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今回は『任せるコツ』についてレビューと要約の記事となります。
『任せるコツ』徹底解説:自分も相手もラクになる最高の任せ方
1. 著者の紹介
山本渉氏は、国内最大手のマーケティング会社で若くしてマネージャー職に就き、年間100件、100億円以上のプロジェクトをまとめる敏腕マネージャーです。しかし、最初から順風満帆だったわけではなく、マネージャーとして数々の失敗を経験したそうです。その経験から、「チームメンバーの話をとにかく訊いて深く理解し、最後はメンバーを信じて完全に任せることでメンバーも組織全体も成長し活性化していく」という教訓を得ました。本書『任せるコツ』は、その経験と学びを体系的にまとめたもので、令和時代のマネージャー・リーダーにとって必読の指南書と言えるでしょう。また、第1回日本ビジネス書新人賞「TSUTAYA賞」を受賞しており、多くの方に支持されていることが伺えます。
2. 本書の概要
『任せるコツ』は、「自分でやったほうが早い」という考えから抜け出せず、部下に仕事を任せられないマネージャーやリーダーに向けて書かれた一冊です。「丸投げ」というとネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、本書では、相手のことを考えた「正しい丸投げ」がいかに個人と組織の成長に繋がるかを解説しています。単に仕事を押し付けるのではなく、部下の育成やモチベーション向上、そして最高の成果を出すための任せ方を、具体的な方法と事例を通して学ぶことができます。部下の育成に悩んでいる方、プレイングマネージャーとして多忙な日々を送っている方は特に必読です。
3. 本書の要約
本書は大きく二部構成となっており、第一部では「丸投げ」の極意、第二部では「丸受け」できる人材の育て方を解説しています。
パート1 ドラッカーが教えてくれない「丸投げ」の極意
- 第1章 「どう頼むか」にはコツがある: 仕事を任せる際の頼み方について、具体的なコツを紹介しています。相手の意欲を引き出し、気持ちよく仕事に取り組んでもらうための方法を学びます。
- 第2章 「誰に頼むか」ですべてが決まる: 仕事を任せる相手の選定がいかに重要かを解説しています。適正と意欲のマッチングが丸投げ成功の鍵となることを学びます。
- 第3章 「丸投げ」の前後にあるもの: 仕事を任せる前後のフォローアップについて解説しています。任せっぱなしにするのではなく、適切なサポートとフィードバックが重要であることを学びます。
- 第4章 時代に合った任せ方: 変化の激しい現代において、どのような任せ方が有効かを解説しています。時代に合わせた柔軟な対応が求められることを学びます。
- 第5章 それでも「任せられない人」に: どうしても部下に任せられないと感じている人に向けて、その原因と克服方法を解説しています。心理的な要因にも触れ、根本的な解決を目指します。
パート2 任せて伸ばす「丸受け」できる人材の育て方
- 第6章 育成の真髄: 部下を育成する上で重要な考え方や心構えを解説しています。長期的な視点での育成が重要であることを学びます。
- 第7章 任せる技術は褒める技術: 部下の成長を促す効果的な褒め方について解説しています。適切なタイミングと方法で褒めることが、部下のモチベーション向上に繋がることを学びます。
- 第8章 モチベーションの上げ方「4+1」: 部下のモチベーションを高めるための具体的な方法(4つの要素+1つの要素)を紹介しています。実践的なテクニックを学ぶことができます。
- 第9章 任せて最高の成果を出すために: 部下に任せることで最高の成果を出すための方法を、事例を交えながら解説しています。組織全体のパフォーマンス向上に繋がる任せ方を学びます。
本書で特に重要なポイントは以下の通りです。
- 適正と意欲のマッチング: 仕事を任せる際には、相手の適正と意欲がマッチしていることが重要です。適材適所を意識し、相手が能力を発揮し、意欲的に取り組める仕事を選ぶことが大切です。
- 徹底的に聞くこと: 部下の適正と意欲を知るためには、徹底的に話を聞くことが重要です。1on1ミーティングなどを活用し、部下の考えや悩み、キャリアプランなどを深く理解することで、適切な仕事を任せることができます。
- 頼み方のコツ(意欲の創出、目的の明確化、充足欲求、選択肢の提示、負担の配慮): 仕事を任せる際には、相手の意欲を引き出す頼み方をすることが大切です。感謝の気持ちを伝え、仕事の目的を明確に伝え、相手のメリットを提示し、選択肢を与え、負担を配慮することで、相手は気持ちよく仕事を引き受け、高いパフォーマンスを発揮することができます。
意欲の創出:相手がやりたいと思える文脈になっているのか
目的の明確化:なぜ必要なのか理由を伝えているのか
充足欲求:利己都合ではなく相手にメリットがあるか
選択肢の提示:断る余白はあるか。スケジュールに相談の余地があるか
負担の配慮:負担を減らす工夫や相談の余地があるか
- 任せた後のフォローアップ: 仕事を任せっぱなしにするのではなく、適切なフォローアップとフィードバックを行うことが重要です。進捗状況を確認し、必要に応じてサポートすることで、部下の成長を促し、プロジェクトの成功に繋げることができます。
