【3分要約・読書メモ】全員“カモ”: 「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法

BOOKS-3分読書メモ-
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今回は「全員“カモ”: 「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法」についての記事となります。

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■著者

ダニエル・シモンズ
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校心理学部教授。同校の視覚認知研究所ディレクター。「見えないゴリラ実験」で、2004年にイグ・ノーベル心理学賞をチャブリスとともに受賞している。

クリストファー・チャブリス
ペンシルべニア州の統合医療機関である「ガイジンガー」教授。行動・意思決定科学プログラムの共同ディレクターおよび行動洞察チームの教員共同ディレクターを務める。シモンズとの共著に『錯覚の科学』(文藝春秋、21カ国で出版)がある。

児島 修(コジマ オサム)
翻訳家。立命館大学文学部卒業(心理学専攻)。主な訳書に『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』、『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』などがある。

橘 玲(タチバナ アキラ)
作家。2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。新書大賞2017受賞の『言ってはいけない 残酷すぎる真実』ほか、近著に『世界はなぜ地獄になるのか』などベストセラー多数。

■まとめ

・どんな人でも騙される
どれだけ優秀で聡明な人でも、例外ではない。
私たちは、はっきりとそれを否定する証拠がない限り、見聞きしたものが本当だと思い込む「事実バイアス」を持っている。
「事実バイアス」に引きずれないようにするための最もシンプルなアドバイスは、「少し受け入れ、多く確認する」

本書では、人間が持っている4つの重要な認知的なハビット(癖や習慣)とフック(釣り針のように私たちの心に引っかかるもの)を探っていく。

認知的なハビットとフックについて学び、詐欺や欺瞞の仕組みを知ることで、「少し受け入れ、多く確認する」を実践できるようになる。

【ハビット】

1 集中(フォーカス) ーー相手は何を隠しているのか

・霊媒師は何でも知っている
人間には、目の前にある情報にもとづいて判断を行い、無関係な情報や邪魔な情報は無視する傾向がある。このようなフォーカス(集中)の習慣があるため、目の前に無い情報の重要性や、そうした情報が存在することすら無視されがちになる。こうした「今、そこに無い情報」に惑わされていることに気づくには、「何が欠けているのか」を問う。「いま目にしているものだけがすべてではない。何かしらの理由で消えてしまったものもあるかもしれない」と考えることが対策になる。

2 予測(プレディクション)ーー 「期待外れ」を喜べ

・「嘘」ほど「真実」に見える
私たちは世の中を理解するために、これまでの経験をもとに次に起こることを予測している。予測が間違っていれば、必要に応じて修正する。だが、予測していたとおりのことが起こると、それに対して疑問を持たない傾向がある。また、予測が現実になるように働きかけてくる人に騙されやすい。「これから起こりうることを、もっと注意深く考えなければ」と自覚するには、「これを予想していたか?」という逆説的な自問が必要になる。

3 思い込み(コミットメント)ーー判断を後回しにする

・「マンデラ効果」―記憶は当てにならない
私たちはある想定や考えに従うと心に決めると、めったに思い改めることはない。疑う余地のない想定の中には世の中を知るために不可欠なものもあるが、詐欺を見破り、未然に防ぐには、心に決めたことを進んで受け入れると同時に疑わなければならない。なぜなら、いつの間にか惑わされてしまうからだ。

思い入れがあまりに強くなると、疑問を抱く必要性がなくなり、その問題についてこれ以上学ぼうとせず、自分の見解と相反する新たな証拠を示されても、軽視するか、見て見ぬふりをするようになる場合がある。

4 効率(エフィシェンシー)ーー相手の痛いところを突く

・「たった1つの質問」をしてさえいれば!
人は決断するとき、徹底的に調べるよりも効率を優先して調べ物の手間を省こうとしがちだ。だが、重要な決断時はその修正を捨てなければならない。とはいえ、それは特に難しくはない。あと、たった1つ、適切な質問をするだけで十分なこともある。

交渉を有利に運ぶ「3つの質問」
「ほかにお話しいただけることはありませんか?」
「どんな情報があれば考えが変わりますか?」
「もっといい選択肢はどれですか?」

【フック】

5 一貫性(コンシステンシー)ーーこの世界は不合理だ

・「うますぎる話」を見抜く方法
一貫性を品質や本物の証しと見ることは多いが、本物のデータにはほぼ必ずばらつきや「ノイズ」がある。現実的なレベルの脈絡のなさや誤差を探せば、騙されずにすむだろう。

6 親近性(ファミリアリティ)ーー「これ知ってる」を疑え

・似たような名前の店が乱立する理由
親近感は事実性と正当性の大雑把な指標として利用される。心当たりがあるが、理由がわからないとき、本物に似ているだけで騙されているかもしれないと疑った方がいい。

7 正確性(プレシジョン)ーー“数字”の落とし穴

・「データ」と「数字」を正しく読めていますか
人は、正確性が厳密さや現実主義の証しだとし、あいまいさはでたらめの証だとみなす。具体的で詳細な情報を与えられると、それが正確でよく調査されたものに違いないと思い込みがちだ。この種のカモフラージュをかいくぐって物事を見るために、私たちは視野を広げ、対象を正しく比較しなければならない。

8 有効性(ポテンシー)ーー「奇跡」と「ドラマ」はない

・「ヘビの油」がもてはやされた背景
ポピュラーサイエンスの世界には、「ブラジルで1匹の蝶が羽を動かすとテキサスで竜巻が起こる」という有名な言葉がある。実際は、小さな原因から大きな効果が埋めれると主張する人がいれば用心すべきなのに、有効性には必要以上に人を信じ込ませる大きな力がある。

■感想

「どれだけ優秀で賢明な人でも騙される」それは、人間がもつバイアスが原因。完璧に克服することはできないから、「少し受け入れ、多く確認する」ことで、騙されないようにすることが本書のメッセージ。

「映画の予告」「セールストーク」「耳に残る歌や曲の一部」様々なものに認知的な「フック」は使われている。この本を通して騙されないスキルを身につけるというよりも、人間は騙されやすい特性を持つ生き物であることを自覚し、「少し受け入れ、多く確認する」を実践することで、詐欺などのトラブルを回避することができる。

プレッシャーのかかる判断が必要なビジネスパーソンにおすすめの本。認知クセを理解しておくことで、プレゼンや企画を検討する時に、「データ」と「数字」を正しく認識する力が身に付きます。

最後まで読んでいただきて、ありがとうございました。

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