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今回は『大前研一 日本の論点 2025~2026』についてレビューと要約の記事となります。
時代の潮流を読む!大前研一氏が徹底分析『大前研一 日本の論点 2025~2026』要約とレビュー
1. 著者の紹介
大前研一(おおまえ けんいち)氏は、日本を代表する世界的な経営コンサルタントです。マッキンゼー・アンド・カンパニーで長年にわたり活躍し、数々の企業の戦略策定を支援してきた、まさに伝説のコンサルタントとしてその名を知られています。
その卓越した分析力と、常に時代の先を見据える深い洞察力は、経済、ビジネス、政治、社会など、多岐にわたる分野で遺憾なく発揮されています。数多くの著作や講演を通じて、日本社会の現状に警鐘を鳴らし、変革の必要性を訴え続けている、まさに知の巨人です。
「ボーダレス経済」や「グローバルストラテジー」といった先駆的な概念を提唱し、グローバルな視点から日本経済の課題と可能性を論じる第一人者として、国内外で揺るぎない評価を得ています。その率直で核心を突く発言と、具体的な解決策の提示は、多くのビジネスパーソンや政策立案者にとって、羅針盤のような存在となっています。
年末の恒例となっている『日本の論点』シリーズは、大前氏がその年の国内外の重要な課題を徹底的に分析し、来るべき一年を見据えた上で、私たちに重要な視点と提言を与えてくれる、まさに必読の書と言えるでしょう。
2. 本書の概要
『大前研一 日本の論点 2025~2026』は、日本が国内外で直面するであろう喫緊の重要課題を、大前研一氏が独自の鋭い視点と、長年の経験に裏打ちされた深い洞察力で徹底的に分析し、具体的な解決策や未来への提言を示す一冊です。2024年の空前の選挙イヤー、特に世界を揺るがしたアメリカ大統領選挙でのトランプ氏の劇的な復権や、日本経済の長期低迷を象徴するGDP世界第4位転落という衝撃的な出来事を背景に、日本が進むべき未来への道筋を、力強く指し示します。
本書は、Part1「日本編」とPart2「海外編」の二部構成で、日本の経済の停滞、政治の混迷、地方の衰退、エネルギー問題、国民皆保険制度の危機といった、国内で今まさに取り組むべき重要な課題に加え、世界的な右傾化の潮流、複雑化する地政学リスクの高まり、先行き不透明な米中関係の行方、長期化するウクライナや中東の紛争、そして緊張が高まる台湾情勢など、日本を取り巻く国際情勢についても、その本質を鋭く分析しています。
本書の大きな特徴は、単に問題点を指摘するに留まらず、「では、具体的にどうすれば良いのか?」という、建設的な解決策を提示している点です。大前氏の豊富な知識と、長年のコンサルティング経験に裏打ちされた具体的で実践的な提言は、読者に新たな視点を与え、複雑で不確実な現代を生き抜くための重要なヒントとなるでしょう。
年末の定番として、多くの読者に待ち望まれ、支持されている本書は、2025年、そしてその先の日本と世界の動向を深く理解するための、まさに必読の書と言えるでしょう。さらに、読者限定の動画視聴サービスも提供され、大前氏の分析をより深く、多角的に理解する上で、強力な助けとなります。
3. 本書の要約
『大前研一 日本の論点 2025~2026』は、日本が直面する国内および国際的な重要な論点を、多角的な視点から徹底的に分析し、具体的な提言を行う二部構成となっています。
【Part1 日本編】巻頭言の要約
大前研一氏は、『日本の論点 2025-2026』の巻頭言において、観光産業こそが日本経済の起爆剤となり、やり方次第では自動車産業を上回る規模に成長する可能性を秘めていると主張しています。
