「十戒」という異質なタイトルを持つこの小説は、読者に強烈な緊張感と驚きを与える一冊です。
『方舟』で多くの読者に衝撃を与えた著者が仕掛ける、新たなクローズド・サークルのルールと、その衝撃的な結末について、ネタバレなしで詳しくレビューします。
ぜひ最後まで、この小説の魅力をご覧ください。
1. 著者の紹介
著者の夕木春央(ゆうきはるお)氏は、近年のミステリー界で最も注目を集める作家の一人です。
2022年に発表した前作『方舟』は、その予測不能な展開と驚愕のラストで大きな話題となりました。
「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門をはじめ、複数のミステリー賞を受賞しています。
巧みな伏線回収と、読者の常識を打ち破るどんでん返しが彼の作品の持ち味です。
本格ミステリー小説ファンから絶大な支持を得ています。
2. 本書の要約
『十戒』は、離島を舞台にしたクローズド・サークルの王道でありながら、その設定が極めて異質な小説です。
主人公の浪人生、大室里英(おおむろりえ)は、父と共に、伯父が所有する枝内島を訪れます。
目的は、島にリゾート施設を開業するための視察でした。
島には、開発関係者や不動産会社の社員など、里英を含めた9人の関係者が集まります。
しかし、島の視察を終えた翌朝、関係者の一人が何者かに殺害される事件が発生してしまいます。
現場には、旧約聖書の「十戒」をモチーフにしたと思われる、奇妙な紙片が残されていました。
そこには、島にいる全員が従うべき「十の戒律」が記されていました。
この戒律の中で最も恐ろしいのは、「この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない」というルールです。
もし誰か一人でもこの掟を破った場合、島中に仕掛けられた爆弾が作動し、全員が死亡するという脅迫がなされます。
犯人からの明確な殺害予告と、犯人探しを禁じられるという矛盾した状況です。
残された8人の関係者は、この極限のディストピア的な状況下で3日間を過ごすことになります。
誰もが爆弾の起爆を恐れ、犯人への疑いを口にすることさえできません。
しかし、そんな恐怖のルール下でも、連続殺人は止まることなく進行していきます。
里英と、秘密裏に探偵役を引き受けることになったメンバーは、十戒という絶対的なルールを破るリスクを冒します。
彼らは爆弾の脅威と、次なる殺人の発生に挟まれながら、事件の真相を追い始めるのです。
この小説は、単なる犯人当てのミステリーを超えています。
「探偵役殺し」とも言えるルールの中で、人間の恐怖、葛藤、そして倫理観が試されるサスペンスが濃密に描かれています。
3. 感想とレビュー
「十戒」を読み終えた直後の感想は、まさに「息苦しい緊張感」と「衝撃の驚き」でした。
夕木春央氏の小説は、前作『方舟』と同様に、強烈な非日常の設定が魅力です。
今回の「十戒」というルールは、ミステリーファンにとって最大のタブーであり、それが物語の面白さを極限まで高めています。
読者は、主人公の里英と一緒に「誰が十戒を破って捜査を進めていくのか」という秘密を共有することになります。
犯人の連続殺人と、爆弾による集団死の恐怖という二重のサスペンスに、ページをめくる手が止まらなくなります。
登場人物たちの極限状態での言動や、疑心暗鬼に駆られる様子がリアルに描写されています。
彼らが「十戒」を守ることで自分を保とうとする姿は、一種のブラックユーモアのようにも感じられます。
本格ミステリー小説としてのロジックも非常に緻密です。
伏線が巧妙に張り巡らされており、物語の終盤で次々と回収されていく展開は見事でした。
特に、タイトルの「十戒」が持つ意味合いや、犯人がこのルールを課した真の意図が明らかになったとき、読者は大きな衝撃を受けるでしょう。
この小説は、読み終わった後に「もう一度最初から読み直したい」という感想を抱かせてくれます。
ミステリーの定石を逆手に取った、著者の「悪意」が光る、傑作小説です。
4. まとめ
夕木春央氏の小説「十戒」は、既存のクローズド・サークル小説に飽きてしまった方に、特におすすめしたい一冊です。
「十戒」という絶対的なルールに縛られるという異質な設定が、最高のサスペンスを生み出しています。
この極限の状況を体験し、衝撃の真相をぜひご自身の目で確かめてみてください。
あなたのミステリー観を揺さぶる、記憶に残る感想が残ることを保証します。
このレビューを参考に、ぜひ本書を手に取ってみてください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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