【3分要約・読書メモ】自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学:しんめいP (著)

BOOKS-3分読書メモ-
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ご覧頂き誠にありがとうございます。
今回は『自分とか、ないから。』についてレビューと要約の記事となります。

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著者

しんめいP
大阪府出身。東京大学法学部卒業。
大手IT企業に入社し、海外事業で世界中とびまわるも、仕事ができないことがバレてひそやかに退職。
鹿児島にある島に移住して教育事業をするも、仕事ができないことがバレてなめらかに退職。
一発逆転をねらって芸人としてR-1グランプリ優勝をめざすも1回戦で敗退し、引退。無職に。
引きこもって布団の中にいたときに、東洋哲学に出会い、衝撃を受ける。
そのときの心情を綴ったnote、「東洋哲学本50冊よんだら「本当の自分」とかどうでもよくなった話」が少し話題になり、なぜか出版できることになり、今にいたる。

1. 本書の概要

自分とか、ないから。』は、しんめいPによる哲学エッセイで、東洋哲学を通じて「自分とは何か?」に対する根本的な問いを解く一冊です。ブッダ、老子、親鸞など、7人の東洋哲学者の思想を軽妙でポップな語り口で紹介し、自己認識や悩みに対する新しい視点を提供します。複雑な哲学をわかりやすく、読者に寄り添うような形で展開する本書は、哲学に詳しくない人でも気軽に楽しめます。

2. 本書の要約

本書は、東洋哲学の中核である「無我」「空」「道」などの概念を基盤に、私たちが日常的に抱える悩みや迷いに新たなアプローチを提案しています。それぞれの章は哲学者ごとにまとめられており、ブッダの「無我」は自我を捨てることによって苦しみから解放される教えを説き、龍樹の「空」はこの世のすべてがフィクションであることを示しています。老子や荘子の「道」は、ありのままに生きることの重要性を説き、親鸞は自分の無力さを受け入れることで救済に至るという教えを示します。達磨大師は言葉を捨てることによって本質を見極め、空海は欲望さえも受け入れることで真理に近づけると説いています。

それぞれの教えは、一見すると現代の価値観と反するように感じられますが、本書ではこれらの哲学がどのようにして今の時代に役立つのかを、実際の生活に根差した形で論じています。東洋の古典的な思想が、現代の悩みやストレスに対してどのように効果を持つのかを知ることができ、自己啓発や心理学に興味がある人にも親しみやすい内容になっています。

3. 本書のポイント

はじめに

東洋哲学のいいところは、は基本的に
「どう生きればいいか」がテーマなこと。そして「答え」があること。
東洋哲学は、とにかく楽になるための哲学。

1章 「無我」 自分なんてない(ブッダ)

自分とか、ない。
「自分」がない、のだとしたら、「自分探し」はそりゃ苦しいはずである。

すべてが変わっているこの世界で、かわらない「自分」を作ろうとする。
そんなことしたら、苦しいに決まっているじゃん。

「おれがいるのが」という慢心をおさえよ。
これこそ最上の安楽である。

ウダーナヴァルガ 30章 19

2章 「空」 この世はフィクション(龍樹)

この世界はすべて「空(くう)」である。
つまり、この世界はすべて「フィクション」である。

「すべての悩みは存在しない」
「空(くう)」の哲学では、自分の「関わらない本質」は存在しない。

「強い/弱い」、「善い/悪い」「有る/無い」
全部フィクションである。
フィクションの世界を出てしまえば、そこは「空(くう)」。
すべてつながっている「縁起」の世界。

不変の「個性」,
不変の「性格」、不変の「アイデンティティ」は、ありえない。

「空(くう)」の哲学。
「自分」とは、そもそも「からっぽ」だ。
そして、「からっぽ」だからこそ最高なのだ。

3章 「道」 ありのままが最強(老子と荘子)

インドで「空(クウ)」の哲学が生まれて、
中国では「道(タオ)」の哲学が生まれた。

「道(タオ)」もまた、「空(クウ)」と同じように、
「この世界はフィクションだ」
「すべてのものはつながっている」

インドの哲学は、この世界から「解脱」するのがゴール。
中国の哲学は、この世界を「楽しむ」のがゴール。

中国の「道(タオ)」の哲学からは、「どうやったら人生がうまくいくか」という、処世術も導き出せちゃう。

4章 「禅」 言葉はいらねえ (達磨大師)

Q:「言葉を超える」には、どうしたらいいか?
A:「禅」の回答は、「言葉を捨てろ」

シンプルに「言葉を捨てる」
これでいいのだ。

自分が「ダメ」と思った瞬間、「あ、言葉の世界に入っているな」と認識するだけで全然違う。
散歩でも、なんでもいいから、とにかく言葉の世界から離れる。
「デキる」自分みたいな、別のフィクションはいらない。
むしろ毒。
言葉を捨てると不思議とアイディアがわいて、何とかなる。

5章 「他力」 ダメなやつほど救われる(親鸞)

親鸞は、「ダメなやつほど、救われる」を徹底的に体現した。

親鸞は結婚もすることで、「ダメな人間でも救われる」という教えを信じている人々に、勇気をもらった。

6章 「密教」 欲があってもよし(空海)

「禅」は「死」、密教は「生」にフォーカスしている。
本当の自分とは何か?→そんなもん、ない。からっぽだ。

4. 感想とレビュー

自分とか、ないから。』は、哲学というとっつきにくいテーマをポップな文体で展開し、東洋哲学のエッセンスを誰でも理解できるようにまとめています。著者のしんめいPは、専門用語にとらわれず、ユーモアを交えた語り口で、難解な哲学を親しみやすくしてくれます。特に、日常的に抱える自己認識や人間関係の悩みに対するアプローチが斬新で、読んでいて新鮮な発見が多いです。

ブッダの「無我」や龍樹の「空」など、各章で取り上げられる哲学者たちは、現代の問題にも適応可能な教えを持っており、それぞれの思想がシンプルでありながら深い意味を持っています。たとえば、「自分」という概念を一度解体することで、人生の悩みが薄れるという考え方は、多くの人にとって驚きかもしれません。しかし、読み進めるうちに、これらの教えが驚くほど論理的で、実生活に役立つものであることが明らかになります。

本書はまた、哲学初心者にも非常に親しみやすい構成になっています。各章ごとに、哲学者の教えが具体例を交えて説明され、特に親鸞や空海といった日本の思想家たちの考え方が、現代の日本社会にどのように適用できるかを具体的に示してくれます。自己啓発やマインドフルネスに興味がある人は、必ずや多くのインスピレーションを得られるでしょう。

5. まとめ

自分とか、ないから。』は、東洋哲学の深遠な教えを身近に感じられる一冊です。しんめいPの軽快な語り口とユーモアは、読者を引き込み、深い哲学的思索への道筋を楽しく案内してくれます。「自分とは何か?」という問いに対して、ブッダや龍樹、親鸞といった哲学者たちの教えが新しい視点を提供し、読者の人生観に変化をもたらすことでしょう。複雑な哲学的テーマをシンプルに解説しているため、哲学に詳しくない人でも十分に楽しめる内容です。

最後まで読んでいただきまして、
ありがとうございました。

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