現在の訪日外国人旅行者数の増加と円安を背景に、政府が掲げる2030年の目標(訪日外国人旅行者数6000万人、消費額15兆円)は低すぎると指摘。日本の観光GDP比が主要観光国と比較して低い現状を踏まえ、日本の潜在能力からすればGDPの10%を観光産業で稼ぐことも不可能ではないと述べ、インバウンド消費額も50兆円のポテンシャルを持つと試算しています。
少子高齢化が進む日本において、地方創生に固執するよりも、観光政策を一元的に担う「観光省」を設置し、国家として全面的に取り組むべきだと提言しています。
一方で、2024年に顕在化したオーバーツーリズム問題に対し、景観を損なう黒幕設置や外国人向けの二重価格といった対策は愚策であると批判。真の観光大国は、訪日外国人旅行者の誘致と地域住民の安心した暮らしを両立させるべきだと主張しています。
その解決策として、まだ注目されていないローカルな穴場地域への旅行、すなわち「アンダーツーリズム」の推進を提唱。自身が日本各地を巡った経験から、観光地としてのポテンシャルを秘めた地域が数多く存在すると指摘し、それらを整備することで新たな訪日外国人を呼び込み、オーバーツーリズムの平準化を図れると説いています。
世界的なラグジュアリーリゾートの事例を挙げ、「何もない」場所の価値と、豊かな自然を活用したリゾート開発の重要性を強調。日本の多くの地域がアンダーツーリズムの宝庫であるにもかかわらず、その魅力が活かされていない現状を嘆いています。地域特性を活かした柔軟な発想による観光開発の必要性を訴え、世界遺産頼みの観光や、画一的な規制が開発の足かせになっている現状を批判しています。
最後に、国立公園での民間活用による魅力向上事業に触れ、これがアンダーツーリズムを広げる試金石となると期待を寄せています。
要するに、大前氏は日本の観光産業が持つ巨大な可能性を強調し、従来の観光政策の枠組みを超えた大胆な発想と、アンダーツーリズムの推進による新たな観光立国への道筋を示すとともに、オーバーツーリズムへの適切な対策の必要性を訴えています。
【Part1日本編】
『大前研一 日本の論点 2025~2026』
巻頭言 やり方次第で自動車産業を上回る規模へ。観光産業こそが日本経済の起爆剤となる
Theme01 少数与党の石破首相は「名宰相」として歴史に名を残せるか?
Theme02 日経平均株価の最高値更新は「失われた30年」の終わりを意味するのか?
Theme03 日本衰退の象徴であるGDP世界第4位転落からの回復は可能か?
Theme04 繰り返される「政治とカネ」問題に終止符を打つために、何を行うべきか?
Theme05 9人の自民党総裁選立候補者が誰一人、政策に上げなかった日本の統治機構の問題とは?
Theme06 候補者乱立でフィーバーした都知事選の裏で深刻化する都政の真の問題点とは?
Theme07 人口増加以外の方法で、地方を活性化できる「逆転の発想」とは何か?
Theme08 「令和の米騒動」の裏に隠れた日本の農業の問題とは?
Theme09 福島第一原発の処理水放出で見落とされていた「科学的視点」とは?
Theme10 国民皆保険制度の破綻を防ぐために、現行の医療制度にどのようなメスを入れるべきか?
Theme11 日本の電機メーカーの雄、東芝を上場廃止に追い込んだ元凶とは?
Theme12 ヨドバシカメラの西武池袋出店から読み取れるのは百貨店ビジネスの凋落か?
Theme13 プログランミングは時代遅れ? 生成AIで求められる人材像はどのように変わったのか?
Theme14 日本人の致命的な欠点である「プレゼン力の低さ」を克服することは可能か?
