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今回は「リーダーを育てる会社 つぶす会社 」についての記事となります。
■著者
ラム・チャラン
GE、シティコープをはじめとするフォーチュン100社やベンチャー企業のCEOのアドバイザー。世界各国の大企業でリーダーシップ開発のコンサルティングを行う。ビジネスウィーク誌が発表した役員教育プログラムに関するランキングで、全米第2位に選ばれた。ハーバード・ビジネス・スクール、およびノースウェスタン大学大学院ケロッグ・スクールで教鞭を執った。
ステファン・ドロッター
GEにて初期の後継者育成プロセスを導入。シグナ保険、チェースマンハッタン銀行などで人材開発に携わったほか、コンサルタントとして、多くのグローバル企業の役員教育に携わってきた。現在は、後任者の育成を専門とするドロッター・ヒューマン・リソーシス社を運営。
ジェームズ・ノエル
GEで役員教育やリーダーシップ開発、フィリップ・モリスで役員教育に従事し、バーリントン・ノーザン鉄道では人材開発担当バイス・プレジデントを務めた。現在は、役員育成を専門とするコンサルティング会社、ノエル・アンド・アソシエイツを運営。
■まとめ
・「リーダーシップ・パイプライン・モデル」
有能なリーダーを育てるには、どうすればいいのだろうか?
その一つの解となるのが、本書で紹介している「リーダーシップ・パイプライン・モデル」である。
「リーダーシップ・パイプライン・モデル」は、リーダーの育成や問題発見に役立つフレームワークであり、人材育成の面で高い評価を受けているアメリカのゼネラル・エレクトリックやシティコープ、マリオット・インターナショナルなどで実際に活用されている。
このモデルの大きな特徴は、リーダーシップを細かく捉えている点にある。私たちは、リーダーシップと言うと、とにかく一握りで捉えてしまう傾向がある。ポジションによって求められるリーダーシップは違う。係長に求められるリーダーシップは、社長に求められるリーダーシップと違うように。係長には係長の、課長には課長の、社長には社長の果たすべき役割があり、それを行うための要件は異なってくる。
つまり、役職ごとに、要求されるスキルも、時間の使い方も、意識の持ち方も違う。
このモデルのもう一つの特徴は、リーダーとしての成長の道筋を示している点にある。係長から課長へ、課長から部長へというステップを着実に歩んでいくことが、リーダーとして成長していくうえで大切であり、ステップを飛ばすことは極力避けたほうが良い。
人材が管理職としての持っている潜在能力を発揮するには、その役職における真の職場要件と、次の職位へ移行するのに不可欠な要素を見極める必要がある。人材のパイプラインを築き上げるということは、個人の潜在能力と管理職の要件とをうまく一致させること。この目的を達成するのに役立つのが、役職によって求めれれる要件が異なることを前提とした「リーダーシップ・パイプライン・モデル」である。
・アップデートするべき3つの職務要件
「リーダーシップ・パイプライン・モデル」は、6か所でジグザグに折れ曲がっており、それぞれの曲がり角(転換点)で組織上の職位が変わる。
管理職は、各転換点において新しいマネジメント法を身につけ、3つの職務要件を新たに習得し、それまでの古いやり方を捨てなければならない。
- スキルー新しい責務を全うするために必要な新しい能力
- 業務時間配分ーどのように働くかを規定する新しい時間枠
- 職務意識ー重要性を認め、躊躇くすべきだと信じる事柄
■構成
本書は、2つのパートで構成されている。
前半では、パイプライン上の転換点を示し、うまく転換を図るために必要なスキル、業務時間配分、職務意識について解説している。
後半では、企業内の人材問題や昇進の検討の際に、パイプライン・モデルをどのように適用したらよいかを中心に解説している。後半は、パイプラインを使った問題の存在や、育成計画の作成、効果的な管理職の業績管理などの参考になる。
■感想
本書は、新しいアイディア、コンセプト、フレームワークなど、グロービスが実践的と考える書を分かり訳す紹介していく翻訳書のシリーズ。『グロービス選書』の第一弾。
30代で小林製薬という老舗の上場企業の執行役員になった石戸亮の著書「CDO思考」で一番繰り返し読んだ本の一冊として紹介されていたため手に取った。
ある個人の経験から導き出したリーダーシップ論ではなく、体系的にまとめられている点が本書の特徴。会社の規模や、市場、環境に影響を受けないようなフレームワークに落とし込まれているので、時間が経過しても参考にできる点が多い。手元に置いておいて、何度も読み返すたびに新しい発見があるし、社内の評価制度の作成や、育成計画などを作る羅針盤となる一冊。
最後まで読んでいただきて、ありがとうございました。
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