【3分要約・読書メモ】パーティーが終わって、中年が始まる:pha (著)

BOOKS-3分読書メモ-
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今回は『パーティーが終わって、中年が始まる』についてレビューと要約の記事となります。

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『パーティーが終わって、中年が始まる』要約とレビュー:元「日本一有名なニート」が綴る等身大の中年クライシス

1. 著者の紹介

pha(ファ)氏は、かつて「日本一有名なニート」として知られた人物です。大学卒業後、定職に就かず、シェアハウスを拠点に独自のライフスタイルを送ってきました。著書に『ニートの歩き方』などがあり、若者を中心に支持を集めています。本書では、40代半ばを迎え、若さの魔法が解けた後の自身の変化や葛藤を赤裸々に綴っています。

2. 本書の概要

パーティーが終わって、中年が始まる』は、pha氏が40代半ばを迎え、自身の変化や周囲の環境の変化を感じながら、中年期特有の心境や葛藤を綴ったエッセイです。かつて若者から共感を集めた「ニート」という生き方を経て、中年期に直面した「衰退」や「喪失感」を率直に語り、同世代の読者を中心に共感を呼んでいます。本書は、単なる中年期の嘆きではなく、変化を受け入れ、自分自身と向き合いながら生きていくことの難しさや、その中で見出すささやかな希望を描いています。

3. 本書の要約

本書は、pha氏が40代半ばを迎えて感じた変化、特に「衰退」と「喪失感」に焦点を当てています。若い頃は変化だけを求め、喪失感さえ娯楽の一つとして捉えていた著者が、中年になり、身体の変化、周囲の環境の変化、そして価値観の変化に直面します。

若い頃との変化:

若い頃は、変化こそが全てで、怖いものは何もなかったと著者は語ります。しかし、40代になり、身体の衰えを感じ、周囲の友人たちが家庭を持ち、社会的な責任を担っていく中で、自身が取り残されているような感覚を覚えます。かつて共感を集めた「ニート」という生き方も、時代に合わなくなってきていると感じ、焦燥感を覚えます。

デフレからインフレへの変化:

長らく続いたデフレ環境に慣れ親しんできた著者にとって、物価上昇は大きな変化です。若い頃は、お金がなくてもインターネットで遊んだり、安いチェーン店で過ごしたりすることで満足していましたが、そのような価値観が通用しなくなってきていると感じます。周りの若者たちが、若い頃からお金を稼ぐことを真剣に考えているのを見て、時代の変化を痛感します。

歪みと水槽の比喩:

著者は、シェアハウスという特殊な環境で過ごしてきた経験から、他人の家族の話を聞いたり、社会の様子を見たりする中で、誰もが何かしらの「歪み」を抱えていることに気づきます。そして、人々はそれぞれの「歪み」に合った「水槽」の中で生きていると表現します。それは、身体から切り離されてコンピューターに繋がれた脳が、水槽の中で外の世界を見ているような状態だと例えます。この比喩は、現代社会における個人の孤独や閉塞感を象徴していると言えるでしょう。

歪みとの向き合い:

著者は、生まれつき持っている、あるいは幼少期に抱えた「歪み」は、成長するにつれて解消されると思っていましたが、実際はそうではありませんでした。人生とは、自分が抱えている「歪み」に対処したり、振り回されたりする過程であり、そのこと自体が人生なのだと気づきます。この気づきは、諦めにも似た感情を含んでいますが、同時に自分自身を受け入れることへの一歩とも言えるでしょう。

具体的なエピソード:

本書には、著者が経験した具体的なエピソードが多数描かれています。例えば、健康診断の結果にショックを受けたり、友人の結婚式に出席して複雑な感情を抱いたり、シェアハウスの住人との交流を通して様々な価値観に触れたりする様子が描かれています。これらのエピソードを通して、読者は著者の心境の変化をより深く理解することができます。

喪失感と向き合う:

若い頃から抱えていた喪失感に、40代で実質が追いついてきたと著者は語ります。それは、単なる気分的なものではなく、現実的な衰えや変化を伴うものです。しかし、著者はこの衰退をじっくり味わってみようと試みます。それは、過去を懐かしむだけでなく、今の自分を受け入れ、未来を見据えるための過程と言えるでしょう。

4. ここだけは押さえたい一文

「若い頃から持っていた喪失の気分に、四十代で実質が追いついてきて、ようやく気分と実質が一致した感じがある。そう考えれば、衰えも悪くないのかもしれない。」

パーティーが終わって、中年が始まる

この一文は、本書のテーマを象徴的に表しています。若い頃から抱えていた漠然とした不安や喪失感が、40代になり現実のものとして迫ってくる中で、著者はそれを否定するのではなく、受け入れようとしています。この受容の姿勢は、中年期を生きる上で重要な示唆を与えてくれます。

5. 感想とレビュー

パーティーが終わって、中年が始まる』は、pha氏の等身大の言葉で綴られた、中年期を生きる人々の心に深く響く作品です。かつて若者から共感を集めた著者が、中年になり、自身の変化や葛藤を赤裸々に語る姿は、同世代の読者にとって共感と安堵感を与えるでしょう。

本書の良かった点:

  • 正直で飾らない言葉: 著者の言葉は非常に正直で、飾らない表現で綴られています。中年期の不安や葛藤を率直に語ることで、読者は共感しやすく、自分だけではないと感じることができます。
  • 普遍的なテーマ: 中年期の変化や喪失感というテーマは、誰にでも起こりうる普遍的なものです。著者の個人的な経験を通して語られることで、読者は自身の人生と照らし合わせながら読むことができます。
  • 示唆に富む比喩: 「水槽」の比喩など、著者の言葉には示唆に富む表現が多く見られます。これらの比喩を通して、現代社会における個人の孤独や閉塞感、そして自分自身と向き合うことの重要性を深く考えさせられます。
  • 過去の著作との繋がり: 過去の著作を読んでいる読者にとっては、著者の変化や成長を感じられる点も魅力です。かつて「ニート」という生き方を肯定的に描いていた著者が、中年になりどのような変化を経験しているのかを知ることは、興味深い体験となるでしょう。
  • 読みやすい文章: エッセイ形式で書かれているため、非常に読みやすい文章です。著者の個人的な経験や思考が中心に描かれているため、小説を読むように気軽に読み進めることができます。

特に共感した点:

  • 変化への戸惑い: 若い頃は変化を求めていた著者が、中年になり変化に戸惑う姿は、多くの人が共感できるでしょう。変化を受け入れることの難しさ、そして変化の中で自分自身を見つめ直すことの重要性を改めて感じました。
  • デフレからインフレへの変化に対する感覚: 長いデフレ時代に慣れ親しんだ世代にとって、物価上昇は大きな変化です。著者のデフレ感覚に対する戸惑いは、同世代の読者にとって共感を呼ぶでしょう。
  • 歪みとの向き合い: 誰もが何かしらの「歪み」を抱えているという著者の言葉は、深く心に響きました。自分自身の「歪み」と向き合い、受け入れることの大切さを改めて認識しました。

6. まとめ

パーティーが終わって、中年が始まる』は、pha氏が等身大の言葉で綴った、中年期を生きる人々の心に深く響く作品です。変化を受け入れ、自分自身と向き合いながら生きていくことの難しさや、その中で見出すささやかな希望を描いています。中年期を迎える人、あるいはすでに中年期を生きている人にとって、共感と安堵感を与えてくれる一冊です。客観的な視点や具体的な解決策を求める読者には物足りない部分もあるかもしれませんが、著者の正直な言葉を通して、自分自身と向き合うきっかけを与えてくれるでしょう。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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