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今回は『人は見た目が9割』についてレビューと要約の記事となります。
1. 著者の紹介
竹内一郎氏は、劇作家・演出家であり、マンガ原作も手がけるなど、多岐にわたる分野で活躍されています。ペンネーム「さいふうめい」としても知られ、舞台やマンガといった表現活動を通して、言葉だけでなく、非言語コミュニケーションの持つ力、つまり「見た目」の重要性を長年体感されてきました。本書は、その経験と洞察に基づき、心理学や社会学の知見を交えながら、「見た目」が私たちのコミュニケーションや人間関係に与える絶大な影響について解説したものです。
2. 本書の概要
『人は見た目が9割』は、「人は見た目が9割」という衝撃的なタイトルが示す通り、私たちが他人から受け取る情報の大部分は、言葉そのものではなく、顔つき、表情、仕草、服装、声のトーン、匂い、雰囲気といった「見た目」から得ているという主張を展開します。心理学の研究データや、著者自身の演劇・マンガ制作の経験、日常の観察などを通して、非言語コミュニケーションの重要性を具体的に示し、日本人が無意識に行っている「見た目」による情報伝達の特性についても深く掘り下げています。ビジネスシーンから日常生活、さらには異性間のコミュニケーションまで、あらゆる人間関係において「見た目」がいかに重要であるかを認識させてくれる一冊です。
3. 本書の要約
『人は見た目が9割』は、全11話を通して、「見た目」がいかに私たちの認識や判断に影響を与えるかを様々な角度から解説しています。
第1話 人は見た目で判断する
- 心理学の研究によると、人がコミュニケーションで受け取る情報のうち、言語情報(言葉の内容)はわずか7%、聴覚情報(声のトーン、話し方など)が38%、視覚情報(表情、仕草など)が55%を占めるという「メラビアンの法則」を紹介し、「見た目」の圧倒的な影響力を示唆します。
- 初対面の印象がいかに重要であり、その後の人間関係に大きく影響を与えるかを、具体的な例を挙げて解説します。
第2話 仕草の法則
- 無意識に行う仕草が、相手に与える印象を大きく左右することを解説します。
- 姿勢、目の動き、手の使い方など、具体的な仕草とその意味合いを紹介し、相手に信頼感や安心感を与えるためのヒントを提供します。
第3話 女の嘘が見破れない理由
- 男女間の非言語コミュニケーションの違いに着目し、女性の嘘が見破られにくい理由を、表情や声のトーン、仕草などの観点から分析します。
- 男女のコミュニケーションにおける認識のずれを理解することの重要性を説きます。
第4話 マンガの伝達力
- マンガが、言葉だけでなく絵(見た目)によって情報を効果的に伝達するメディアであることを解説します。
- 表情、構図、背景などが、読者の感情や理解に与える影響力を分析し、非言語コミュニケーションの視点からマンガの魅力を再発見します。
第5話 日本人は無口なおしゃべり
- 日本人が、言葉を多く用いなくても、表情や雰囲気、間合いといった非言語的な要素を通じて、多くの情報を伝え合っている文化を持つことを指摘します。
- 「空気を読む」という日本独特のコミュニケーションスタイルを、「見た目」による情報伝達の観点から解説します。
第6話 色と匂いに出でにけり
- 色や匂いが、人の心理や印象に与える影響について解説します。
- 服装の色が与える印象、香りが喚起する感情などを具体的に紹介し、「見た目」を構成する要素としての色と匂いの重要性を指摘します。
第7話 良い間、悪い間、抜けてる間
- 会話における「間」の取り方が、コミュニケーションの質や相手に与える印象を大きく左右することを解説します。
- 適切な間の取り方、不適切な間の取り方を具体的に示し、効果的なコミュニケーションのためのヒントを提供します。
第8話 トイレの距離、恋愛の距離
- 人と人との物理的な距離感が、心理的な距離感と密接に関わっていることを解説します。
- 親密な関係、ビジネス上の関係など、関係性によって適切な距離感が異なることを示し、距離感の重要性を指摘します。
第9話 舞台は人生だ
- 人生のあらゆる場面は舞台であり、私たちは皆、役者であるという視点から、「見た目」の重要性を説きます。
- 舞台演出の考え方を応用し、日常生活やビジネスシーンで、意図的に印象を操作するためのヒントを提供します。
第10話 行儀作法もメッセージ
- 行儀作法が、相手に対する敬意や配慮を示す非言語的なメッセージであることを解説します。
- 正しい行儀作法を身につけることが、人間関係を円滑にする上でいかに重要であるかを説きます。
第11話 顔色をうかがおう
- 相手の表情や顔色から、感情や体調を読み取ることの重要性を解説します。
- 微妙な表情の変化を見逃さない観察力を養うことが、円滑なコミュニケーションにつながることを示唆します。
『人は見た目が9割』全体を通して、著者は「見た目」を単なる外見の美醜として捉えるのではなく、相手に与える印象、信頼感、安心感、さらには能力や人格までも伝える重要なコミュニケーションツールであると主張しています。
4. ここだけは押さえたい一文
「我々は言葉では、七%の情報しか、受け取っていない。」
『人は見た目が9割』
5. 感想とレビュー
『人は見た目が9割』を読んで、改めて「見た目」が持つ影響力の大きさに驚かされました。私たちは普段、言葉の内容に意識を集中しがちですが、実際にはそれ以外の非言語的な情報から、はるかに多くのメッセージを受け取っているという事実に、改めて気づかされました。
著者の竹内一郎氏の、演劇やマンガといった表現活動を通して培われた鋭い観察眼と、心理学や社会学の知識が融合し、「見た目」というテーマを多角的に、そして非常に分かりやすく解説しています。
特に印象に残ったのは、日本人が持つ「空気を読む」というコミュニケーションスタイルが、「見た目」による情報伝達と深く結びついているという指摘です。言葉に頼らずとも、表情や雰囲気から相手の意図を察しようとする日本人の特性を再認識しました。
『人は見た目が9割』は、ビジネスシーンにおける第一印象の重要性、プレゼンテーションにおける立ち振る舞い、恋愛における相手へのアピールなど、あらゆる人間関係において「見た目」を意識することの重要性を教えてくれます。
「人は見た目が9割」というタイトルは、ややルッキズム的にも感じられますが、本書を読むことで、その真意は単なる外見至上主義ではなく、非言語コミュニケーションの重要性を強く訴えるメッセージであることが理解できるでしょう。
コミュニケーション能力を高めたい方、人間関係をより円滑にしたい方、そして何よりも、自分が他人にどのように見られているのかに関心のあるすべての方にとって、非常に示唆に富んだ一冊だと思います。
6. まとめ
『人は見た目が9割』は、私たちが他人から受け取る情報の大部分は「見た目」から得ているという視点から、非言語コミュニケーションの重要性を説いた一冊です。心理学の研究データ、著者の経験、日常の観察などを通して、「見た目」が私たちの人間関係やコミュニケーションに与える絶大な影響を具体的に解説しています。ビジネス、恋愛、日常生活など、あらゆる場面で「見た目」を意識することの重要性を認識させてくれる本書は、より良い人間関係を築きたいと願うすべての人にとって、必読の書と言えるでしょう。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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