日々の仕事の中で、「この人、結局何が言いたいんだろう……?」と戸惑ってしまうことはありませんか? 会議や商談、あるいは部下や同僚とのちょっとした会話。 相手の話が長かったり、あちこちに飛んでしまったりすると、聞いているこちら側も疲れてしまいますよね。
でも、安心してください。 それはあなたの理解力がないからではなく、単に相手の頭の中がまだ整理されていないだけかもしれません。
そんな時、聞き手である私たちが少しだけ「交通整理」をお手伝いしてあげれば、コミュニケーションは劇的にスムーズになります。
今日は、ビジネス界で「伝えるプロ」として知られる伊藤羊一さんの知恵を借りて、「相手の言いたいことがわからないときの聞き方」を徹底解説します。
これをマスターすれば、あなたは「聞き上手」を通り越して、相手の思考を整理し、答えへと導く「最強の伴走者」になれるはずです。
この記事は、伊藤羊一さんの『1分で話せ2【超実践編】』を参考に書かせていただきました。
伊藤羊一さんと『1分で話せ2【超実践編】』
まずは、この実践的なメソッドを提唱している伊藤羊一(いとう よういち)さんについてご紹介します。
伊藤さんは、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の学部長を務める傍ら、多くの企業でリーダー育成に携わっている「伝えること」と「人を動かすこと」のスペシャリストです。 かつてはソフトバンクのアカデミアで孫正義氏にプレゼンを認められ、Yahoo!アカデミーの学長も務められたという、まさに現場の第一線で「言葉の力」を磨き続けてきた方です。
彼の著書『1分で話せ2【超実践編】』は、ベストセラーとなった前作の理論をさらに深化させ、「実際の現場でどう使うか」にフォーカスした一冊です。
前作が「自分がどう話すか」を説いたのに対し、今作では「相手とどう対話し、どう合意を作るか」という、よりインタラクティブな側面に光を当てています。 特に今回ご紹介する「聞き方」のテクニックは、相手の言葉を否定することなく、建設的な議論へと導くための非常に強力な武器になります。
それでは、具体的な5つのシチュエーションに応じた聞き方のポイントを見ていきましょう!
① 話があちこちに飛んでいる気がする場合
相手の話が迷路のように入り組んで、どこに向かっているのかわからなくなること、ありますよね。 そんな時、ただ黙って聞いているだけでは、お互いにゴールに辿り着けません。
情報を整理してあげる
まずは、相手が出してくれた断片的な情報を、こちらで繋ぎ合わせてあげましょう。 「さっき言っていたことに加えて、こういう根拠もあるのですね」とか、「これも、先ほどの話の具体例になるのですね」といった具合に、相手の話を構造化してフィードバックします。
これは、相手の頭の中にある「ピラミッド」を一緒に組み立ててあげる作業です。 「あなたの言いたいことは、こういう構造ですよね?」と視覚化してあげることで、相手も「あ、そうそう!それが言いたかったんだ!」と気づくことができます。
優しく本筋に戻す
話が脱線しすぎてしまったら、否定せずに軌道修正しましょう。 「そうですね〜。ところで先ほどの○○の話ですが……」と、一度受け止めてから、本来話すべきだったテーマへとそっと戻してあげます。
この「一度受け止める」のがポイントです。 「今はその話じゃないですよ」と遮るのではなく、相手の今の関心を認めつつ、重要度の高い話題へとエスコートしてあげるイメージです。
「余談の箱」を活用する
それでも出てくる、本筋とはあまり関係のない話。 それを無理に理解しようとしたり、論破しようとしたりすると、あなたの脳のメモリがムダに消費されてしまいます。
そんな時は、頭の中に「余談」という名前の箱をイメージしましょう。 あまり関係のない話は、その箱にそっと置いておけばいいのです。 聞き流すのではなく、「今は脇に置いておく」と決めるだけで、あなたの心には余裕が生まれます。
② 結論がわからない場合
「一生懸命話してくれているけれど、結局イエスなの?ノーなの?」「何をしてほしいの?」が見えない時。 これ、実はビジネスの現場で最も多いモヤモヤかもしれません。
仮説を立てて確認する
