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今回は「かすり傷も痛かった」についての記事となります。
■著者
箕輪厚介
早稲田大学卒業後、双葉社に入社。『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊し完売。『たった一人の熱狂』(見城徹)/『逆転の仕事論』(堀江貴文)などの編集を手がける。幻冬舎に入社後は、新たな書籍レーベル「NewsPicks Book」を立ち上げ、編集長に就任。『多動力』(堀江貴文)、『日本再興戦略』(落合陽一)のほか、2019年に一番売れたビジネス書『メモの魔力』(前田裕二)など次々とベストセラーを出す。自著『死ぬこと以外かすり傷』は14万部を突破。雑誌『サウナランド』は2021年のSaunner of the Yearを受賞。2022年『死なばもろとも』(ガーシー)を出版。
■まとめ
・1冊で、仕事論と人生論、2冊を読むことができる。
本書は、『死ぬこと以外かすり傷』が全文収録されています。
同時に、それに対する反省と振り返りを書き下ろした『かすり傷も痛かった』が収録されている。
この本は、『死ぬこと以外かすり傷』に対するアンサーソング。
『死ぬこと以外かすり傷』は仕事論で、『かすり傷も痛かった』は人生論。
これから仕事を頑張るぞと言う鼻息荒い若者は、『死ぬこと以外かすり傷』を読んで仕事に狂うのも良い。
でも、その途中で何かに絶望したり、調子に乗りすぎで著者のように文春砲を食らったりしているのであれば、『かすり傷も痛かった』は新しい生き方のヒントになるかもしれない。
このブログでは、『死ぬこと以外かすり傷』をBefore、『かすり傷も痛かった』をAftertとして紹介します。
■第1章[考え方]
Before:予定調和を破壊せよ
After:予定調和をするな
Before:トラブルに身を投げろ
After:トラブルはすべて身から出た錆
Before:バカなことにフルスイングせよ
After:バカなことはバントぐらいにせよ
Before:トラブルに身を投げろ
After:トラブルはすべて身から出た錆
『THE TEAM』を書いた起業家の麻野 耕司さんの言葉
「成長でも脱成長でもいいけど、人間は物語がないと幸せに生きられない。自分で物語を作れなくても会社とか宗教とか推し活とか他者の物語に参加することで生きがいを感じれる」
人生は思い出作りだとしても、刹那的に楽しいことだけをつまみ食いしても幸せは感じられない。日常が大切で、その日常を支えるのは物語なのだ。
Before:安全安心を破壊せよ
After:安全安心があるから戦える
Before:言ってはいけないことを言ってしまえ
After:言ってはいけないことは言ってはいけない
■第2章[商売のやり方]
Before:自分の手で金を稼げ
After:自分の手だけで金を稼ぐな
Before:意識くらい高く持て
After:意識が高いと嫌われる
Before:金と感情のダークサイドスキル
After:幸福相対性理論
幸福を感じるかどうかは、あくまで相対的な比較に過ぎない。
この「幸福相対性理論」を逆手にとって、「あえてのアウェイ」に自分を置くことで、手元の幸せを再認識する。
数百万するディナーを食べたり、めちゃくちゃ綺麗な女優を見ても「ああ、こんかものか」と思うことも多い。分不相応な幸福は消化できない。幸せを感じるために必要なのは、自分の生活レベルを上げることではない。
アウェイに飛び込むことで、退屈な日常が輝いて見える。
Before:帰る場所がある人間に人は熱狂しない
After:帰る場所がある人間は競争しない
■第3章[個人の立たせ方]
Before:名前を売れ
After:名前を売ると叩かれる
自分の意識で時代を作っているつもりになっていたが、実は時代という大きな脚本の中で役を振られていただけ。
Before:恥をかけ、血を流せ
After:恥をかいて、血を流しているつもり
■第4章[仕事のやり方]
Before:手を動かせ
After:手を止めて考えろ
Before:スピード、スピード、スピード
After:スピードから暇な時代へ
AIが発展すればするほど、人間は手触り感のある生産活動を本能的に欲する。もちろん本当のサバイバルではなく、テクノロジーの恩恵を受けながら非効率な生活を楽しむようになる。
釜でコメを炊く、その間にサウナに火を入れる、その日を見ながら半日が過ぎで行く。そこにスピードは必要とされない。
Before:量、量、量
After:もう量はいらない
勇気を出してくだらないものは作らないと決めることも大切だ。今はまだ惰性で売れているだけで、モノを買わない世代がもっと増えたら消費とい概念すら無くなっていくだろう。
Before:熱狂に出会うための自然消滅のススメ
After:熱狂は「生産」から「表現」へ
人生の楽しみを「生産」だけでは埋められなくなる時に、プロセス自体を楽しめる「表現」を持っていられるかが大切だ。
■第5章[人間関係の作り方]
Before:丸裸になれ
After:丸裸でダサいまま生きる
Before:目的だけをにらみつけろ
After:目的もなく意味すらない
「役に立つ」という機能性で競争するとトップの一つしか生き残れない。
「役に立つ」ではなく「意味がある」にシフトすると、その競争から逃れられる。
「役に立つ」より「意味がある」。これは、今の時代を生きるビジネスパーソンの合言葉になった。ここからさらに進み、「意味がある」から「意味すらない」へのパラダイムシフトが今後起きるかもしれない。
■第5章[生き方]
Before:熱狂せよ
After:熱狂は気まぐれだ
Before:数字から逃げるな
After:数字から自由になる
「幸せ」かどうかに数字は関係ない。自分で「自分は幸せ者だ」と思えれば幸せなのだ。年収1億年でも不幸な人はいるし、年収300万でも幸せな人もいる。
つまり「成功」かどうかは社会のモノサシが決め、「幸せ」かどうかは自分のモノサシが決める。
数字と闘うことで得られる快楽もあるが、数字から自由になった人だけが見られる世界もある。
Before:この世に受け入れられない才能を愛する
After:誰にでも受け入れられるべき魅力がある
■感想
一冊で、仕事論と、人生論の本を読むことができるような一度で2度おいしい本。2018年に発行された『死ぬこと以外かすり傷』で書かれている仕事論は、間違っているわけでもなく、修羅場を超えてきた著者の生の声がぎっしり入っている。それから5年たって、著者自身は、恥ずかしくて『死ぬこと以外かすり傷』を直視できないと言っている。仕事論としては間違っていないと今でも思っているが、幸せとずっと比例するかは別だということ。
文春砲を食らい、すべてを失った著者が5年前の自分と会話しているような本。人生の中で、一心不乱に頑張る時もあれば、少し休む時もあってもいい。仕事と違って、人生には明確な結論や正解がない。著者自身も競争から瞑想に変わった人生を今感じるままに言葉にしている。ジェットコースターのような人生を歩んでいる著者の人間臭さがたっぷり詰まった一冊です。
最後まで読んでいただきて、ありがとうございました。
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