「時間を無駄にせず、確実に良書と出会いたい」
2025年の「日経の本」売上ランキングTOP20の書籍を紹介します。(日経BOOKプラス:2025年12月25日掲載)
ビジネスの最前線から日々の暮らしの整え方まで、今の日本人が何を求めているのかが鮮明に見えてきます。
- 1位:『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 最新版』
- 2位:『イン・ザ・メガチャーチ』
- 3位:『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』
- 4位:『エレガントな毒の吐き方』
- 5位:『敗者のゲーム[原著第8版]』
- 6位:『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』
- 7位:『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』
- 8位:『キーエンス流 性弱説経営』
- 9位・10位:『エンタテイナーの条件 3・2』
- 11位:『#100日チャレンジ』
- 12位:『はじめる習慣』
- 13位:『THIRD MILLENNIUM THINKING』
- 14位:『「なりたい私」になる! 朝と夜の新習慣』
- 15位:『日経業界地図 2026年版』
- 16位:『森岡毅 必勝の法則』
- 17位:『日経業界地図 2025年版』
- 18位:『転換の時代を生き抜く 投資の教科書』
- 19位:『日経経済知力テスト公式テキスト&問題集 2025-26年版』
- 20位:『身近な人間関係が変わる 大切な人に読んでほしい本』
1位:『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 最新版』
ジム・クリフトン、ギャラップ 著
全世界で数千万人が活用する「ストレングス・ファインダー」の公式ガイドです。本書に付属するアクセスコードで自分の強みを知るテストを受け、34の資質の中から上位5つを特定できます。単に自分の性格を知るだけでなく、その資質をどう仕事やチーム運営に活かすかという「実行可能な戦略」が2倍以上のボリュームで解説されており、リスキリングやキャリア構築を目指す人々の必携書となりました。
2位:『イン・ザ・メガチャーチ』
朝井 リョウ 著
「日経の本」としては異例の小説ランクインですが、その中身はきわめて現代的な社会論です。動画配信やSNS、あるいは巨大な組織といった「何かに熱狂せずにはいられない」現代人の脆弱性を、圧倒的な筆致で描き出しています。個人の自意識がいかにして巨大なシステムに取り込まれていくのか。読後は「自分もこのシステムの一部なのではないか」という鋭い問いを突きつけられる、大人こそ読むべき一冊です。
3位:『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』
フィリッパ・ペリー 著
子育ての「ハウツー」ではなく、親自身の「感情の扱い方」に焦点を当てた画期的な育児書です。著者は、親が過去に自分の親から受けた影響を認識することが、子どもとの健全な関係を築く第一歩であると説きます。感情の負の連鎖を断ち切り、子どもを一人の人間として尊重するための具体的な対話法が、心理療法の知見をベースに優しく説かれています。
4位:『エレガントな毒の吐き方』
中野 信子 著
「空気を読みすぎて疲れる」「言いたいことが言えない」という悩みに、脳科学の視点から終止符を打ちます。不条理な相手や失礼な言動に対して、感情的にならず、かつ自分の尊厳を守りながら反論する「知的な技術」を伝授。脳の特性を理解した上での「戦略的な毒」は、現代社会を賢く生き抜くための、まさにエレガントな処世術と言えるでしょう。
5位:『敗者のゲーム[原著第8版]』
チャールズ・エリス 著
新NISAの普及とともに、投資の「正解」を求める人々が原点に立ち返った結果のランクインです。市場でプロと戦うことの無意味さを説き、低コストのインデックスファンドを長期保有することの合理性を力説します。短期的な流行に惑わされず、資産形成の本質を理解するための、投資家が一生涯持ち続けるべき「航海図」のような名著です。
6位:『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』
今井 むつみ 著
私たちは日々、合理的に考えているつもりで、実は多くの「思い込み(認知バイアス)」に捉われています。本書は、仕事、育児、人生の選択といった重大な局面で、脳がどのようにミスを犯すのかを科学的に解説します。自分の思考のクセを客観的に見つめ直すことで、より納得感のある意思決定を下すための「知的な筋力」を鍛えてくれます。
7位:『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』
今井 むつみ 著
コミュニケーションの失敗の原因は、スキルの欠如ではなく「概念(意味の捉え方)」のズレにあると指摘します。相手が自分と同じ言葉を使っていても、その背後にあるイメージが異なれば、意思疎通は不可能です。認知科学の知見を用い、どうすれば相手の概念にアクセスし、真の意味で「伝わる」対話ができるのかを分かりやすく解き明かした、組織や家庭での必須本です。

8位:『キーエンス流 性弱説経営』
高杉 康成 著
日本一の給与水準と、驚異的な利益率を誇るキーエンス。その強さは「人の意志は弱いものである」という「性弱説」に基づいた徹底的な仕組み作りにありました。マニュアルの徹底、行動の可視化、徹底した顧客主義など、個人の「頑張り」に依存せず、誰でも成果を出せる組織をどう構築するか。その容赦なくも合理的な経営哲学を余すところなく公開しています。

