「時間を無駄にせず、確実に良書と出会いたい」
『人生の経営戦略』にて掲載されていた「経営学独習ブックガイド」を紹介します。
『人生の経営戦略』は、山口周氏が提唱する、ビジネスにおける経営戦略の考え方を個人の人生設計に応用するという斬新なアプローチが詰まった一冊です。本書は、私たちの人生をあたかも一つの「プロジェクト」として捉え、目標設定から長期計画、職業選択、意思決定、学習と成長に至るまで、経営戦略のフレームワークを用いて、より主体的に、そして戦略的に人生をデザインしていくための道筋を示してくれます。
経営学独習ブックガイドでは、目標設定、長期計画、職業選択、選択と意思決定、学習と成長、その他の6つのカテゴリーで計47冊の書籍を紹介している。今回は第2弾として、職業選択、選択と意思決定に関する書籍15冊を紹介します。
■職業選択について
「キャズム ハイテクをブレークさせる「超」 マーケティング理論」
ジェフリー・ムーア著/川又政治駅(翔泳社)
キャズムというコンセプトを最初に提唱した本。自分の居場所や投資先について考える上で重要な「市場の趨勢」を見極める上で有用な詞。 察や示唆を与えてくれる。
「キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう」
エドガー・H・シャイン著/金井宏訳(白桃書房)
個人がキャリアを選択する際の根本的な価値観「譲れないところ」 を船のアンカー(鋪)に例えて8つに分類、自分にとって最も重要なものを理解することで、長期的なキャリア満足度が高まると提唱する。
「両立思考「二者択一」の思考を手放し、多様な価値を実現するバラドキシカルリーダーシップ」
ウェンディ・スミス、マリアンヌ・ルイス著、関口紀、落合文四郎、中村俊介監訳、二木夢子訳(日本能率協会マネジメントセンター)
短期と長期、利益と倫理、安定と変革といった対立する2つの価値観や目標が共存する状況で、それぞれを排除せず、両方を受け入れ、統合的に対応することで持続的な成功や革新を目指すことを提唱。
「ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図(2025)」
リンダ・グラットン著/池村千秋訳(プレジデント社)
テクノロジーやグローバル化、長寿社会の到来によって大きく変わる働き方の未来を描く。従来の仕事観や働き方が通用しなくなる中、個人や組織がどのように柔軟で持続可能な働き方を構築すべきかを提案。
「フリーエージェント社会の到来 新装版 組織に雇われない新しい働き方」
ダニエル・ピンク著、玄田有史序文、池村千秋訳(ダイヤモンド社)
「ひとつの組織に勤める」という働き方以外の人生の可能性を提示する。初版はかなり前だが、コロナ以後の世界では、ピンクの指摘したトレンドは加速している。「働き方」のイメージを拡大する上で役立つ。
「マッキンゼーホッケースティック戦略 成長戦略の策定と実行」
クリス・ブラッドリー、マーティン・ハート、スヴェン・シュミット著/アンドレ・アンドニアン解説/野崎大輔監訳(東洋経済新報社)
2世紀に入ってから大きく成長した企業の多くは「居場所を変える」 ことで成長しており、同じ場所に居続けて「競争に勝って」成長した企業は少数であることを明らかにしている。ポジショニングの重要性、 そして「美味しいポジショニングは永遠ではない」ことを実際のデー夕で示している。
「CSV経営戦略 本業での高収益と、社会の課題を同時に解決する」
名和高司著(東洋経済新報社)
ポーターの提唱したCSV経営戦略を、具体的な企業の取り組み等も交えてわかりやすく紹介しているのが本書。社会貢献と経済的成功の両立を目指す上で、実践のためのヒントに溢れている。
■選択と意思決定について
アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルパフ著/管野隆、嶋津祐一訳(CCCメディアハウス)
不確実性が高い状況において、一度の意思決定を前提とせず、将来の状況変化に応じて「保留」「拡大」「縮小」「撤退」といった選択肢を取る柔軟性を残すというリアルオプションの考え方を説明。
「企業価値評価第7版 [上] [下] バリュエーションの理論と実践」
マッキンゼー・アンド・カンパニー、ティム・コラー、マーク・フーカート、デイビット・ウェッセルズ著/マッキンゼー・コーポレート・ファイナンス・グルーブ訳(ダイヤモンド社)
企業価値を評価するための体系的なアプローチを解説した一冊で、本書でも紹介した正味現在価値や経済付加価値 (EVA) などの基本的な評価手法を詳しく説明。企業価値を向上させるための戦略や手法はライフ・マネジメントへの示唆が大。
「決定版リアル・オプション 戦略フレキシビリティと経営意思決定」
トム・コーブランド、ウラジミール・アンティカロフ著/栃本克之監訳 (東洋経済新報社)
競争や交渉の場面で相手の行動や意図を読み取り、最適な戦略を見つけ出すための考え方を紹介。ビジネスや政治、日常生活のさまざまな場面で応用できる戦略の理論と実践方法をわかりやすく解説し、複雑な状況でも合理的かつ効果的な選択を行うための知見を提供。
「Adapt 適応戦略 優秀な組織ではなく、適応する組織が生き残る」
ティム・ハーフォード著、得重達朗駅(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
複雑で不確実な現代の問題を解決するために、計画ではなく「試行錯誤」を重視すること、成功するためには小さな失敗を積み重ね、そこから学んで修正していく「適応力」が重要であることを説く。
「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代」
アダム・グラント著、楠木建監訳(三笠書房》
人を「ギバー=与える人」 「テイカー取る人」「マッチャー取引する人」の3つのタイプに分類し、長期的に最も成功しているのは「ギバー」であることを示す。
「ファスト&スロー [上] [下] あなたの意思はどのように決まるか?」
ダニエル・カーネマン著、村井章子訳(早川書房)
人間の意思決定の仕組みを「システム1」と「システム2」の2つの思考プロセスで説明。私たちが日常でどのようにバイアスやヒューリスティックに影響され、合理的でない決断を下してしまうかを示す。
「選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義」
シーナ・アイエンガー著、櫻井祐子訳(文春文庫)
人間がどのように選択を行い、そのプロセスが行動や幸福にどう影響するかを探る。特に「選択が多すぎると人が疲れや不安を感じる選択のパラドックス」の箇所は考えさせられる。
「エフェクチュエーション 市場創造の実効理論」
サラス・サラスバシー著、加護野忠男訳、高通道、吉田製訳(碩学舎)
経営学者のサラスパシーが「成功した起業家」の思考・行動様式を調べてみたところ、それらはビジネス・スクールで教えているセオリーとは全く異なっていた。本書は、サラスバシーが明らかにした「起業家の思考・行動様式」について簡潔にまとめたもの。
詳しく知りたい方は、『人生の経営戦略』山口周(著)を手に取ってください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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