ご覧頂き誠にありがとうございます。
今回は『メタ思考』についてレビューと要約の記事となります。
1. 著者の紹介
澤円(さわ まどか)氏は、元日本マイクロソフトの執行役員であり、“プレゼンの神”としても知られています。長年にわたり、ビジネスの最前線で活躍し、数多くのプレゼンテーションや講演を行ってきました。その経験を通して培われた独自の思考法、特に「メタ思考」の重要性を提唱し、多くのビジネスパーソンに影響を与えています。現在は、企業研修やコンサルティングなどを通して、人材育成や組織開発に貢献しています。著書『メタ思考』では、変化の激しい現代社会を生き抜くための重要な思考法として「メタ思考」を分かりやすく解説しています。
2. 本書の概要
『メタ思考』は、変化の激しい現代社会において、「頭のいい人」がどのように考え、行動しているのかを明らかにし、読者が自身の思考法をアップデートするための指南書です。「メタ思考」とは、自分自身を客観的に俯瞰し、多角的な視点から物事を捉え直す認知活動のこと。本書では、この「メタ思考」を具体的なアクションに落とし込み、誰でも実践できるように丁寧に解説しています。既存の価値観やルールに囚われず、自分自身の人生を自由にデザインするためのマインドセットを身につけるためのヒントが満載です。特に、他者との比較に苦しむことなく、自分だけの「ものさし」を持つこと、複数の「エイリアス(分身)」を使い分けること、そして「外」の世界に触れることの重要性が強調されています。
3. 本書の要約
本書は、変化の激しい現代を生き抜くために必要な「メタ思考」を、具体的な例やエピソードを交えながら分かりやすく解説しています。主な内容は以下の通りです。
- メタ思考とは何か?: メタ思考とは、自分自身を客観的に俯瞰し、自分の認知活動や性格、行動パターン、社会における立ち位置などを客観的に捉え直すこと。これにより、自分の思い込みや偏りに気づき、より自由な発想や行動ができるようになります。
- 他人と比較しない「ものさし」を持つ: 既存の価値観や他人の評価に囚われず、自分自身の「ものさし」を持つことの重要性を説きます。他人と比較するのではなく、「自分1人だけで楽しめるルール」を考えることで、自己肯定感を高め、より自由に生きられるようになります。
- 複数の「エイリアス」を使い分ける: 会社にいる自分、家庭にいる自分、趣味を楽しんでいる自分など、状況に応じて異なる「エイリアス(分身)」を使い分けることで、ストレスを軽減し、より柔軟に生きられるようになります。自分のアイデンティティを一つの場所に固定するのではなく、複数の役割を使い分けることで、人生をより豊かにデザインできます。
- 「外」の世界に触れる: 自分が所属する組織やコミュニティ以外の「外」の世界に触れることで、多様な価値観や視点に触れ、自分の視野を広げることができます。これにより、自分の思い込みや偏りに気づき、より客観的に自分自身や周囲の状況を捉えられるようになります。
- 恐れをなくすには「知る」こと: 未知のものに対する恐れを克服するためには、まず「知る」ことが重要です。情報を集め、経験を積むことで、恐れを和らげ、新しいことに挑戦する勇気を持つことができます。格闘家の青木真也氏の例を挙げ、情報量の重要性を強調しています。
- 議題を抽象化する: 会議などで意見がまとまらない場合は、議題を抽象化し、参加者全員にとって共通の課題として捉え直すことで、議論が活性化し、より良い解決策を見つけやすくなります。
- 自分の弱点は周囲に助けてもらう: 精神的に落ち込んだ時に、どのくらいで回復するのかを把握しておき、信頼できる人に共有しておくことで、周囲のサポートを適切に受けられるようにします。これにより、不要な気遣いを避け、スムーズに回復できるようになります。
- SNSでは「主語が大きい」情報に注意する: SNSで流れる「日本は〜」「女性は〜」といった主語が大きい情報に振り回されないように、自分に関係のある情報に意識的にフォーカスすることが重要です。
4. ココだけは押さえたい一文
「自分の人生は自分で自由にデザインすべきである。」
『メタ思考』
この一文は、本書のメッセージを力強く表しています。既存の価値観や他人の評価に囚われることなく、自分自身の「ものさし」で人生をデザインすることの大切さを教えてくれます。
ひとつの会社の中でポジションや評価にこだわることは、人生にとって極めて小さな話だと思います。(中略)
『メタ思考』
要するに、ある一つのルールの中で勝ったからといって、それがそのまま人生の勝利につながるわけではない。
仕事で求められることをやるのは当たり前。会社や組織で定義された以外の部分で、「ありがとう」と言われること、自分の業務にプラスオンしていく部分を、自分でいかに見つけて定義し、行動につなげていくのかが大切。
『メタ思考』
人が重要な選択や判断を間違えるのは、必ず「余裕」を失ったとき
『メタ思考』
「これでOK」と自分で決めさえすれば、結果的に他人と比べることがなくなり、必然的にオリジナルな存在となる。
『メタ思考』
物も組織も肥大化してくると問題とみなされる
『メタ思考』
「外」の世界へ踏み出して冒険をはじめるためにも、今いる場所で最大限に自分の能力を発揮するためにも、情報量を増やす必要がある。
『メタ思考』
恐れをなくすためにはまず「知る」こと
仕事も生活も「楽しみを先延ばし」しない
『メタ思考』
「役立つ」よりも「意味がある」方が生き残る
『メタ思考』
「相手をどれだけいい気分にさせられるか」が価値となる
『メタ思考』
マネージャーの仕事はチームメンバーと対話する以外にない
『メタ思考』
人の欠けている部分だけを指摘するのはただのバカ
『メタ思考』
相手は自分の思い通りに動かない。
『メタ思考』
他人に対して過剰に期待過ぎないようにする。
