ご覧頂き誠にありがとうございます。
今回は『親不孝介護 距離を取るからうまくいく』についての記事となります。
■著者
山中 浩之(やまなか ひろゆき)
1964年生まれ。学習院大学文学部哲学科(美術史)卒業。87年日経BP入社。経済誌「日経ビジネス」、日本経済新聞証券部、パソコン誌「日経クリック」「日経パ ソコン」などを経て、現在日経ビジネス編集部で主に「日経ビジネス電子版」と書籍の編集に携わる。著書に『妻の実家のとうふ店を400億円企業にした元営業マンの話』、『ソニー デジカメ戦記』、『マツダ 心を燃やす逆転の経営』、『新型コロナとワクチン わたしたちは正しかったのか』(峰宗太郎先生と共著)、『ハコヅメ仕事論』(泰三子先生と共著)など。
1. 『親不孝介護』とはどんな本?
まず、この本のタイトルに驚いた方もいるかもしれません。「親不孝」と聞くと、ネガティブなイメージを持つかもしれませんが、著者の山中浩之さんが伝えたいのは、実は逆なんです。この本は、介護をする側が抱えがちな罪悪感を軽くし、もっと健やかに介護を続けられる方法を提案しています。
介護といえば、家族が一丸となって親を支えるのが理想とされてきました。しかし、現実はそう簡単ではありません。介護をする側にも生活や仕事があり、無理を重ねてしまうこともしばしば。この本では、そんな介護の現実を直視し、「距離を取る」ことの重要性を説いています。
2. 「距離を取る介護」ってどういうこと?
「距離を取る」という言葉は、介護の文脈では新しいかもしれません。でも、この本を読んでみると、その意義がよくわかります。山中さんは、介護者が親と物理的にも心理的にも距離を取ることで、より良い関係を保つことができると主張しています。
- 物理的な距離の取り方: 親が介護施設に入ることを選んだり、デイサービスを利用することは、決して親不孝ではありません。むしろ、介護する側とされる側の双方にとって健全な選択であり、質の高いケアを受けられる環境を整えることができます。
- 心理的な距離の取り方: 心理的な距離を保つことも大切です。介護をする中で、つい自分がすべてを背負い込んでしまいがちですが、適度な距離を保つことで、心の負担を減らし、冷静な判断を下すことができます。
この「距離を取る」というアプローチは、決して親を見捨てるという意味ではなく、自分自身の生活や心を守りながら、親に対するケアを続けるための方法です。
3. 家族みんながハッピーになる介護のヒント
『親不孝介護 距離を取るからうまくいく』では、介護をする人だけでなく、家族全体が幸せになるためのヒントがたくさん詰まっています。以下はその一部です。
- 分担することの重要性: 家族全員が介護に参加する必要はありません。それぞれの得意分野を生かして、できる範囲で協力することが大切です。例えば、日常のケアは介護施設に任せ、家族は親とのコミュニケーションを大切にする時間を作るなど、無理のない分担が推奨されています。
- プロに任せる安心感: 介護をすべて自分でやろうとするのは、かなりの負担になります。プロの介護士や医師に任せることで、適切なケアを受けられるだけでなく、介護者も心の余裕を持つことができます。山中さんは、プロに頼ることは決して弱さではなく、むしろ親にとってベストな選択肢だと強調しています。
- コミュニケーションの工夫: 距離を取るとはいえ、親とのコミュニケーションは欠かせません。本書では、親と無理なく話をするためのコツや、介護に対する考え方を共有する方法についても具体的にアドバイスがされています。
これらのヒントを活用することで、家族全員が無理なく介護に向き合い、それぞれの役割を果たしながら、親との関係を大切にすることができるようになります。
4. 実際に介護の現場でどう役立つか
介護における「距離を取る」というコンセプトは、実際にどう役立つのでしょうか?この本では、具体的なケーススタディも紹介されています。
- ケーススタディ1: 介護施設を活用する
例えば、ある家族では親が自宅での介護にこだわり続けた結果、介護者が心身ともに疲弊してしまいました。そこで、思い切って親を介護施設に預ける決断をしたところ、介護者自身も休息を取ることができ、親も専門的なケアを受けられるようになり、双方にとって良い結果となりました。 - ケーススタディ2: デイサービスを利用する
また、日中だけデイサービスを利用するという選択もあります。これにより、家族は自分の生活を維持しながら、親の安全と快適さを確保することができます。山中さんは、このような「部分的な介護の外部委託」が、家族全体の幸福につながると述べています。 - ケーススタディ3: 兄弟姉妹での分担
複数の兄弟姉妹がいる場合、介護の分担は避けられません。しかし、その分担が不均衡になると、不満が生まれることも。この本では、家族全員が納得する形での分担方法や、感情的な負担を軽減するためのコミュニケーション方法についても詳しく解説されています。
これらのケーススタディは、読者に具体的なイメージを持たせ、実際の生活に役立つアドバイスとして大いに参考になります。
5. 『親不孝介護』を読んで感じたこと
この本を読んで、「介護は無理をしなくていいんだ」ということを強く感じました。介護というと、どうしても「自分が頑張らなければ」と思いがちですが、山中さんのアドバイスはその考えを根本から覆してくれます。
特に心に響いたのは、「親不孝という言葉を逆手に取って、距離を取ることが結果的に親にとっても良い選択になる」という考え方です。無理をして介護を続けるよりも、適度な距離を保つことで、親に対する愛情を長く持ち続けられるというのは、とても前向きな考え方だと感じました。
また、山中さんの語り口調はとても親しみやすく、難しいテーマであるはずの介護の話が、ぐっと身近に感じられるようになっています。実体験に基づいたリアルなエピソードも多く、読み進めるうちに自然と「自分もこうしてみようかな」と思えるようになります。
■まとめ
『親不孝介護 距離を取るからうまくいく』は、介護に対する新しい視点を提供してくれる貴重な一冊です。親の介護に悩んでいる方や、これから介護を考えている方にとって、非常に役立つ内容が詰まっています。
もし親の介護関連の情報を探している方がこのレビューにたどり着いたなら、ぜひ本書を手に取ってみてください。親との適切な距離感を保ちながら、健やかに介護を続けるためのヒントがきっと見つかるはずです。家族全員がハッピーになれる介護を目指して、山中さんのアドバイスを参考にしてみてはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただきて、ありがとうございました。
背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
日々の仕事やライフスタイルのヒントになればうれしいです。
X(Twitter)、Threads、instagram、Blueskyもやっているので、もしよかったら覗いてください。