【3分要約・読書メモ】ブランディングの誤解 P&Gでの失敗でたどり着いた本質 :西口一希 (著)

BOOKS-3分読書メモ-
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今回は『ブランディングの誤解』についてレビューと要約の記事となります。

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『ブランディングの誤解』西口一希(著) 要約とレビュー:成功するブランディング戦略とは

1.著者の紹介

西口一希氏は、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)をはじめ、ロート製薬、ロクシタンジャポンなど、数々のグローバル企業でマーケティングの要職を歴任した経験を持つマーケティングのエキスパートです。長年の実務経験から得た豊富な知見と、データに基づいた分析力を武器に、数々の成功と失敗を経験し、その経験から得た「ブランディングの本質」を本書で明かしています。

2. 本書の概要

ブランディングの誤解』は、ブランディングに関する誤解を解き、実務で使える具体的なブランディング戦略を解説した一冊です。著者自身がP&Gで経験した失敗談や、数多くのブランドの成功事例・失敗事例を交えながら、ブランディングの本当の意味や効果的な施策について詳しく解説しています。

3. 本書の要約

ブランディングの誤解と真実

ブランディングは、多くの企業が取り組むマーケティング活動の一つですが、その一方で、多くの誤解や勘違いも存在します。本書では、以下の様な誤解を解き、ブランディングの本質に迫ります。

  • ブランディングすれば必ず売上上がるのか?
    • ブランディングは、売上アップの万能薬ではありません。
    • ブランドイメージ向上と売上増加は必ずしも直結しません。
  • 広告費をたくさんかければブランドは強くなるのか?
    • 大規模な広告キャンペーンは、必ずしも効果的なブランディングにつながりません。
  • 有名なデザイナーにロゴを作ってもらえばブランドは強くなるのか?
    • デザインは重要ですが、ブランドの核となる価値を伝えることが大切です。

ブランディングの主たる目的は、商品・サービスを売るためではなく、あくまで商品・サービスを記憶し、識別しやすくするためのものです。ブランディングそのものが、買ってもらうための「便益」になるわけではありません。

ブランディングの誤解

ブランディングの目的

ブランディングの目的は、企業や製品・サービスを顧客の心に深く印象付け、長期的な関係を築くことです。本書では、ブランディングの目的を以下の3つに整理しています。

  1. プロダクト(商品・サービス)の記憶化と想起性の確立: 顧客に自社の商品やサービスを覚えてもらい、競合他社との差別化を図る。
  2. 情緒的・心理的価値の提供: 商品やサービスを通じて、顧客に特別な価値や体験を提供し、ブランドロイヤルティを醸成する。
  3. インナー、コーポレート、IR: 社内外のステークホルダーに対して、企業のビジョンや価値観を共有し、企業全体のブランド力を高める。

ブランディングの第一の目的の重要指標は「想起率」

ブランディングの誤解
『ブランディングの誤解』

ブランディングの成功事例と失敗事例

ブランディングの誤解』では、アップル、コーセー、ミスミグループなど、数々の企業のブランディング事例を分析しています。成功事例からは、どのような戦略が効果を発揮したのか、失敗事例からは、何が原因で失敗に終わったのかを学ぶことができます。

ブランディングの測定

ブランディングの効果を測る指標として、従来の認知度や好感度だけでなく、著者独自の「次回購入意向(NPI)」という指標を提唱しています。NPIは、顧客が実際に商品やサービスを再び購入したいと思うかどうかを測る指標であり、ブランディングの効果をより正確に評価することができます。

中小企業でもできるブランディング

本書では、大企業だけでなく、中小企業でも実践できるブランディング戦略についても解説しています。地域密着型の店舗や、ニッチな市場をターゲットにした企業など、様々な事例を紹介し、中小企業でも独自のブランドを築くことができることを示しています。

ブランディング実施の3つのステップ
ステップ1:商品・サービスの便益と独自性の明確化
ステップ2:その便益と独自性を「誰に」伝えたいかを。課すため—ダイナミクスのフレームワークを用いて明確化する
ステップ3:対象者に便益と独自性を伝える上で最も適切な施策を検討する

4. ここだけは押さえたい一文

「ブランディングは、単に広告やデザインといった表面的なものではなく、顧客との深い関係性を築き、長期的な成長を促すための戦略的な活動である。」

ブランディングの誤解

ブランドとは、消費者や顧客から自社の商品・サービスが、他の企業の商品・サービスとは「違うもの」として認められることで成り立つものです。ですから、ブランディングとは単に認知を高めることではありません。

ブランディングの誤解

好感度や信頼度で商品・サービスを選ぶ人は少数

ブランディングの誤解

強いブランドとは買う理由となる「便益」と、他を選ばない「独自性」を兼ね備えていることが条件だ

ブランディングの誤解
『ブランディングの誤解』

商品・サービスの持つ本質的な便益と独自性を新規顧客に実際に体験してもらい、高い価格評価をいただき、忘れないように覚えていただく。それが、ブランディングの主目的です。

ブランディングの誤解

ブランドアイデンティティは「企業がどう見せたいか」
ブランドエクティは「顧客がどう記憶しているか、感じているのか」

ブランディングの誤解

「ブランディング」は、「マーケティング」によって創造した価値を記憶化し、想起率を高めるための手段

ブランディングの誤解

100人に1人でも熱量の高いファンがいれば成立する

ブランディングの誤解

ブランディングはプロダクト(商品・サービス)に価値を見出してくれる潜在的な顧客=対象者(WHO)、その価値をつくるために何を便益や独自性として訴求したいか(WHAT)を明確に定めることがスタートです。

ブランディングの誤解

5. 感想とレビュー

ブランディングの誤解』は、ブランディングに関する誤解を解き、実務に活かせる具体的な戦略を提示してくれる、非常に実用的な一冊です。著者の豊富な経験に基づいた内容は、説得力があり、読者を納得させます。

特に、ブランディングの目的を明確にし、効果測定の重要性を説いている点が印象的でした。従来のブランディング論では、効果測定が難しいとされてきましたが、本書では具体的な指標を提示し、ブランディングの効果を数値化できることを示しています。

中小企業でも実践できる具体的な事例も豊富に紹介されており、これからブランディングに取り組みたいと考えている人にとっては、非常に参考になるでしょう。

6. まとめ

ブランディングの誤解』は、ブランディングに関する誤解を解き、正しい知識と実践的なノウハウを提供してくれる一冊です。

本書を読めば、ブランディングが単なるマーケティングの一環ではなく、企業の成長を牽引する重要な戦略であることを理解できるでしょう。

ブランディングに携わるすべての人におすすめしたい一冊です。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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