自分がコントロールできる部分を探し、その行動に集中する。
自分を「ご機嫌」にする方法を持っておく
『メタ思考』
自分がどんな時間の過ごし方をすれば一番ハッピーになれるのか、あらかじめその状態と知っておくと、比較的ラクにメンタルの状態を整えることができる。
ときどき意識的に脳へのインプット状態をオフにして、常に余裕を持たしておくことが必要です。
『メタ思考』
結局のところ、余裕がなければビジネスやマネジメント、人間関係の状態を客観的に俯瞰することができないし、問題や課題に対して適切なアクションを取りづらくなります。余裕があるからこそ、メタ思考ができ、「外のものさし」で自分を眺めることができます。
5. 感想とレビュー
『メタ思考』は、激動の時代を生き抜くための羅針盤となる、非常に実践的で示唆に富む一冊です。「頭のいい人」の思考法として提示される「メタ思考」は、単なる知的テクニックではなく、自分らしく生きるための重要なマインドセットであることを教えてくれます。著者自身の豊富な経験と、分かりやすい言葉で語られる内容は、読者に深い共感と気づきを与え、行動変容を促す力を持っています。
良かった点
- 現代社会の課題に寄り添うテーマ: 正解やルールが常に変化する現代において、既存の価値観や他人の評価に囚われず、自分自身の「ものさし」を持つことの重要性を説いている点は、現代人の多くが抱える不安や悩みに寄り添うテーマと言えるでしょう。特に、SNSなどで他人の情報が溢れ、比較することで自己肯定感を下げてしまう現代において、本書のメッセージは非常に重要です。
- 「エイリアス」という斬新な概念: 状況に応じて異なる自分を使い分けるという「エイリアス」の考え方は、本書の大きな特徴であり、読者に新しい視点を与えてくれます。会社、家庭、趣味など、異なる役割を演じる自分を客観的に捉え、それぞれの役割を適切に使い分けることで、ストレスを軽減し、より柔軟に生きられるという考え方は、現代人の働き方や生き方を考える上で非常に示唆に富んでいます。
- 「外」の世界に触れることの重要性の強調: 自分が所属するコミュニティ以外の「外」の世界に触れることで、多様な価値観や視点に触れ、自分の視野を広げることができるという点は、非常に重要です。閉鎖的な環境にいると、自分の考え方が偏っていることに気づきにくいですが、「外」の世界に触れることで、自分の思い込みや偏りに気づき、より客観的に物事を捉えられるようになります。これは、イノベーションを起こす上でも重要な視点です。
- 恐れへの対処法としての「知る」こと: 未知のものに対する恐れを克服するためには、まず「知る」ことが重要であるという点は、非常に実践的なアドバイスです。情報を集め、経験を積むことで、恐れを和らげ、新しいことに挑戦する勇気を持つことができます。格闘家の青木真也氏の例を挙げて情報量の重要性を強調している点は、読者に強い印象を与えます。
- 抽象化の力とコミュニケーションへの応用: 議題を抽象化することで、異なる立場の人々が共通の課題として捉え、議論を活性化できるという点は、ビジネスにおけるコミュニケーションにおいて非常に役立つテクニックです。現状維持バイアスを克服し、よりスムーズに合意形成を進めるためのヒントとなります。
- 弱点の開示と周囲のサポートの活用: 自分の弱点を周囲に共有することで、必要なサポートを適切に受けられるという点は、人間関係を円滑にする上で非常に重要です。特に、精神的に落ち込んでいる時は、周囲の気遣いが逆に負担になることもありますが、事前に自己開示しておくことで、そのような事態を防ぐことができます。
- SNS情報との適切な距離感: SNSで流れる「主語が大きい」情報に振り回されないように、自分に関係のある情報に意識的にフォーカスすることが重要であるという点は、情報過多な現代において非常に重要な視点です。メンタルヘルスを維持するためにも、SNSとの適切な距離感を保つことは大切です。
特に共感した点
- 「自分だけのものさし」を持つことの重要性: 他人と比較するのではなく、自分自身の価値観に基づいて生きるというメッセージは、自己肯定感を高め、自分らしく生きるための重要な指針となります。
- 「エイリアス」という概念の柔軟性: 状況に応じて異なる自分を使い分けるという考え方は、仕事とプライベートのバランスを取る上でも役立ちます。それぞれの役割に集中することで、パフォーマンスを高めることができます。
- 「外」の世界との繋がりがもたらす成長: 異なるコミュニティに属することで、多様な価値観に触れ、自己成長を促進できるという点は、現代社会においてますます重要性を増しています。
6. まとめ
『メタ思考』は、変化の激しい現代を生き抜くための重要な思考法である「メタ思考」を、著者自身の経験と分かりやすい言葉で丁寧に解説した、非常に実践的な指南書です。自分自身を客観的に見つめ直し、自分だけの「ものさし」で人生をデザインしていくためのヒントが満載です。他人との比較に苦しんでいる人、自分の可能性を最大限に活かしたい人、変化の激しい時代を生き抜くための思考法を身につけたい人など、現代を生きる全ての人におすすめの一冊です。この本を読むことで、あなたはより自由で、より充実した人生を送るための第一歩を踏み出せるでしょう。
特に以下のような方におすすめです。
- キャリアアップを目指しているビジネスパーソン
- 人間関係で悩んでいる人
- 自己肯定感を高めたい人
- 変化の激しい時代を生き抜くための思考法を学びたい人
- 組織のリーダー、マネージャー
- 教育関係者
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
日々の仕事やライフスタイルのヒントになればうれしいです。
X(Twitter)、Threads、instagram、Blueskyもやっているので、もしよかったら覗いてください。