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今回は『メンターになる人、老害になる人。』についてレビューと要約の記事となります。
1. 著者の紹介
前田康二郎氏は、組織人事コンサルタントとして、数多くの企業で人材育成や組織開発に携わってきました。豊富な経験に基づき、リーダーシップ、コミュニケーション、キャリア開発などに関する著書や講演活動も精力的に行っています。本書では、長年のコンサルタント経験から得られた知見を基に、「メンター」と「老害」というテーマを深く掘り下げています。
2. 本書の概要
『メンターになる人、老害になる人。』は、経験豊富な世代が陥りやすい「老害」と、周囲から慕われる「メンター」の違いを明確にし、誰もが「メンター」として輝けるためのヒントを提供する一冊です。年齢を重ねることで培ってきた経験を、周囲にどのように伝え、活かしていくべきか、具体的な事例やアドバイスを交えながら解説しています。
3. 本書の要約
本書は、以下の5つの主要なテーマを中心に構成されています。
- 「メンター」と「老害」は紙一重: 経験豊富な人ほど、周囲からは「メンター」にも「老害」にも見られる可能性があることを指摘。両者の違いは、ほんのわずかな意識や行動の差であることを示しています。
- 「つい」を抑えられない人が老害に転じる: 自分の経験や価値観を押し付けたり、相手の気持ちを考えずに発言したりする「つい」の行動が、老害に繋がることを解説。「つい」を抑えるための具体的な方法を提案しています。
- 相手と関係性ができていないから老害と思われやすい: 良好な人間関係を築くことの重要性を強調。相手への敬意、共感、傾聴など、良好な関係を築くための具体的なコミュニケーションスキルを紹介しています。
- メンターですら陥りやすい、老害と言われやすい話し方の「くせ」: よかれと思って言った言葉が、相手にとっては「老害」と受け取られてしまうケースを解説。具体的な例を挙げながら、相手に配慮した話し方を提案しています。
- 組織における「老害」問題: 「老害」が蔓延しやすい組織の特徴を分析し、組織全体で「メンター」を育成するための具体的な方法を提示。管理職向けのノウハウも解説しています。
さらに本書では、以下の点についても言及しています。
- 老害にならない「昔話」の話し方
- メンターであり続けるための発想の転換
- 老害とは縁と負いメンターの方達の特徴
- 老害を受けた時の気持ちの立て直し方
- 新しい職場やコミュニティでメンターとして慕われるコツ
- 「会社員更年期」を上手く乗り越えられればメンターになれる
- 「老害!老害!」と騒ぐ若者ほど、実は老害予備軍?
- 自身をメンターから老害に変えてしまう相手からは逃げる
- 「老害化」している人の周囲をメンターで取り囲む
4. ここだけは押さえたい一文
メンターになる人と老害になる人は『紙一重』
『メンターになる人、老害になる人。』
この一文は、本書の核心を突いています。経験豊富な人ほど、周囲からは「メンター」にも「老害」にも見られる可能性があることを示唆し、誰もが「老害」になる可能性を秘めていることを示しています。だからこそ、常に自己を省察し、意識的に行動を改めることが重要なのです。
メンターになる人は他人の気分を優先し、老害になる人は自分の気持ちを優先する
『メンターになる人、老害になる人。』
王がいする人の最終目的は「自分の気分が良くなること」です。気分が良くなることですから、自制できずやめられなくなってしまう。
メンターになる人は自分で自分を上機嫌にし、老害になる人は他人機嫌を良くしてもらう
『メンターになる人、老害になる人。』
メンターになるような人は、自分で感情をセルフコントロールすることが上手です。不機嫌なことがあっても空気清浄機のようにすぐに自分で浄化して、機嫌のよい状態を自分の力だけでキープする。
「役に立つことを言わなければ」と思うから、メンターにも老害にもなりやすい
『メンターになる人、老害になる人。』
人は相談されると「できるだけ相手に役に立つことをたくさん言わなければ」と思いがちですが、それによって「余計な一言」「相手が求めていない範囲」「相手が触れられたくない範囲」まで行ってしまう恐れがあります。
「まずは求められている者だけに忠実に打ち返す」という意識もメンターから老害に転じないコツ。
意見の違いを単なる「違い」と認識する習慣づけでメンターであり続ける
『メンターになる人、老害になる人。』
メンターと老害の違いは、自分と相手との意見の違いに遭遇したときに、その違いを単に「違うことなんだな」と、そのまま受け入れられる人はメンターであり続ける。
それが受け入れられず、「どうして自分の意見が受け入れられないのか」と、感情的な言動を起こしてしまう場合に、それが老害行為とみなされる。
5. 感想とレビュー
