「時間を無駄にせず、確実に良書と出会いたい」
2025年12月27日、日本経済新聞より発表された2025年「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」を紹介します。
今年のリストは、これまでの「定説」や「思い込み」を覆す労作が揃いました。
格差拡大や分断といった現代の難局を乗り越えるための、「発想の転換」を促す10冊です。
1位:『スティグリッツ 資本主義と自由』
ジョセフ・E・スティグリッツ 著
ノーベル賞経済学者が、新自由主義が招いた格差を鋭く批判します。
市場機能に規制や法制度を組み合わせる「進歩的資本主義」を提唱。
「誰のための自由か」を問い直し、民主主義の再生を訴える力作です。
2位:『不平等・所得格差の経済学』
ブランコ・ミラノヴィッチ 著
アダム・スミスからピケティまで、歴代の経済学者の格差論を考察します。
データによる実証を重視し、中間層の没落を裏付けた専門家による一冊。
所得分配を考える上で欠かせない、歴史的な視点を与えてくれます。
3位:『男女賃金格差の経済学』
大湾秀雄 著
容易に進まない日本の男女格差を、データで解明しようと試みます。
「無意識のバイアス」を指摘し、経営者に意識変革を強く迫る内容です。
日本経済の未来を拓く鍵として、多くの選者が支持しました。
4位:『GROWTH――「脱」でも「親」でもない新成長論』
ダニエル・サスキンド 著
「脱成長か、成長主義か」という二者択一を超えた道を示します。
インセンティブの工夫により、イノベーションを促す成長論です。
未来の選択肢を広げる、希望に満ちた一冊として評価されました。
5位:『競争なきアメリカ――自由市場を再起動する経済学』
トマ・フィリポン 著
米国経済の「競争度の低さ」という意外な実態を暴き出します。
大企業のロビー活動が寡占を招き、ダイナミズムを奪っていると指摘。
自由市場の再生に向けた、鋭い処方箋を提示しています。
6位:『自由 上、下』
アンゲラ・メルケル 著
ドイツ前首相による自伝。16年間の政権運営の舞台裏を明かします。
相次ぐ危機の中で、民主主義と自由がいかに侵食されたか。
その実情をトップリーダーの視点から生々しく伝えます。
7位:『コロナ対策の政策評価:日本は合理的に対応したのか』
岩本康志 著
政府のコロナ対策を経済学の視点から「第三者検証」した衝撃の書です。
「接触8割削減」に科学的根拠がなかったなど、厳しい指摘が並びます。
感情論ではなく、実証的な検証を次世代に生かすべきだと説きます。
8位:『ファイナンスの世界史 金融技術と金融ビジネスの歩み』
大村敬一 著
金融革新が熱狂を生み、そして崩壊してきた歴史のサイクルを語ります。
「紀伝体」のように章ごとに物語るスタイルで、本質に迫ります。
過去の金融危機を学ぶことで、現代の市場を読み解く目が養われます。
9位:『ライフ・シフトの未来戦略: 幸福な100年人生の作り方』
アンドリュー・スコット 著
ベストセラー『LIFE SHIFT』の著者らによる、人生100年時代の戦略。
一人ひとりが高齢化社会にどう向き合うべきかを考えさせます。
幸福な人生設計のための、新たな「羅針盤」となる一冊です。
10位:『世界経済の死角』
河野龍太郎, 唐鎌大輔 著
日本人が働いても楽にならない理由を、「バッド・ポリシー(まずい政策)」に求めます。
実証的な分析により、私たちが陥っている定説の死角を明示。
思い込みを捨て、政策の誤解を解くことの重要性を説いています。
どの書籍も、「今のままではいけない」という強い警鐘を鳴らしています。
視野が狭まっていると感じたときこそ、これらの本が難局に向かうヒントをくれるはずです。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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