日経BOOKプラス厳選 日常生活に生きる「行動経済学」 警鐘を鳴らす3冊

レコメンド-超個人的おすすめ-
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日経BOOKPLUSに掲載されていた「日常生活に生きる「行動経済学」 賢い付き合い方を提言する3冊」を紹介します。

人間の非合理な意思決定のメカニズムを解明する学問として注目されている「行動経済学」ですが、その信頼性については近年、重大な疑問符が突きつけられています

ここでは、行動経済学の研究者の立場から、この問題を一般向けに解説し、行動経済学との付き合い方を提言する書を3冊の書籍を紹介します。


1. 『行動経済学の真実』

川越敏司著

行動経済学会会長を務める著者が、近年指摘されている行動経済学の「再現性の危機」に対し、その真実を多角的に検証します。

特に、行動経済学の中核理論であるプロスペクト理論を巡る議論に焦点を当て、損失回避性やフレーミング効果といった主要な概念が、本当に経験的証拠によって裏付けられているのかを詳細に分析。

多くの実験結果を再検証し、プロスペクト理論が「検証されたとも、反証されたとも決定的な証拠は得られていない」と率直に述べることで、学術的な厳密性と誠実な姿勢を示しています。

本書は、行動経済学の知見をビジネスや政策に安易に適用することへの警鐘を鳴らしつつも、その概念が経済学研究においていかに有益な仮説を生み出しているかを強調します。学術的な議論の最前線を垣間見ながら、行動経済学をより深く、批判的に理解したい読者にとって、必読の一冊となるでしょう。

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2. 『行動経済学の死 再現性危機と経済学のゆくえ』

川越敏司著

本書は、前著『行動経済学の真実』の内容をさらに深掘りし、2020年に提唱された「行動経済学は死んだ」という挑発的な議論に対し、著者が独自の解釈と見解を示しています。

フレハ氏が投げかけた損失回避性の再現性問題やナッジの効果の限定性といった課題を改めて検証し、その問題の根源と経済学全体における再現性危機の文脈に位置づけます。

さらに、行動経済学が伝統的な経済学との間でどのように位置づけられ、その関係性が時間とともにどう変化してきたのかを歴史的に振り返ることで、行動経済学が「二度と死ぬことはできなくなった」という、一見逆説的な主張の真意を解説。

プロスペクト理論を伝統的な経済学をも包摂する「一般理論」と捉え直すことで、行動経済学の新たな存在意義を提示します。学問としての行動経済学の過去、現在、そして未来について深く考察したい読者にとって、刺激的な問いを投げかける一冊です。


3. 『行動経済学の処方箋 働き方から日常生活の悩みまで』

大竹文雄著

行動経済学をはじめとする経済学の最新の研究成果を、貯金、仕事、人間関係、さらには感染対策や税制といった私たちの日常生活の具体的な悩みや社会課題に、いかに実践的に「処方」できるかという視点から解説しています。

本書は、理論と現実の間に存在するギャップ、特に経済学者の「専門知」と世間一般の「常識」との乖離に焦点を当て、その溝を埋めることの重要性を指摘。経済学が冷徹な人間像を前提としているという誤解を解き、行動経済学が現実的な人間像を取り入れたことで、経済学がいかに私たちの生活に寄り添う学問へと進化しているかを示します。

読者は、具体的な問題解決のための行動経済学の応用例を通じて、自身の行動や社会現象を多角的に捉え直し、より良い意思決定を行うための実践的なヒントを得られるでしょう。

経済学の知見を日々の生活に活かしたいと考えるすべての人にとって、有益な「処方箋」となる一冊です。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

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