あなたはマーケティングのフレームワークを使いこなせていますか。
「STP」「4P」といった横文字の知識があっても、なぜか実務で成果につながらない、と感じることはありませんか。
本書『人がモノを買うしくみを言語化する』は、日本を代表するトップマーケター、富永朋信氏が30年以上の経験を凝縮した一冊です。
フレームワークの「表面」ではなく、「人がモノを買うしくみ」の根源にまで遡り、そのメカニズムを解体・再構築しています。
この記事では、人がモノを買うしくみを言語化する 要約を中心に、明日からあなたのマーケティングを一段階進化させる知見を詳しく解説します。
1. 著者の紹介
本書の著者、富永朋信氏は、日本のマーケティング業界を長きにわたり牽引してきたトップランナーです。
P&Gジャパン、らでぃっしゅぼーや、ドミノ・ピザジャパン、スターバックスコーヒージャパンなど、名だたる企業で要職を歴任しました。
特に、ブランド戦略やコミュニケーション戦略の分野で、数多くの成功事例を生み出してきた実績があります。
富永朋信氏のキャリアは、机上の空論ではなく、実務の現場で人の心を動かすことに徹底的にこだわってきた証です。
本書は、その豊富な経験から生まれた「ぐうの音も出ないほど腹落ちする」マーケティングの神髄を伝えてくれます。
2. 本書の要約
『人がモノを買うしくみを言語化する』は、マーケティングを単なる施策やフレームワークの集合体として捉えるのではなく、人の心の機序(メカニズム)から逆算して、その概念を再定義します。
人がモノを買うしくみを言語化するの核心は、「フレームワークは成功事例を後づけで抽出した結果であり、出発点ではない」というメッセージにあります。
この視点から、マーケティングの主要な概念を深く掘り下げていきます。
■ポジショニング:戦場は「選ばれる状況」にある
多くのマーケターは、ポジショニングを「競合との差別化」と考えがちです。
しかし、富永氏は「競合」ではなく「選ばれる状況」こそが戦場だと説きます。
ポジショニングの成功とは、「〇〇なら△△」と言い切れる「一言の約束」を生み出すことです。
重要なのは、ターゲットを属性(例:30代女性)ではなく、「深夜に甘いものが欲しくなるが罪悪感が強い人」といった具体的な状況で定義することです。
そして、「誰の・どの瞬間の・何の代替か」という最小表現で、あなたの製品が顧客の既存の行動を何に置き換えるのかを明確にします。
人がものを買う3つの理由
『人がモノを買うしくみを言語化する』
①なじみがあるから買う
②良いから買う
③好きだから買う
馴染をつくるためには、接触頻度を高めるより、消費者の非助成想起→非助成想起に入っていく必要がある。
『人がモノを買うしくみを言語化する』
競合は直感的に決めてはならない。
『人がモノを買うしくみを言語化する』
■ターゲティング:属性ではなく「決断の文脈」を狙う
ターゲティングも、属性で区切るのではなく、「決断の瞬間の文脈」で切ることが重要です。
ターゲットを、いつ、どこで、何をしたくて、何が邪魔で、だから当社の製品を試す、という「5行ターゲット定義テンプレ」で言語化します。
顧客の動機は「快楽(得たい)」「回避(避けたい)」「昂揚(変わりたい)」の三系統に分類されます。
この動機と、購買を妨げる「阻害要因」(面倒、高い、不安)を正確に特定し、言葉によってその阻害要因を無効化することがターゲティングの本質です。
「人より意図」でターゲティング
『人がモノを買うしくみを言語化する』
■ブランド:期待を記憶に強く残す「約束のショートカット」
ブランドとは、顧客の頭の中に作る「記憶に強い約束」を届ける装置です。
本書では、ブランドを「期待のショートカット」として定義します。
顧客が製品を見た瞬間に、「こういうものだろう」と過去の経験から期待を呼び起こす仕組みのことです。
メッセージは、7〜12文字の核に凝縮させることが効果的です。
また、ロゴを消しても「うちの製品だ」とわかる記号(色、形、音)を固定化し、顧客の記憶の回路を太くすることがブランディングの核となります。
ブランドとは「らしさ」のことである
『人がモノを買うしくみを言語化する』
消費者の心の中で蓄積されたブランド理解・企業や製品にかかる印象の総和がブランド
