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今回は『シェアする美術』についてレビューと要約の記事となります。
著者
洞田貫 晋一朗
1979年生まれ。東京都出身
2006年 森ビル株式会社入社
六本木ヒルズ展望台、森アーツセンターギャラリーの企画・運営、広報などを経て、森美術館マーケティンググループに所属
森美術館のプロモーション、デジタルマーケティングを担当
1. 本書の概要
『シェアする美術』は、現代の美術館運営における新たな挑戦を描いた一冊です。著者の洞田貫晋一朗氏は、森美術館のデジタルマーケティング戦略を中心に、美術とSNSの融合について詳しく語ります。本書では、特に2018年における美術展覧会の成功例を取り上げ、SNSの活用がどのように観客動員に貢献したかを具体的に説明しています。「#empty」や「インスタ映え」などの現代的なトレンドが、美術館の来場者数増加にどのように役立ったのかを明らかにする一冊です。
2. 本書の要約
『シェアする美術』は、美術館がデジタル時代に適応するために行った取り組みを詳述しています。特に注目すべきは、SNSを活用したプロモーション活動です。森美術館が「N・S・ハルシャ展」で初めて実施した「#empty」という試みは、美術館の新しい来場者層を開拓するきっかけとなりました。この活動は、InstagramをはじめとするSNSを通じて、美術館の魅力を広める手段として有効に機能しました。また、SNSによるプロモーションだけでなく、デジタル技術を活用した展覧会自体の進化も本書で取り上げられています。
さらに、森美術館が2018年に開催した展覧会が入場者数1位と2位を達成した背景には、日本国内の美術館・博物館の中で最大規模のSNSフォロワー数を誇る同館のデジタルマーケティング戦略があると著者は述べています。SNSを駆使して来場者とのコミュニケーションを強化し、その結果、展覧会の知名度と来場者数を飛躍的に向上させることに成功しました。
3. 印象に残ったコメント
SNSは1対1の関係であることを意識し、
家族や友達に話しかける時と同じ気持ちで投稿を考える
大切なのは撮影・投降を促すムード作り
フォロアー数よりも大切な「エンゲージメント率」
一般に1~2%
3%超えるとアクティブ
どれだけアクティブなフォロアーを抱えているかが重要
基本情報をきちんと伝えていくことが大切
画面の向こうにいるお客さんを想像し、
彼らが本当に必要としている情報を淡々と投稿していく。
必要なのはユーザーに対する思いやり。
アップする写真を自分で撮る。
広告感が出さない。
投稿で一番伝えたいコト、大事なことを、一行目で表現。
トップページの統一感や美観が非常に重要
SNSは「秒の戦い」
最高の一瞬を切り取った写真の方が有利
動画の最初の5秒を見てもらうのが重要
4. 感想とレビュー
『シェアする美術』は、アートとSNSの融合を探る一冊として非常に興味深い内容を提供しています。従来の美術館のイメージを覆し、現代のデジタル時代における美術館の在り方を再定義している点が非常に印象的です。特に「#empty」の試みやインスタ映えを意識した展示方法は、若者層を中心に美術館への関心を高めるための重要な要素となっており、その影響力の大きさがよく伝わってきます。
また、デジタルマーケティングの具体的な戦略や失敗談も紹介されており、単なる成功体験だけでなく、リアルな現場の試行錯誤が感じられる点が本書の魅力の一つです。著者の洞田貫氏が語る、SNSの活用がいかにして美術館の魅力を広め、来場者数を増加させたのかを理解することで、現代の文化施設が抱える課題とその解決策について深く考えるきっかけになるでしょう。
5. まとめ
『シェアする美術』は、美術館がデジタル時代においてどのようにして来場者を引き寄せ、魅力的な体験を提供しているかを詳述した一冊です。SNSを駆使したプロモーション戦略や現代アートの新しい展示方法は、美術館の未来を示唆しており、文化施設の運営に携わるすべての人にとって必読の書です。SNSとアートの相性の良さを活かし、どのようにして美術館が観客を魅了しているのか、その秘密に迫る本書を通じて、新たな美術館の可能性を感じることができるでしょう。
最後まで読んでいただきまして、
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