あなたは、もし今、誰かにこう聞かれたら、パッと答えられますか?
「好きな食べ物は何ですか?」
え?そんなの簡単でしょ?って思いましたか?
それとも、「えーっと…何だろう?」「いっぱいありすぎて選べない」「これっていうのが思いつかないな」と、ちょっと戸惑ってしまいましたか?
今日ご紹介するのは、たった一つの「好きな食べ物」を見つける旅を通して、自分自身と深く向き合い、意外な真理にたどり着く、とってもユニークで心温まるエッセイ、古賀 及子(こが ちかこ)さんの『好きな食べ物がみつからない』です!
「自分のことは、いちばん自分が、わからない。」
著者の古賀さんは、このどうでもいいようで、実はけっこう切実な「問い」に挑みます。おはぎ、チーズケーキ、寿司、オムライス…様々な食べ物と真剣に向き合い、時には迷走しながら、最後には「好きな食べ物」という質問を超えた、とてつもなく大きな「真理」へとたどり着きます。
上白石萌音さんが「母のような安心感と、親友のような愉快さと、恋人のような刺激」と絶賛し、ヨシタケシンスケさんが「好きな文筆家なら迷わず古賀及子さん」と推薦するこの名作。
きっとあなたも、読み終えた後、自分の「好き」について、そして自分自身について、深く、そして温かい気持ちで考えたくなるはずですよ。
今回のブログ記事では、この冒険エッセイの魅力を、以下の構成で深掘りしていきます。
ぜひ最後までお付き合いいただき、あなたも古賀さんの「好きを探す旅」に同行して、自分だけの「好き」を見つけるヒントを見つけてみませんか?
1. 著者の紹介
本書『好きな食べ物がみつからない』の著者である古賀 及子(こが ちかこ)さんは、独自の視点とユーモア、そして深い洞察力に満ちた文章で多くの読者を魅了する文筆家です。
彼女は、人気ウェブサイト「デイリーポータルZ」でライターとして活躍し、日常のささやかな疑問や気づきを独自の切り口で深掘りする記事で知られています。その文章は、読者が思わず「わかる!」と膝を打つような共感を呼びながらも、予想外の展開や哲学的な示唆に富んでおり、多くのファンを獲得しています。
特に、個人的な体験や内省を深く掘り下げたエッセイには定評があり、前作『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』は「本の雑誌」が選ぶ2023年上半期ベスト第2位に選ばれるなど、高い評価を受けています。
古賀さんの作品は、日常の些細な出来事や感覚を丹念に観察し、そこから普遍的な人間の営みや感情を見出すことに長けています。彼女の文章は、時にくすっと笑えて、時に深く考えさせられ、そして最終的には読者の心を温かく包み込んでくれるような魅力に溢れています。『好きな食べ物がみつからない』は、そんな古賀さんの魅力が存分に発揮された、初の食エッセイであり、自分自身を見つめ直す「自分観察冒険エッセイ」でもあります。
2. 本書の要約
古賀及子さんの著書『好きな食べ物がみつからない』は、「好きな食べ物は何ですか?」というシンプルな問いに答えられない著者が、真剣にその「好き」を探し求める120日間の冒険を描いた、濃厚かつ軽快な自分観察エッセイです。
この本は、単なる食の好みを探る話にとどまらず、「自分のことは、いちばん自分が、わからない」という普遍的なテーマに挑み、私たちの心の奥底にある「好き」という感情の正体、そして自分自身の本音を見つけるプロセスを描き出します。
本書は、ステップごとに著者が様々な食べ物と向き合い、内省を深めていく構成になっています。
Step 0~1:憧れのあのひとたちには「好きな食べ物」がちゃんとある & 好きな食べ物のなかから好きな食べ物を探す
古賀さんは、世の中の「好きな食べ物」を即答できる人々への憧れから、自分の「好き」探しをスタートします。まずは「好きな食べ物」の候補を挙げ、実際にそれらを深く味わい、本当にそれが「一番」と呼べるものなのかを徹底的に検証していきます。おはぎを求めて仙台まで行ったり、アボカドへの衝撃的な出会いを回顧したりと、その探究ぶりは時にストイックで、時にユーモラスです。
Step 2~4:血に聞き、形から入る & フェティッシュを爆発させてみたい & ラグジュアリーという鎧を着て自分を強くしたい
ここでは、単に味覚だけでなく、「食」を取り巻くあらゆる要素から「好き」のヒントを探ります。
「形から入る」ことで、見た目や雰囲気、食感といった五感を刺激する要素に注目。さらに、特定の食べ物に対するフェティッシュ(偏愛)を掘り下げ、究極の「好き」の形を見つけようと試みます。デパ地下での「荒治療」や、高級食材を「ラグジュアリーという鎧」として体験することで、食が持つ心理的な影響にも目を向けます。
Step 5~7:私よりも私を知っているひとたち & 好きな食べ物を、ここで一旦ぶっこわす & 脳内ではなく世の中に聞いてみる