相手に「結論は何ですか?」とストレートに聞くのは、少し角が立つこともありますよね。 そんな時は、「つまり、おっしゃりたいのはこういうことでしょうか?」や「ひょっとして、おっしゃりたいのはこういうことですか?」と、こちらから仮説を投げて確認してみましょう。
もしあなたの推測が違っていても、大丈夫です。 「いえ、そうではなくて……」と相手が否定することで、逆に本当の結論が浮き彫りになるからです。 こちらが「的(まと)」を示してあげることで、相手はシュートを打ちやすくなるのです。
結論を引き出すことは、相手を追い詰めることではありません。 「あなたの想いを正しく受け取りたい」という、あなたの誠実さの表れなのです。
③ 理由がわからない
結論はわかったけれど、なぜそう思うのか、その背景やロジックが見えない時。 そのまま納得したふりをして進めてしまうと、後で大きなズレが生じる原因になります。
純粋な好奇心で尋ねる
根拠が不明確な時は、シンプルに「どうしてそう思われたのですか?」と尋ねてみましょう。
この時、問い詰めるような口調にならないよう注意してください。 あくまで「あなたの考えをもっと深く知りたい」というリスペクトを込めて聞くのがコツです。
理由を聞くことで、相手の価値観や、あなたが気づいていなかった懸念点が見えてくることがあります。 理由(根拠)は、結論という建物を支える柱です。 その柱がしっかりしているかを確認することは、より強固な合意形成を作るために欠かせないステップなのです。
④ 具体例がない
話が抽象的すぎて、イメージが湧かない時。 「効率化しましょう」「シナジーを生みましょう」といった綺麗な言葉だけでは、具体的なアクションには繋がりません。
解像度を上げる魔法の質問
そんな時は、「たとえば、どういうことですか?」と質問してみてください。
「たとえば」という言葉には、思考の解像度を一気に上げる力があります。 一つの具体例が出るだけで、周りのメンバーも「あ、そういうことね!」と共通のイメージを持つことができます。
マーケティングや商品企画の現場でも、この「具体性」こそが人を動かす鍵になります。 「誰が、いつ、どこで、どんな風に喜ぶのか?」 それを引き出すために、「たとえば」のカードを積極的に使っていきましょう。
⑤ 前提がわからない・前提がずれている気がする
議論が噛み合わない時、その原因の多くは「前提のズレ」にあります。 話している対象が違っていたり、目的が共有されていなかったりする場合です。
謙虚に前提をすり合わせる
「何か話が噛み合わないな」と感じたら、早めに確認を入れるのが得策です。
「もしかして、今話しているのは、○○ではなくて、××の話でしょうか?」や「ごめんなさい。○○の話ではなかったでしょうか?」と、自分の理解不足かもしれないという姿勢で確認してみましょう。
「ごめんなさい」という言葉を添えることで、相手を責めるニュアンスを消し、フラットに前提を合わせることができます。 前提がズレたまま議論を重ねるのは、砂の上に城を建てるようなものです。 最初に土台を固めることが、結果として最短距離でゴールに辿り着く秘訣です。
まとめ:あなたは、対話を通じて「価値」を生み出している
伊藤羊一さんが教える「聞き方」のテクニック、いかがでしたか?
① 話が飛んだら整理し、② 結論を仮説で引き出し、③ 理由を優しく尋ね、④ 「たとえば」で具体化し、⑤ 前提を謙虚に確認する。
これらは単なるテクニックではありません。 相手を尊重し、共に最高の答えを見つけ出そうとする「共創(Co-Creation)」の姿勢そのものです。
もし相手の話がわからなくても、焦る必要はありません。 「わからない」ということは、そこにまだ見ぬ「新しい発見」が隠れているサインかもしれません。
今日ご紹介した5つのポイントを、明日からの会議や面談で一つずつ試してみてください。 あなたが「聞き方」を変えれば、相手の「話し方」も変わり、チーム全体の風通しが驚くほど良くなるはずです。
この「聞き方の魔法」を味方につければ、あなたの言葉、そしてあなたのチームは、さらに大きな力を発揮できるようになります!
詳しく知りたい方は、伊藤羊一さんの『1分で話せ2【超実践編】』を手に取ってください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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