。
知識欲に溢れた生徒の質問
『池上彰の世界の見方 ロシア』は授業をもとに構成されているため、各章の合間に登場する生徒たちの質問が非常に良いスパイスになっています。
「なんで?」「どういうこと?」といった素朴な疑問に、池上彰さんが丁寧に答える形式です。
私たちがロシアについて疑問に思うポイントが、すべて網羅されているため、学びが深まります。
5. まとめ
『池上彰の世界の見方 ロシア』は、私たちが抱くロシアへの疑問や固定観念を、根本から解消してくれる一冊です。
池上彰さんならではのわかりやすい解説で、この巨大な隣国の歴史、政治、文化の三位一体の構造が理解できます。
北方領土問題のような日本との関係も、多角的な視点から冷静に見つめ直すことができます。
国際情勢の報道を見て、「よくわからないけど怖い」と感じたことがあるすべての方におすすめする、必読の教養書です。
本書を手に取り、あなた自身の「世界の見方」をアップデートしてみませんか。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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