【Part2 海外編】巻頭言の要約
大前研一氏は、海外編の巻頭言において、2024年が空前の選挙イヤーであり、世界中でポピュリストリーダーたちが台頭する傾向が見られたと指摘しています。
2024年には、アメリカ大統領選挙をはじめ、台湾、インドネシア、ロシア、メキシコなどの国家元首選挙、そして韓国、インド、EU、フランス、イギリス、日本などの国政選挙が行われ、地方議会選挙まで含めると約70カ国、地球に暮らす4割以上の人々が選挙に関わったと述べています。
その中でも特に注目されたのがアメリカ大統領選挙でのトランプ氏の返り咲きであり、これは2024年の世界的なトレンドを象徴する出来事だと捉えています。そのトレンドとは、「日和見的な右傾化」であり、各国で右派・極右政党やポピュリスト政治家の勢力が拡大しているものの、有権者の多くは極端な右傾化を全面的に支持しているわけではなく、適度にバランスを取る動きも見られると分析しています。
欧州議会選挙、フランス総選挙、ドイツ州議会選挙を例に、極右勢力が議席を伸ばす一方で、中道右派が支持を維持したり、有権者が極右の台頭に危機感を抱いてバランスを取る投票行動を見せたりする事例を紹介。主要国での右傾化が極右の議席増につながっているものの、EU全体としてはバランスが保たれている状況を示唆しています。
右傾化の背景には移民の流入があると指摘しつつも、移民受け入れの歴史が長い国では、極右が政権を握っても現実的に移民排斥は不可能であると論じています。極右政党の政治家自身も、移民なしには国民生活が成り立たないことを理解しており、政権を担うと現実路線に転換する例(イタリアのメローニ首相)を挙げています。
しかし、ベネズエラのチャベス前大統領のような極端な自国ファースト政策を実行するリーダーが存在することも警告。グローバル経済の中で自国ファーストを推し進めれば国が傾くのは明白であり、反グローバリズムや移民排斥を煽るポピュリストへの警戒を怠るべきではないと警鐘を鳴らしています。
2025年にもドイツ総選挙など重要な選挙が控えていることに触れ、引き続き世界情勢の動向を注視する必要性を強調しています。
要するに、大前氏は2024年の世界的な選挙イヤーを振り返り、ポピュリストの台頭というトレンドを指摘しつつも、有権者の冷静な判断によるバランス感覚や、極右指導者の現実路線への転換といった側面にも注目。一方で、極端な自国ファースト政策の危険性を警告し、今後の世界情勢の行方に注視する必要性を訴えています。
【Part2 海外編】
『大前研一 日本の論点 2025~2026』
巻頭言 空前の選挙イヤー2024を振り返る。台頭するポピュリストリーダーたち
Theme01 世界的な右傾化トレンドにストップをかける方法はないのか?
Theme02 新たな地政学リスクの中、日本の外交姿勢は対米追従のままでよいのか?
Theme03 「トランプ圧勝」の大統領選。“ピンチヒッター、ハリス”はなぜ失速したか?
Theme04 イスラエルとパレスチナの「不毛な戦い」に終止符を打つ方法は残されていないのか?
Theme05 3年目に突入したロシアのウクライナ侵攻は、プーチンの勝利で終るのか?
Theme06 反日教育が行われる中国で起こった「ヘイトクライム」を防ぐ方法はあるのか?
Theme07 「台湾有事」が喧伝される中で行われた総統選挙が示す、台湾人の本音とは?
Theme08 半導体から地震対策まで、台湾の繫栄の方程式から何を学ぶべきか?
Theme09 14年ぶりの労働党政権誕生によって、イギリスは「EU再加盟」に向かうのか?
Theme10 グローバルサウスの盟主の道を突き進むインドに日本はどう向き合うべきか?
Theme11 生成AI各社がしのぎを削る国際競争において、日本企業は勝者になれるのか?
Theme12 EVブームが一段落した今、次世代の自動車メーカーの勝者となるのは?
4. 感想とレビュー
『大前研一 日本の論点 2025~2026』を読んで、まず感じたのは、大前さんの未来を見据える洞察力の深さです。日本編では、観光産業という意外な視点から日本経済の活性化策を提示し、既成概念を打ち破るような提言に心を惹かれました。特に、オーバーツーリズムという現代的な課題に対し、「アンダーツーリズム」という新たな視点を提示し、具体的な解決策を示唆している点は非常に興味深いです。
一方、海外編では、世界を覆うポピュリズムの潮流を冷静に分析しつつも、その危険性についても警鐘を鳴らしており、国際情勢を理解する上で非常に示唆に富んでいます。各国の選挙結果を詳細に分析し、その背景にある社会構造や人々の心理まで読み解こうとする姿勢は、まさにプロのコンサルタントならではの視点だと感じました。
全体を通して、大前さんの提言は具体的で実践的であり、単なる問題提起に留まらない点が魅力です。日本の未来、そして世界の潮流を深く理解したいすべての人にとって、本書は必読の書と言えるでしょう。
5. まとめ
『大前研一 日本の論点 2025~2026』は、「大前研一 日本の論点」シリーズの最新刊として、日本と世界の未来を読み解くための重要な羅針盤となる一冊です。観光産業の可能性、ポピュリズムの台頭といった、現代社会における重要なテーマに対し、大前研一氏ならではの鋭い視点と具体的な提言が満載です。日本の未来を真剣に考えるすべての人に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。本書を読むことで、きっと新たな視点と、未来への希望が見えてくるはずです。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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