「時間を無駄にせず、確実に良書と出会いたい」
ジュンク堂が2024年11月29日に公開した「知られざる名著」企画。
書店員がテーマに沿って厳選した、隠れた名著の魅力を探る、インタビュー形式の連載企画の第2回目のテーマ「偏愛研究の書(虫編)」から書籍を紹介します。
ジュンク堂書店員のS・Hさんが選んだ5冊は、昆虫への深い愛と情熱が詰まったものです。
これらの本は、私たちが普段、見過ごしてしまう小さな生き物たちの、驚くべき生態や奥深い世界を教えてくれます。
詳しくはこちら→知られざる名著|偏愛研究から虫の魅力に迫る。理工書担当者が選ぶ、あなたの世界を広げる5冊
1. 『バッタを倒すぜ アフリカで』
前野 ウルド 浩太郎 著、光文社
この本は、昆虫学者がアフリカでバッタの大群と戦う、波乱に満ちたノンフィクションです。著者の前野ウルド浩太郎さんは、「バッタ博士」として知られています。
彼は、サバクトビバッタの防除という、壮大なミッションに挑みました。その研究生活は、ときに危険で、ときにユーモアに満ちています。
この本を読むと、研究者たちの情熱や、地道な努力の尊さが伝わってきます。専門的な知識がなくても、手に汗握る冒険物語として楽しめるでしょう。
2. 『アリの巣をめぐる冒険 昆虫分類学の果てなき世界』
島田 拓 著、幻冬舎
この本は、「アリという生き物の奥深さ」を教えてくれる一冊です。著者の島田拓さんは、アリの分類学を専門とする研究者です。
彼は、世界各地を旅して、珍しいアリを採集し、その生態をひも解いていきます。アリの社会は、驚くほど複雑で多様です。
この本を読むと、小さなアリの世界に広がる、壮大なドラマを知ることができます。昆虫分類学という、果てしない研究の世界に魅了されるでしょう。
3. 『カラー版 裏山の奇人 野にたゆたう博物学』
盛口 満 著、幻冬舎
この本は、身近な自然に潜む「不思議」を、ユーモアあふれる文章とイラストで紹介したものです。著者の盛口満さんは、博物学研究者です。
彼は、普通の人が見過ごしてしまうような、裏山にいる虫や植物の奇妙な生態に焦点を当てています。そして、その生き物たちのユニークな生態を、愛情たっぷりに描いています。
この本を読むと、日常の景色が、まるで宝探しのように楽しくなるでしょう。自然観察の楽しさを再発見できる、温かい気持ちになる一冊です。
4. 『ゴキブリ・マイウェイ この生物に秘められし謎を追う』
柳澤 静磨 著、山と溪谷社
多くの人が嫌うゴキブリですが、この本は、その生態の奥深さと魅力を教えてくれるものです。著者の柳澤静磨さんは、ゴキブリ研究者です。
彼は、ゴキブリの知られざる生態を、面白く、そして真剣に探求しています。彼らの社会性や、生存戦略は、驚くほど合理的です。
この本を読むと、ゴキブリに対する認識が変わるかもしれません。すべての生き物には、独自の「生きる道」がある。そんな視点を与えてくれる、ユニークな一冊です。
5. 『ヒルは木から落ちてこない。 ぼくらのヤマビル研究記 増補版』
森 昭彦 著、山と溪谷社
この本は、多くの登山家やハイカーを悩ませる「ヤマビル」の生態を、ユニークな視点で研究したノンフィクションです。著者の森昭彦さんは、アマチュアのヤマビル研究家です。
彼は、長年の観察と実験を通して、ヤマビルの誤解を解き明かしました。タイトルの通り、「ヒルは木から落ちてこない」という意外な事実も示しています。
この本を読むと、ヤマビルに対する恐怖心が、好奇心に変わるかもしれません。一見すると地味な研究ですが、その深い探求心に感銘を受けるでしょう。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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