9位・10位:『エンタテイナーの条件 3・2』
堂本 光一 著
長年、日本のエンターテインメント界のトップを走り続ける著者の仕事観・人生観が凝縮されています。華やかな舞台の裏側で行われる血の滲むような努力、妥協を許さないクオリティの追求、そして共に働く仲間への信頼。プロとしての「責任」と「覚悟」を綴った言葉は、ジャンルを問わず「働くすべての人」に勇気と刺激を与えるプロフェッショナル論となっています。
11位:『#100日チャレンジ』
大塚 あみ 著
「サボるために全力を尽くす」と公言する普通の大学生が、ChatGPTという武器を手に入れ、100日間連続で毎日1つ自作アプリを公開し続けた軌跡を綴ったノンフィクションです。当初はプログラミングの知識もほとんどなかった著者が、AIと対話し、試行錯誤を繰り返す中で、次第に設計思想を理解し、エンジニアとして覚醒していくプロセスが描かれています。単なる「努力の記録」ではなく、生成AI時代の新しい「学び方」と「自己実現」の形を提示した一冊です。

12位:『はじめる習慣』
小林 弘幸 著
自律神経の第一人者が、行動できない最大の理由は「気合不足」ではなく「環境と自律神経の乱れ」にあると解き明かします。朝一番のコップ一杯の水や、決まったルーティンの実施など、心身を整えて「フットワークを軽くする」ための習慣を具体的に提案。メンタルを安定させながら、軽やかに行動し続けるための健康・行動術として広く読まれました。
13位:『THIRD MILLENNIUM THINKING』
ソール・パールマッター ほか著
ノーベル賞物理学者をはじめとする各分野の天才たちが集結し、情報の洪水の中で「真実」を見極めるための思考法を提言します。科学的な推論、批判的思考、そして他者との協調的な意思決定。私たちが直面する複雑なグローバル課題を解決するために必要な、新しい時代の「OS(基本ソフト)」をインストールしてくれるような、スケールの大きな一冊です。
14位:『「なりたい私」になる! 朝と夜の新習慣』
日経WOMAN 編
多忙な毎日を送る女性たちが、いかにして「自分だけの時間」を捻出し、理想の自分を叶えているか。読者アンケートや豊富な実例をもとに、朝の15分や寝る前の30分を最大活用するテクニックを多数紹介しています。手帳術、メンタルケア、美容習慣など、現実的で即効性のある知恵が詰まっており、明日への活力をチャージするためのガイドブックとして愛されています。
15位:『日経業界地図 2026年版』
日本経済新聞社 編
もはやビジネスパーソンにとって、季節の風物詩とも言える定番書です。AI、半導体、エネルギー、流通など、刻一刻と変わる業界の勢力図と提携関係を網羅。最新の売上高や市場シェアが一目で分かるグラフも充実しています。2026年を見据えたキーワード解説も鋭く、就職・転職活動だけでなく、取引先の分析や投資の銘柄選びにも必携の情報源です。
16位:『森岡毅 必勝の法則』
中山 玲子 著
USJを再建した最強マーケター・森岡毅氏の「勝つための考え方」を、第三者の視点から冷静かつ詳細に分析した力作です。著者が提唱する「数学的思考」や「消費者視点」が、実際のビジネスシーンでどう機能し、どのように勝利を導き出したのか。そのプロセスを追体験することで、読者自身のビジネスにおける「勝率」を劇的に高めるヒントが得られます。
17位:『日経業界地図 2025年版』
日本経済新聞社 編
新旧のデータを比較検討したい層や、長期的な業界動向を追うプロフェッショナルの需要に応え、2025年版もトップ20に残るロングセラーとなりました。業界の「今」を知るだけでなく、過去から現在への変化の文脈を掴むために、最新版と併せて手元に置く読者が多かったことが推測されます。
18位:『転換の時代を生き抜く 投資の教科書』
後藤 達也 著
元日経記者としての確かな分析力と、SNSでの分かりやすい発信が支持されている著者による、全世代向けの投資ガイドです。インフレ、円安、新NISAといった大きな環境変化にどう立ち向かうべきか。特定の銘柄を推奨するのではなく、マクロ経済のデータの読み方やリスク管理の「型」を教えることで、読者が「自分の頭で考えて」投資できる力を養います。

19位:『日経経済知力テスト公式テキスト&問題集 2025-26年版』
日本経済新聞社 編
ビジネスパーソンの基礎体力とも言える「経済ニュースを読み解く力」を鍛えるための一冊です。単なる知識の詰め込みではなく、複数の情報をつなぎ合わせて「今の経済がどうなっているか」を理解する力を問い、養います。昇進試験や自己啓発として「日経テスト」を受験する層が増えており、実戦的な問題集として高く評価されました。
20位:『身近な人間関係が変わる 大切な人に読んでほしい本』
フィリッパ・ペリー 著
3位にランクインした著者が、さらに広い「人間関係全般」の悩みに答えます。なぜ私たちは、大切に思っているはずの相手とすれ違ってしまうのか。パートナー、友人、同僚との間に横たわる「境界線」や「コミュニケーションの壁」を取り除き、互いに尊重し合える関係を築くための心理学的エッセンスが、温かみのある言葉で綴られています。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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