【3分要約・読書メモ】戦略ごっこ―マーケティング以前の問題 芹澤 連

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ご覧頂き誠にありがとうございます。
今回は「戦略ごっこ」についてのレビュー記事となります。

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■著者

芹澤 連(せりざわ れん)
株式会社コレクシア コンサルティング事業部 執行役員
マーケティングサイエンティスト。数学/統計学などの理系アプローチと、心理学/文化人類学などの文系アプローチに幅広く精通。非購買層やノンユーザー理解の第一人者として、消費財を中心に、化粧品、自動車、金融、メディア、エンターテインメント、インフラ、D2Cなどの戦略領域に従事。エビデンスベースのコンサルティングで事業会社の市場拡大を支援する傍ら、執筆や講演活動も行っており、企業研修などの講師を務める。著書に『顧客体験マーケティング』(インプレス)、『“未”顧客理解:なぜ「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?』(日経BP)。

■まとめ

・本書の目的は、エビデンスに基づいてビジネスマーケティングの「当たり前」を見直すこと。皆さんが思っているマーケティングの当たり前が、本当に当たり前ですか?実は間違っているというのが本書の主張。

・ダブルジョパディ(DJ)の法則
本書は、様々な切り口でブランドの成長に関するエビデンスを考察しているが、結局はこのシンプルな事実:ダブルジョパディの法則に帰結している。

ダブルジョパディの法則とは、小さなブランドは、売上を構成する顧客数(浸透率)と購入頻度の両方が少なくなる、売上が2重にペナルティを受ける指摘をしたもの。

売上の構成式

ダブルジョパディの法則で特に大事になってくるのは、次の2点。

  • 大きなブランドと小さなブランドの主な違いは顧客数であり、ロイヤリティの高さはそこまで変わらない。(大きなブランドのほうがやや高くなる)
  • 顧客数が増えればロイヤリティも高まるが、ロイヤリティを高めたといって顧客数が増えるわけではない。(むしろ、ロイヤリティだけを高めたりはできない)
ダブルジョパディの法則

売り上げを構成する3つの要素ー顧客数、購入頻度、単価ーはすべてつながっている。それぞれが独立した変数と思っているのは間違いである。すべて顧客数(浸透率)が起点となり、顧客数が増えるほどリピートや利用金額も増え、高い価格も受け入れやすくなっていく。

これがダブルジョパディの法則の奥深さであり、シンプルな「事業成長の規則性」である。

■ロイヤリティのエビデンス

・実際のパレートのシェアは、50~60%程度
「パレートの法則」とは、「上位20%の優良顧客が売り上げ全体の80%を占める」というもの。日本だと2:8(にっぱち)の法則といわれることもある。しかし、上位20%が売上80%を占めているというのは実は言い過ぎ。年単位で見ると、実際のパレートシェアは、50~60%程度であることがわかっています。

上位20%が売り上げ全体の80%近くを生み出すというのは、相当長いスパンで捉えた時の話であるということがエビデンスから出ている。

■差別化戦略のエビデンス
従来のマーケティング理論では、差別化の効果は過大評価されてきた節がある。たとえ差別化したとしても、消費者にそう認知してもらえるのか、それが購入につながるかどうかは、エビデンスを見る限り全く別の話のようである。

差別化は、既存顧客やカテゴリーのヘビーユーザーにとって有効で、企業のマージンを高めるための打ち手としては機能する。一方で、そういう顧客は少数派であり、差別化したからといって無関心な未顧客が買うようになるわけではない。

■感想

本書は、マーケティングの常識と考えられているものをエビデンスベースで否定している。マスマーケティングに消費者が反応しなくなり、多くの企業が、ファンマーケティング、ロイヤリティ向上、コミュニティ・マーケティングなど、優良顧客に対するマーケティングを強化している。そんな中、本書では、成長に対するインパクトを与えるのは、ロイヤリティの向上よりも新規顧客獲得と明言している。

本書では、多くのマーケッターがファクトと思っていたことが、エビデンスベースで覆っていく。消費者行動、商品・価格の規則性、広告コミュニケーションの規則性と3部構成とマーケティングに関わる全域をカバーしている。「瓜生上げの踊り場に直面しているマーケッターや経営者」と「小さなブランドを大きく成長させるミッションを掲げた担当者やブランドマネージャー」に特におすすめの本です。

最後まで読んでいただきて、ありがとうございました。

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