「時間を無駄にせず、確実に良書と出会いたい」
『人生の経営戦略』にて掲載されていた「経営学独習ブックガイド」を紹介します。
『人生の経営戦略』は、山口周氏が提唱する、ビジネスにおける経営戦略の考え方を個人の人生設計に応用するという斬新なアプローチが詰まった一冊です。本書は、私たちの人生をあたかも一つの「プロジェクト」として捉え、目標設定から長期計画、職業選択、意思決定、学習と成長に至るまで、経営戦略のフレームワークを用いて、より主体的に、そして戦略的に人生をデザインしていくための道筋を示してくれます。
経営学独習ブックガイドでは、目標設定、長期計画、職業選択、選択と意思決定、学習と成長、その他の6つのカテゴリーで計47冊の書籍を紹介している。今回は第4弾として、目標設定、キャリア、学習以外の分野で多角的な視点を与えてくれる書籍10冊を紹介します。
■多角的な視点
「マインドセット「やればできる!」の研究」
キャロル・S ・ドゥエック著、今西康子駅(草思社)
「自分の能力や知性は生まれつき決まっている」とする考え方を「硬直マインドセット」、「努力や挑戦を通じて自分の能力や知性は向上させられる」とする考え方を「しなやかマインドセット」と整理し、後着を持っている人の方が、さまざまな領域で成功しているとする研究。本書で提示した「とにかくたくさん試す」を後押ししてくれる。
「アリストテレス ニコマコス倫理学(上)(下)」
高田三郎訳(岩波書店)
人間の幸福(エウダイモニア)を追求するための倫理的指針を示す。 真の幸福は快楽や富にではなく、「卓越した行為(徳)」による生き方にあると説く。特に、中庸(メソテース)の概念を重視し、過度や不足を避けて最善の行為を取ることが徳を成すとした。
反脆弱性[上][下] 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方」
「 ナシーム・ニコラス・タレブ著/望月衛監訳/千葉敏生駅(ダイヤモンド社)
変動や混乱や外圧によってパフォーマンスが低下する「脆弱性」とは逆に、それらによってパフォーマンスが向上する「反脆弱性」という概念を提用。タレブは、経済や人生においてもこの性質を取り入れることで、より強かつ柔軟なシステムや個人が形成されると説く。
「EQ こころの知能指数」
ダニエル・ゴールマン著/土屋京子訳(講談社)
自己や他者の感情を理解し、適切に対応する能力が、仕事や人間関係の成功に直結することを解説した書。EQは、自己認識、自己管理、 社会的認識、対人関係管理の4つの要素から成り、知的能力(TQ) に勝る重要性があるとされる。ゴールマンは、リーダーシップや組織運営においてEQが不可欠であると主張し、感情を管理するスキルが幸福で充実した人生に寄与するとしている。
「ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか」
ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ著/瀧本哲史序文、関美和駅(NHK出版)
ゼロからイノベーションを起こすためには競争ではなく独自の価値創造を目指すべきだと主張。新しい市場を作り、競合のないビジネスを構築するための洞察はライフ・マネジメントへの示唆が多い。
「戦略サファリ 第2版 戦略マネジメント・コンプリートガイドブック」
ヘンリー・ミンツバーグ、ブルース・アルストランド、ジョセフ・ランベル著/藤嘉朗監訳(東洋経済新報社)
経営戦略論を「10の学派」に分類して紹介し、それらの学派の理論や実践を体系的かつコンパクトに解説する。戦略についての多様なアプローチやその適用シーンを情歌的に学べるため、戦略立案の奥深さを理解し、実際のビジネス環境に合わせて柔軟に戦略を選択・適用するための知見を得られる一冊。
「競争優位の戦略 いかに高業績を持続させるか」
M、E、ポーター著/土岐坤、中辻萬治、小野寺武夫訳(ダイヤモンド社)
ポジショニング学派のバイブル。企業が市場で競争優位を確立するための戦略を体系的に解説した経営戦略の名著。競争優位を生み出す方法として「コストリーダーシップ」「差別化」「集中戦略」の3つの基本戦略として提案。また本書で紹介した「ファイブフォース」モデルを紹介し、業界の構造を理解することが競争優位を構築する出発点であるとする。
「[新版]企業戦略論[上][中][下]」
ジェイ Bバーニー、ウィリアム S.ヘスタリー著/岡田正大訳(ダイヤモンド社)
リソース・ベースド・ビュー学派のバイブル。企業が持続的な競争優位を確立するための資源ベースのRBVについて詳述した著作。競争優位を維持するには「価値」「希少性」「模倣困難性」「活用可能性」 の4つが重要だと主張。本書の指摘を個人に置き換えて解釈可能。
「[新版]ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する」
W・チャン・キム、レネ・モボルニュ著/入山章栄監訳、有賀裕子訳(ダイヤモンド社)
企業が競争の激しい「レッド・オーシャン」から抜け出し、競争の少ない新市場「ブルー・オーシャン」を創造することで持続的な成長を目指す戦略を提案。競合との競争に囚われるのではなく、顧客に新しい価値を提供する革新的な商品やサービスを生み出し、新しい市場空間を開拓することの重要性を説く。
「コトラー&ケラー&チェルネフ マーケティング・マネジメント (原書16版)」
フィリップ・コトラー、ケビン・レーン・ケラー、アレクサンダー・チェルネフ著/思蔵直人監訳(丸善出版)
マーケティング理論の基本と応用を体系的に解説。市場調査、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングといった基本概念から、製品、価格、ブロモーション、流通(4P) 戦略まで、全ての項目を個人に読み替えて応用することが可能。
詳しく知りたい方は、『人生の経営戦略』山口周(著)を手に取ってください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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