- 育成の視点: 任せることは単なる業務分担ではなく、部下を育成する絶好の機会です。適切な仕事を任せ、成功体験を積ませることで、部下の成長を促し、組織全体のレベルアップに繋げることができます。
- モチベーションの維持: 部下のモチベーションを維持することも、任せる上で非常に重要です。適切な評価とフィードバック、目標設定、キャリアパスの提示など、様々な方法で部下のモチベーションを高めることが大切です。
4. ココだけは押さえたい一文
「誰に頼むかですべてが決まる。」
『任せるコツ』
この一文は、本書のメッセージを端的に表しています。仕事を任せる際には、単に仕事内容だけでなく、誰に任せるのかが最も重要であり、適正と意欲のマッチングが成功の鍵を握っていることを示しています。
同じことを伝えるにしても、情報の順番で大きく左右する。
『任せるコツ』
「切り出し方が9割」と言っても過言ではないくらい、出だしが重要です。
”やってみよう”と思ってもらう意欲を、依頼する側が作り出す必要があります。
『任せるコツ』
そのためには、「感謝される」「褒められる」「自分しかできない特別感」の3つがポイントです。
「優秀か優秀じゃないか」よりも「向いているか向いていないか」、もっと言えば「相手がやる気があるか」という基準でアサインしていく
『任せるコツ』
依頼がどのように役に立ったか具体的にフィードバックをする
『任せるコツ』
フィードバック、感情、評価の3つが次の依頼に影響する
『任せるコツ』
Z世代の強い願望
『任せるコツ』
・話をしっかり聞いてもらいたい
・頻繁な承認を求める
・多様性の尊重、上司のやり方を押し付けられたくない
断る時の魔法の言葉
『任せるコツ』
「またお声がけください」
最後にこの一言さえ付け加えれば、すべてが解決です。
多少自分の考えと違っていても、目をつぶりましょう。
『任せるコツ』
積極的に失敗をさせましょう。
自分で考え、自分で進むことで成長を促しましょう。
育成の新4P
Person:正しい人
Place:正しい場所
Prepare:十分に準備された状態
Pressure:適度なプレッシャー
歳をとってやっちゃいけないのは説教、昔話、自慢話
『任せるコツ』
ポジティブなことは人前でも、ネガティブなことは本人だけに
『任せるコツ』
褒める時は他人と比較しない
『任せるコツ』
他人と比べてほめるのではなく、本人の成長やその人独自の長所を褒めましょう。
任せて、「成長を褒め、また任せて、そして成長を褒める、というループでメンバーの能力を伸ばす。
徳川家康のしかりり方
『任せるコツ』
・本人だけに伝える
・やわらかい言葉で伝える
・最初に今までの構成を讃えて感謝する
・最後にこの先も期待していると伝える
・家来への失跡は自分への戒めと捉える
明日死ぬかのように生きよ
『任せるコツ』
永遠に生きるかのように学べ
5. 感想とレビュー
『任せるコツ』は、マネージャーやリーダーだけでなく、チームで仕事をするすべての人にとって非常に役立つ一冊です。具体的な方法論と事例が豊富に盛り込まれており、すぐに実践に移せる点が良いです。著者の経験に基づいたリアルな視点は、読者に共感を与え、深い学びを与えてくれます。
良かった点:
- 具体的な方法論と豊富な事例: 抽象的な理論だけでなく、具体的な方法論と豊富な事例が紹介されているため、読者はどのように実践すれば良いのかを具体的にイメージすることができます。
- 著者自身の経験に基づいたリアルな視点: 著者のマネージャーとしての経験に基づいた解説は、非常に説得力があり、読者に共感を与えます。失敗談も率直に語られており、学びが多いです。
- 「丸投げ」の概念をポジティブに捉えている: 一般的にネガティブなイメージを持たれがちな「丸投げ」を、部下育成と組織成長に繋がるポジティブな行為として捉えている点は、非常に新鮮です。
- 部下育成とモチベーション維持に焦点を当てている: 単なる業務分担だけでなく、部下育成とモチベーション維持に焦点を当てている点は、マネージャーにとって非常に重要な視点です。
- 1on1ミーティングの重要性を強調: 部下を深く理解するために、1on1ミーティングがいかに重要であるかを具体的に説明している点は、非常に役立ちます。
6. まとめ
『任せるコツ』は、部下を持つマネージャーやリーダー、そしてチームで仕事をするすべての人にとって、必読の一冊と言えるでしょう。部下への任せ方を変えることで、自分自身の負担を軽減するだけでなく、部下の成長を促し、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。本書で紹介されている具体的な方法論と事例を参考に、あなたも「任せる」技術を磨き、チームを成功に導いてください。
特に以下のような方におすすめです。
- 部下を持つマネージャー、リーダー
- プレイングマネージャー
- 部下の育成に悩んでいる人
- チームで仕事をしている人
- 業務効率を上げたい人
- 組織のパフォーマンスを向上させたい人
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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