この5冊は、高市早苗氏が自身の政治家としての行動指針や、仕事への哲学を形成する上で重要な役割を果たしてきた愛読書です。
イギリスの鉄の女の回顧録から、司馬遼太郎の歴史小説、松下幸之助の経営哲学、そして日本の社会構造を分析した名著まで、リーダーとしての信念と、多角的な視点を養うための知恵が詰まっています。
これらの本を読むことで、公人としての責任の重さや、科学技術の重要性といった、高市氏の思想の根幹を垣間見ることができます。
1. 『サッチャー回顧録』
マーガレット・サッチャー 著
この本は、「鉄の女」として知られるイギリスの元首相、マーガレット・サッチャー氏が、自身の政治キャリア、信念、そして英国の変革について詳細に綴った回顧録です。
高市早苗氏が「自らが最も尊敬する政治家」とし、「自身の行動の指針」として今でも定期的に読み返すというように、強い信念と決断力を持ったリーダーの哲学が凝縮されています。
サッチャー氏は、労働組合との対立、フォークランド紛争、そして民営化といった困難な課題に直面しながらも、「信念に基づいた原則」を決して曲げませんでした。
本書を読むと、リーダーが大衆迎合に走らず、国家にとって何が正しいかという本質的な問いに立ち返り、痛みを伴う改革を断行することの重要性が深く理解できます。
特に、長期的な国家の繁栄のために、短期的な人気を犠躇するリーダーの覚悟は、現代の政治家や経営者にとっても極めて示唆に富んでいます。
強いリーダーシップとは何か、そして国家を導くための哲学を学びたい人にとって、時代を超えて力を与える必読の一冊です。
2. 『「空気」の研究』
山本 七平 著
この本は、評論家の山本七平氏が、日本社会の意思決定や行動様式を規定する独特の非合理的な力、すなわち「空気」の正体を鋭く分析した、日本の社会論における古典的名著です。
高市早苗氏が「今でも時折読み返し、読むたびに納得する」と語るように、1970年代の出版でありながら、現代の社会や組織にも通じる普遍的な洞察が含まれています。
山本氏は、「空気」が「論理や合理性」を凌駕し、時に非合理な方向に集団を動かしてしまうメカニズムを、歴史的背景や具体例を挙げて解き明かしています。
本書を読むと、組織や集団における無言の圧力や同調意識が、いかに個人の自由な意思決定を阻害し、間違った方向へ導く危険性を持っているかがわかります。
リーダーにとっては、「空気に支配されない、真に論理的な決断」を下すことの重要性を痛感させられます。
日本社会や組織の根深い構造を理解したいビジネスパーソンや、集団の非合理性に抗うリーダーシップを目指す人にとって、社会の本質を見抜くための強力なフレームワークを与えてくれる一冊です。
3. 『坂の上の雲』
司馬 遼太郎 著
この小説は、明治という時代を舞台に、近代国家としての日本が、ロシアとの日露戦争という未曾有の国難に立ち向かっていく姿を、秋山好古、秋山真之、正岡子規といった若者たちの視点を通じて描いた歴史大作です。
高市早苗氏は、作中で登場するバルチック艦隊の速度が遅かった理由が、船底に付着した「貝殻」にあったというエピソードに触れ、科学技術の重要性を強く感じたといいます。
物語は、「まことに小さな国」が、「坂の上の雲」を目指して、希望と努力をもって近代化を推し進めた熱狂の時代を描き出します。
国家の存亡をかけたリーダーたちの決断や、個々の人間の知恵と勇気が、いかに大きな歴史を動かしたのかが伝わってきます。
この本を読むと、困難な状況においても、未来への明確な目標(坂の上の雲)を持ち、技術革新や個人の才能を最大限に活かすことの重要性がわかります。
国家の発展と、技術の力が果たす役割について深く考えるきっかけを与えてくれる、スケールの大きな歴史小説です。
4. 『松下幸之助 発言集』
松下 幸之助 著
この本は、「経営の神様」松下幸之助氏が、経営、仕事、そして人生について語った言葉を集めたもので、松下哲学のエッセンスが詰まっています。
高市早苗氏は、松下氏がかつて首相に「あなたは公僕ではなく主権者の代表だ」と発言したことに感銘を受け、「自分も主権者の代表という誇りを持って働きたい」と思ったといいます。
この言葉は、公人としての使命感と、国民に対する責任の重さを再認識させてくれます。
松下氏の発言は、事業を通じて社会に貢献するという「経営の目的」から、人材育成、謙虚さ、そして逆境への向き合い方まで、多岐にわたります。
彼は、目先の利益だけでなく、長期的な視点で社会の発展を考える「公の心」を持つことこそが、真のリーダーに求められる資質だと説きました。
この本を読むと、仕事への情熱と、自己の役割への高い意識を持つことの重要性がわかります。
経営者、政治家、そして働くすべての人が、自身の仕事に誇りを持ち、社会に貢献する意義を見出すための、普遍的な哲学が詰まった一冊です。
5. 『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』
G. キングスレイ・ウォード 著
この本は、成功したビジネスマンである父が、社会に出る息子へ向けて、仕事の哲学、人間関係、そして人生の原則について語りかける「手紙形式」の自己啓発書です。
高市早苗氏は、この本をニューヨークの紀伊國屋書店で購入し、「寝る時間を惜しんで自分も勉強して頑張らないと」と感じた一冊だと述べています。
これは、自己研鑽への強い意欲を掻き立てられたことを示しています。
父からの30通の手紙には、いかにしてプロフェッショナルとして成功するか、時間管理や効率的な仕事術、そして誠実さと謙虚さといった、ビジネスパーソンとして成長するための普遍的な教えが込められています。
この本は、単なるスキルアップの方法論ではなく、社会人としての心構えや、人生を豊かにするための知恵を教えてくれます。
キャリアのスタートを切る若者や、仕事への姿勢を見つめ直したいベテランにとって、成功者が持つべきマインドセットと、父性的な温かい励ましを与えてくれる、時代を超えたビジネスの古典です。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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