『人がモノを買うしくみを言語化する』
■インサイト:「だから私は○○できない」という言い訳を掘る
インサイトは、顧客が表層では気づいていない「深層の欲求」とよく言われます。
しかし、富永朋信氏はインサイトを「だから私は(望み)したいけど、(障害)で、(妥協行動)をしている」という「言い訳」の文章で掘り下げることを提案しています。
この「言い訳」は、行動ログ、失敗談、他者への嫉妬など、顧客のネガティブな感情の裏に隠れています。
この言い訳を言語化することで、製品が解消すべき真の障害が見えてくるのです。
インサイトは発見するものではなく、観察と仮説と反証のサイクルで「鍛えて」いくものだと説明されています。
インサイトとは、「商品やサービスが購入されるトリガーとなる潜在的な消費者真理」
『人がモノを買うしくみを言語化する』
■コミュニケーション:言葉の梯子を上る
コミュニケーションは、認知、理解、納得、行動という「言葉の梯子(はしご)」を顧客に一段ずつ上らせる営みです。
媒体選びから入るのではなく、まず、各段に置くべき「一言」を先に決めることが重要です。
行動喚起(CTA)は、「やるべき一個の行動」に絞り込み、顧客が次のステップを迷わないように設計します。
KPI(目標指標)も、認知段階では「到達率」、納得段階では「比較勝率」など、段ごとに違うことを理解して設計する必要があるのです。
インパクトの正体は「ビックリ」→「納得」
『人がモノを買うしくみを言語化する』
■MVVとパーパス:行動規範への翻訳
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やパーパスは、かっこいい標語で終わらせてはいけません。
それを採用、育成、評価の基準となる「行動規範」へ翻訳することが求められます。
「あいつらと俺たち」という感覚、つまり社内外で敵味方の輪郭を曖昧にしない「部族化」が、MVVを機能させる鍵となります。
ミッション:ブランドが成し遂げたいコト
『人がモノを買うしくみを言語化する』
ビジョン:そのためにどのような組織になりたいか
バリュー:ミッション、ビジョンを実現するために大事にすること
パーパス:ミッションとビジョンを足したような概念
3. ココだけは押さえたい一文
本書の核心であり、フレームワーク思考から脱却するための重要な視点です。
フレームワークは、基本的に成功事例に共通する要素を、後づけで抽出・メタ化したものである。
『人がモノを買うしくみを言語化する』
フレームワークは「結果」であり、「出発点」ではないと理解することで、マーケティングの思考は人の心の機序へと遡ることができるようになります。
4. 感想とレビュー
『人がモノを買うしくみを言語化する』は、これまで「わかったつもり」で使っていたマーケティング用語の薄っぺらさを剥がしてくれる一冊です。
ターゲットを「属性」ではなく「状況」で定義するという考え方は、すぐに実務に活かせると感じました。
著者の富永朋信氏は、あらゆる概念を「なぜそれが機能するのか」という根本原理まで掘り下げています。
その説明は非常に論理的で、まさに「ぐうの音も出ない」ほど腹落ちさせてくれます。
会議で「とりあえずフレームワークに当てはめよう」となりがちなチームに、ぜひ一読を勧めたい内容です。
読み終えた後、「その状況、たった7〜12文字で何と言う?」という問いが、あなたの思考の芯を太くしてくれるはずです。
5. まとめ
富永朋信氏の『人がモノを買うしくみを言語化する』は、マーケティングの核となる概念を、人の心のメカニズムから再定義した「解体新書」です。
人がモノを買うしくみを言語化する 要約のポイントは、フレームワークに依存せず、人の感情、動機、阻害要因に徹底的に向き合うことです。
ポジショニングからインサイト、ブランディングに至るまで、すべての施策の優先順位がクリアになるはずです。
「マーケティングの知識はあるけれど、実践で結果が出ない」と悩むビジネスパーソンは、ぜひ本書で「腹落ち」を体験してください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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