自分一人で考える限界を感じた著者は、他者の視点を取り入れます。家族や友人など、「私よりも私を知っている」と著者が感じる人々に「私の好きな食べ物って何だと思う?」と尋ねることで、客観的な視点や、自分では気づかなかった好みを炙り出そうとします。
時には、それまで抱いていた「好きな食べ物」の概念を一旦「ぶっこわす」ことで、固定観念にとらわれない新しい可能性を探ります。そして、自分の脳内だけで完結させず、広く世の中の食文化やトレンドにも目を向け、多角的に「好き」のヒントを探し続けます。
Step 8~12:可能性のその先の景色を見に行こう & 私は好きな食べ物とマッチングしたい & 好きを因数分解する方法があった & 嘘でもいいから好きと言ってみる & 私が好きな私はどんな私ですか
旅の終盤では、さらに深い考察へと進みます。
「可能性のその先の景色」とは、単なる食べ物の好みを超えた、「食」がもたらす体験や感情へと視点を広げることを意味します。まるで恋人探しのように「好きな食べ物とマッチングしたい」と願う著者は、最終的に「好き」という感情を「因数分解」する、という独特のアプローチを試みます。何が「好き」なのかを構成する要素を細かく分解し、その本質に迫ろうとするのです。
本書は、一見すると個人的な食エッセイでありながら、読者一人ひとりが「自分は何が好きなのか」「自分はどういう人間なのか」という自己認識のプロセスを深く考えさせられる、示唆に富んだ一冊です。軽妙な語り口の中に、真剣な探求と発見が詰まっており、「自分」という複雑な存在と向き合う勇気を与えてくれます。
3. 感想とレビュー
古賀及子さんの『好きな食べ物がみつからない』は、まさに「日常に潜む哲学」を教えてくれる、驚きと共感の連続の一冊でした。読み終えてまず感じたのは、「ああ、私もそうだったのか!」という深い納得感と、心の奥底で眠っていたモヤモヤが晴れていくような感覚です。
正直、「好きな食べ物がみつからない」というタイトルを聞いたとき、最初は「そんなに悩むことかな?」と思ってしまいました。しかし、ページをめくるごとに、古賀さんの真剣な探究心と、その背後にある「自分を知りたい」という切実な願いに強く惹きつけられました。
食べ物の描写はどれも秀逸で、読んでいるだけでおはぎの甘さや酢飯の酸っぱさが口の中に広がるようで、食エッセイとしても十分に楽しめます。でも、それだけじゃないんです。
私が特に感銘を受けたのは、古賀さんが「好き」という感情を、味覚だけでなく、その食べ物が持つ背景、思い出、誰かと分かち合う喜び、そして何よりも「それを選ぶ自分」という存在と結びつけて深掘りしていくプロセスです。この本は、その「好き」の奥にある人間の本質的な欲求や、自己認識の複雑さを教えてくれました。
この本は、以下のような方々に心からお勧めしたいです。
- 「好きなもの」がはっきりしないと感じる方
- 自分の本音や本当の気持ちが分からず、モヤモヤしている方
- 完璧な自分を探し求めて、疲れてしまっている方
- 日常の些細なことから、深く考えるきっかけを見つけたい方
- 軽妙なエッセイを読んで、心を癒したい方
『好きな食べ物がみつからない』は、あなたの心に優しく寄り添いながら、自分自身を見つめ直す、温かくも深遠な冒険へと誘ってくれるでしょう。読み終えた後には、きっと、目の前の食べ物、そして自分自身のことを、より愛おしく感じられるはずです。
5. まとめ
今回は、古賀及子さんの著書『好きな食べ物がみつからない』について、著者の紹介、本書の要約、ココだけは押さえたい一文、そして感想・レビューをお伝えしました。
本書は、「好きな食べ物は何ですか?」という問いを深掘りすることで、自分自身と世界を再発見していく、ユニークで示唆に富んだ自己観察エッセイです。
この本の重要なポイントを改めてまとめると、以下のようになります。
- 「好き」の探求は「自己」の探求:たった一つの「好き」を見つける旅は、自分の本音や価値観、そして「どんな自分でいたいか」という人生の問いに繋がっていく。
- 五感と経験の重要性:単なる味覚だけでなく、食べ物の背景、食感、そして食を通じて得られる体験など、あらゆる要素から「好き」の本質を探る。
- 他者の視点と内省の融合:自分一人で考えるだけでなく、他者の意見を聞き、固定観念を打ち破ることで、より深く自分を理解する。
- 「好き」の因数分解:感情の奥にある要素を細かく分解し、その本質を見極めることで、真の「好き」へとたどり着く。
もしあなたが、今、自分の「好き」について迷っているなら、この本を読んで、自分だけの「好き」を見つける旅に出てみませんか?
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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