本書は、単なるハウツー本ではなく、経験を積んだ世代がどのように周囲と関わり、自身の経験を社会に還元していくべきかを深く考察した、人生論とも言える一冊です。「老害」という言葉が持つネガティブなイメージに警鐘を鳴らしつつ、誰もが「メンター」としての可能性を秘めていることを示唆しています。
経験の価値と伝え方
本書を読んで最も強く感じたのは、経験の価値をどのように伝えるかという課題です。長年培ってきた経験は、個人の財産であると同時に、社会全体の財産でもあります。しかし、その伝え方を間違えてしまうと、せっかくの経験が「老害」とみなされてしまう可能性があります。本書では、経験を押し付けるのではなく、相手の状況やニーズに合わせて適切に伝えることの重要性を強調しています。
「つい」の行動と自己認識の重要性
本書で指摘されている「つい」の行動は、誰もが心当たりがあるのではないでしょうか。無意識のうちに言ってしまっている言葉、取ってしまっている行動が、相手に不快感を与え、関係性を悪化させてしまうことがあります。本書は、このような「つい」の行動に気づき、自己認識を高めることの重要性を教えてくれます。自分自身を客観的に見つめ、言動を意識的にコントロールすることで、「老害」を回避し、「メンター」としての資質を開花させることができるのです。
関係性構築とコミュニケーションスキル
良好な人間関係は、あらゆるコミュニケーションの基盤となります。本書では、相手への敬意、共感、傾聴など、良好な関係を築くための具体的なコミュニケーションスキルが紹介されています。特に、相手の意見を尊重し、一方的に自分の意見を押し付けないこと、相手の立場に立って考えることの重要性が強調されています。これらのスキルは、職場だけでなく、家庭や地域社会など、あらゆる人間関係において役立つでしょう。
世代間ギャップの理解と相互尊重
現代社会は、様々な価値観を持つ人々が共存しています。特に、世代間ギャップは、職場や社会において様々な摩擦を生み出す要因となっています。本書では、世代間の価値観の違いを理解し、相互尊重の精神を持つことの重要性を説いています。異なる世代の意見に耳を傾け、互いに学び合うことで、より良い関係性を築き、組織や社会全体の発展に繋げることができるのです。
組織における「老害」問題への具体的な対策
本書は、個人レベルだけでなく、組織における「老害」問題にも言及しています。老害が蔓延しやすい組織の特徴を分析し、組織全体でメンターを育成するための具体的な方法を提示しています。例えば、メンター制度の導入、研修の実施、評価制度の見直しなど、具体的な対策が紹介されています。これらの対策は、組織全体の活性化、人材育成、そして世代間の円滑なコミュニケーションに貢献するでしょう。
誰におすすめか:
- 40代以上のビジネスパーソン: 後輩や部下を持つ立場の人、これから管理職を目指す人、定年退職後も社会で活躍したいと考えている人に特におすすめです。自身の経験をどのように活かし、周囲と良好な関係を築いていくべきか、具体的なヒントを得られるでしょう。
- 管理職、経営者: 組織における「老害」問題に関心のある人、メンター育成に関心のある人、組織全体の活性化を図りたいと考えている人におすすめです。組織全体で取り組むべき対策、リーダーシップのあり方、組織文化の変革などについて学ぶことができるでしょう。
- 人事担当者: 人材育成、研修プログラムの企画、組織開発に関心のある人におすすめです。世代間コミュニケーションを円滑にするための施策、メンター制度の構築、評価制度の見直しなどについてヒントを得られるでしょう。
- 若手社員: 上司や先輩とのコミュニケーションに悩んでいる人、将来良き先輩になりたいと考えている人、世代間ギャップについて理解を深めたいと考えている人におすすめです。上司や先輩との効果的なコミュニケーション方法、自身のキャリアプランニング、将来自分がどのような先輩になりたいかなどを考えるきっかけになるでしょう。
- 教育関係者: 教育現場における世代間コミュニケーション、キャリア教育、生徒のメンタルヘルスに関心のある人におすすめです。生徒の成長をサポートするための具体的な方法、世代間の価値観の違いを理解することの重要性などを学ぶことができるでしょう。
6. まとめ
『メンターになる人、老害になる人。』は、経験を力に変え、人生100年時代を豊かに生きるためのヒントが詰まった一冊です。年齢を重ねることをネガティブに捉えるのではなく、自身の経験を周囲に還元し、社会に貢献していくことの大切さを教えてくれます。本書を通じて、一人でも多くの人が「メンター」として輝き、より良い社会を築いていくことを願います。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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