「池上彰の世界の見方 東欧・旧ソ連の国々」は、国際情勢の中でも特に複雑でわかりにくいと言われる東欧・旧ソ連の国々について、ジャーナリストの池上彰さんが徹底的に解説した一冊です。
ロシアとウクライナの緊迫した状況を理解するためには、必ず知っておきたい歴史的背景が詰まっています。
池上彰の世界の見方 東欧・旧ソ連の国々を読めば、ニュースの裏側にある民族、宗教、イデオロギーの対立が驚くほどクリアになりますよ。
この記事では、池上彰 東欧に関する本書の要約と、その魅力について詳しくご紹介します。
1. 著者の紹介
著者の池上 彰(いけがみ あきら)さんは、元NHKの記者であり、現在はジャーナリストとしてご活躍されています。
「難しいことをわかりやすく」伝えるプロフェッショナルとして知られていますね。
本書は、池上さんが高校で行った白熱の授業をもとに書籍化されたものです。
そのため、専門的な内容であっても、まるで授業を受けているかのようにスラスラと理解できるのが特徴です。
「池上彰の世界の見方 東欧・旧ソ連の国々」は、世界の「なぜ?」を解消するのに最適です。
2. 本書の要約
本書は、ロシアと西側諸国の狭間で揺れる東欧や、かつてソ連邦の一部だった国々(旧ソ連の国々)の歴史と現状を深掘りしています。
特に、ロシアによるウクライナ侵攻に至るまでの複雑な経緯が、歴史的な視点から詳しく解説されています。
緩衝地帯をめぐる攻防
旧ソ連は、資本主義の大国からの侵略を恐れていました。
そのため、東欧諸国を自国の影響下にある「緩衝地帯」として確保しようとしたのが、冷戦時代の大きな構図です。
ソ連崩壊後、これらの国々がNATOやEUに加盟し、ロシアから離れていくことを、ロシアは快く思っていません。
なぜウクライナだけが軍事侵攻の対象となり、他の国々は黙認されたのかという、現代の核心的な問いに答えてくれます。
旧ソ連崩壊と15の共和国
ソビエト連邦は、まるで東京都が日本を乗っ取ったような形で解体され、15の共和国が誕生しました。
これにより、各国は自由を得ましたが、同時にインフレや貧富の差が激しくなるという資本主義への急激な転換に苦しむことになります。
独立後の国々は、ロシアに頼るか、西側に頼って自立を目指すかという、過酷な二択を迫られることになったのです。
「スタン」の国々とスターリンの遺産
中央アジアのカザフスタン、ウズベキスタンなど「スタン」がつく国々についても詳しく解説されています。
これらの国は、かつてスターリンの政策によって意図的に分割された歴史があります。
民族や宗教の分断政策が、現在も続く紛争の種となっていることがわかります。
また、トルクメニスタンのような天然資源が豊富で独裁的な国についても知ることができますよ。
右傾化する東欧諸国
ポーランドやハンガリーといった民主化した国々が、なぜ近年右傾化し、EUと溝を深めているのかという背景も解説されています。
国をどう守るかという安全保障の観点と、自国の文化や伝統を重んじる考え方が、複雑に絡み合っていることが理解できます。
3. ココだけは押さえたい一文
本書の副題にもなっているこの一文が、この地域の抱える最大のジレンマを表しています。
ロシアに服属するか、敵となるか。
「池上彰の世界の見方 東欧・旧ソ連の国々」
この選択肢は、単なる外交問題ではありません。
長年の歴史、民族、地理的な宿命が絡み合った、この地域の国々にとっての「生きていくための問い」なのです。
4. 感想とレビュー
この本を読むまで、正直、東欧の国々について、ニュースで流れる表面的な情報しか知りませんでした。
しかし、本書は私が抱いていた「複雑で暗そう」というイメージを覆してくれました。
授業の臨場感がすごい
高校の特別授業がもとになっているため、語り口調で非常に読みやすいです。
地理や歴史の知識に自信がない方でも、「そうだったのか!」と膝を打つような解説がたくさん出てきます。
特に、ソ連崩壊の背景や、大飢饉(ホロドモール)といったウクライナの悲しい歴史を学ぶと、現在のロシアによる侵攻の背景が深く理解できます。
衝撃的な事実
クリミア併合後、多くのクリミア住民が「ロシアのものになってよかった」と感じたという皮肉な現実には衝撃を受けました。
ロシアによるインフラ整備や年金支給額の引き上げといった懐柔策が、住民の生活改善に直結していたからです。
池上彰の世界の見方 東欧・旧ソ連の国々を読むことで、国際的な問題は単純な善悪二元論では語れないということを痛感させられます。
ニュースの断片的な情報だけでは見えない、多角的な世界の真実を知るための良質な入門書です。
5. まとめ
「池上彰の世界の見方 東欧・旧ソ連の国々」は、私たちが生きる世界で今も続く紛争の根本原因を理解するために不可欠な一冊です。
東欧の国々が抱える歴史的な苦悩を知ることは、単なる知識ではありません。
それは、世界の平和について考え、日本に住む私たちがどう向き合うべきかを考えるための第一歩となります。
ぜひこの本を手に取って、「ロシアに服属するか、敵となるか」という壮大な歴史のドラマを追体験してみてください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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