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今回は「マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ 」についての記事となります。
■著者
西口 一希(にしぐち・かずき)
Strategy Partners代表取締役。1990年大阪大学経済学部卒業後、P&Gに入社。2006年ロート製薬に入社、執行役員マーケティング本部長として「肌ラボ」「Obagi」「デオウ」「ロート目薬」などの60以上のブランドを担当。2015年ロクシタンジャポン代表取締役。2017年にスマートニュースへ日本および米国のマーケティング担当執行役員として参画。2019年株式会社Strategy Partnersの代表取締役として事業戦略・マーケティング戦略のコンサルタント業務および投資活動に従事。
著書に『たった一人の分析から事業は成長する 実践顧客起点マーケティング』(翔泳社)、『マンガでわかる 新しいマーケティング』(池田書店)、『企業の「成長の壁」を突破する改革 顧客起点の経営』(日経BP)、共著書に『アフターコロナのマーケティング戦略』(ダイヤモンド社)がある。
■第1章 なぜ多くの人が「マーケティングの樹海」に迷い込んでしまうのか?
・マーケティングとは「お客さま」と「価値」について考えること
西口氏のマーケティングの定義
お客さまのニーズを洞察し、お客さまが価値を見出すプロダクトを生み出すこと。さらに、その価値を高め続け継続的な収益を生み出し、その収益を再投資して新たな価値を作り続けること。
「マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ 」より
マーケティングとは「経営」に直結している。
大事なことは、「どんなお客さま(WHO)」に、「どんなプロダクト(WHAT)」を届けて「価値」を作るかという「WHOとWHATの組み合わせ」です。
それ以外のいわゆる4つのPのプロモーション(メディアや広告、クリエイティブ手法)やプレイス(販売チャネルや販売方法)、プライス(価格決定)をめぐる話は、WHOとWHATの組み合わせを実現するための手段や方法(HOW)に過ぎない。
その手法は時代とともに変わり、廃れてしまうこともある。
「マーケティングの樹海」を抜け出すための最初のステップは、「価値とは何か」を理解すること。
■第2章 マーケティングとは「価値づくり」
・便益と独自性を「自分ごと化」できたとき、お客さまは価値を見いだす
「WHAT(プロダクト)」は、何らかの「便益(選ぶ理由)」と「独自性(他を選ばない理由)」を提供し、「WHO(お客さま)」を獲得し、それによって収益を目指す、と言うのがビジネスの原則。
・価値とは「WHO(顧客)」が「WHAT(プロダクト)」に見いだした便益と独自性
・「WHO(顧客)」が「WHAT(プロダクト)」が提案する「便益」と「独自性」を自分ごと化して、はじめて価値は生まれる。逆にいえば、「WHAT(プロダクト)」が提案する便益と独自性を自分ごと化しなければ、価値は生まれない。
・「WHAT(プロダクト)」は、価値になるかもしれない便益と独自性を提案しているにすぎず、「WAHT(プロダクト)」自体に価値はない。
「マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ 」より
・価値の四象限
世の中のプロダクトは「価値」「コモディティ」「ギミック」「資源破壊」の4つに分類することができる。
・お客さまが見えなければ、プロダクトの価値は存在しないのと同じ
そのプロダクトを買ってくれている、もしくは利用してくれているお客さまが、そのプロダクトにどんな便益と独自性を見出しているのかを知ることが重要。
お客様に便益と独自性を伝え、プロダクトの便益と独自性を高め続ける。
マーケティングとは、お客さま(WHO)とプロダクト(WHAT)の間の「価値づくり」ともいえる。
■第3章 価値は「お客さま」と向き合うことで分かる
・すべては「たった1人の実際のお客さま」を理解することから
1人のお客さまに対して、「その商品を知ったきっかけ」「その際に、どう感じたか」「なぜその商品を買ったのか」「なぜ購入を続けているのか」を時系列で掘り下げていく「N1分析」を行うことで、購買行動の裏にある深層心理を徹底的に理解する。
大事なのは、平均値でもない、ペルソナ(架空の人物)でもない、具体的な1人を徹底的に理解すること。
誰か一人がお金を払ってでも手に入れたいと思っている価値に知して、同じように価値を感じる人は何千人、何万人、何百人といる。
■第4章 0から1、1から10、10から1000へ
・世の中のプロダクトは、すべて「ニッチ」からスタートする
- 0→1の段階(新事業や新商品の立ち上げ・スタートアップ期)
- 1→10の段階(大規模投資前の収益性の確立期)
- 10→1000の段階(大規模投資による規模の最大化)
最も大事なことは、最初のお客さまを見つけること。これが、ゼロイチ(0→1)の段階。
そこでお客さまを見つけ、そのお客さまが見出している価値をつかんだら、同じ価値を感じてくれるお客さまはほかにいるのか、いるとしたらどこにいるのか、どの程度いるのかを探りつつ、広げていく。これが「1→10」の初期グロース(成長)の段階。
さらに、子のプロダクトが提供することなる便益と独自性に価値を見いだすお客さまを発見し、大きく投資し拡大していくのが「10→1000」の段階です。
■第5章 マーケティングとブランディング
・マーケティングでやるべきことは、究極的には2つ
新規のお客さまの数を拡大していくと同時に、離反を最小化し、お客さまの継続購入を促すこと。そのための継続的な便益と独自性と価値づくり。これらが、マーケティングのすべてと言っても過言ではない。
・便益と独自性がなければ、ブランディングは成功しない
「ブランディング」とは、お客さまが価値を見出した便益と独自性とプロダクトの関係を強い記憶としてお客さまに残し、忘れられないように、また思い出しやすいようにして継続購入を最大化する手段です。
「ブランディング」とは、あくまで継続性を強化する手段です。
お客さまがその便益と独自性に高い価値を見出していない限り、いくらブランディング的な投資をしても、売り上げや利益を上げることには繋がらない。
「ブランディング」という言葉には「区別する」という意味以上のことはない。つまり、「ブランディングしたらモノが売れる」ということはありません。
■感想
「マーケティングの樹海」を抜け出すために最も大切なのは、流行りのツールや具体的な理論を覚えるよりも、マーケティングを含めた「ビジネスの原理」を理解すること。本書では、難しいマーケティング理論は出てこない。専門用語なしで事前にマーケティングのことを知らなくても、「ビジネスの原理」から「マーケティングの正体」を理解することができる。
著者の『たった一人の分析から事業は成長する 実践顧客起点マーケティング』や、『マンガでわかる 新しいマーケティング』を読んでいる人は、なぜN1分析が重要なのか?改めて復習することもできる。
マーケティングに興味を持っている方、どこからスタートしたらいいのかわからない方、そして、マーケティングのことはわかっているつもりだったけど、やればやるほどわからなくなっている方に向けて、シンプルに解説されている。マーケティングの原理原則をシンプルに学ぶのに最適な一冊。売り上げが低迷し、その原因を探りたい時、原点に立ち返りたい時、そんな時にも手に取りたくなる一冊。
最後まで読んでいただきて、ありがとうございました。
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