皆さん、こんにちは！日々、仕事に取り組む中で、「なぜ私は働いているのだろう？」「この仕事にどんな意味があるのだろう？」とふと考えることはありませんか？仕事は、人生の大半を占める大切な時間です。その時間をどのように過ごすか、どのように意味づけるかによって、人生の充実度は大きく変わってきます。
今回のテーマは、まさにその核心に迫る「仕事の意味を考える」です。経営学の大家ピーター・ドラッカーの有名なたとえ話から、心理学の研究まで、様々な視点を通して「仕事の意味」を深く掘り下げていきます。この記事を通して、あなたが仕事に対する新たな視点を見つけ、より充実した人生を送るためのヒントを得ていただければ幸いです。
この記事は、『だから僕たちは、組織を変えていける』斉藤徹(著)を参考に書かせていただきました。
仕事は「義務」か「天職」か～捉え方ひとつで世界が変わる～
私たちは、毎日、様々な理由で仕事をしています。生活のため、家族のため、キャリアアップのため、自己実現のため…その理由は人それぞれです。しかし、同じ仕事をしていても、それを「義務」と捉えるか、「天職」と捉えるかによって、日々の過ごし方や得られる満足感は大きく異なります。
「義務」と捉えている場合、仕事は単に生活費を稼ぐための手段となり、喜びややりがいを感じることは少ないかもしれません。一方、「天職」と捉えている場合、仕事は自己表現の場となり、大きな喜びや充実感を得ることができます。
では、一体何がこの違いを生み出すのでしょうか？それは、まさに「仕事に対する意味づけ」です。同じ仕事でも、自分がどのように意味づけるかによって、その価値は大きく変わるのです。
3人の石工のたとえ話～ドラッカーが語る仕事の意味～
経営学者のピーター・ドラッカーは、著書『マネジメント』の中で、有名な「3人の石工のたとえ話」を用いて「仕事の意味」を説いています。
ある旅人が道行く途中、3人の石工に出会いました。彼らは皆、石を叩く仕事をしていました。旅人は彼らに「あなたは何のために仕事をしているのですか？」と尋ねました。
1人目の石工は、疲れ切った様子で「生活のためだよ。家族を養うために、仕方なく石を叩いているんだ」と答えました。彼にとって、仕事は単なる生活の糧を得るための手段、つまり「ジョブ（Job）」でした。
2人目の石工は、少し誇らしげに「見ての通り、石を加工しているんだ。毎日技術を磨いている。いつかはこの辺りで一番の石工になるんだ」と答えました。彼にとって、仕事は自身のスキルアップやキャリアアップのための手段、つまり「キャリア（Career）」でした。
3人目の石工は、目を輝かせながら、遠くに見える大聖堂を指さし、「私は、あの大聖堂を建てているんだ！人々の祈りの場となる、壮大で美しい大聖堂を！」と答えました。彼にとって、仕事は単なる作業ではなく、大きな使命の一部であり、喜びの源泉、つまり「コーリング（Calling）」でした。
3つの仕事観～レズネスキーの研究～
このドラッカーのたとえ話は、経営学者のエイミー・レズネスキーによる「3つの仕事観」と見事に符合しています。
レズネスキーは、人々が仕事に対して抱く意味づけを、「ジョブ」「キャリア」「コーリング」の3つに分類しました。
- ジョブ（Job）: 仕事をお金を得るための手段と捉える。仕事自体に意味を見出しておらず、給料や福利厚生などの外的な報酬を重視する。
- キャリア（Career）: 仕事を地位や名声、出世のための手段と捉える。仕事を通じてキャリアアップしていくこと、社会的地位を高めることを重視する。
- コーリング（Calling）: 仕事に使命感や喜びを感じ、自己実現の場と捉える。仕事を通じて社会に貢献すること、自分の才能を発揮することに喜びを感じる。
レズネスキーは、人間が「自分の仕事をどう見ているか」によって、人生から得られる満足感は大きく異なるとし、仕事を「コーリング」、つまり天職と意味づけることの大切さを説いています。
部署異動や転職では得られないもの～内なる変化の重要性～
部署異動や転職は、キャリアアップや環境の変化をもたらす有効な手段です。しかし、レズネスキーの研究が示唆するように、「本人の仕事に対する意味づけ」が変わらなければ、深い満足を得ることは難しいでしょう。
例えば、給料の高い会社に転職したとしても、仕事に対する意味づけが「ジョブ」のままであれば、一時的な満足感は得られても、すぐに物足りなさを感じるかもしれません。また、出世を重ねて役職が上がったとしても、仕事に対する意味づけが「キャリア」のままであれば、常に更なる高みを目指し続けることになり、心の安らぎを得ることは難しいかもしれません。
本当に大切なのは、外的な環境の変化ではなく、内的な変化、つまり「仕事に対する意味づけ」を変えることです。自分の仕事にどのような意味を見出すか、どのように捉えるかによって、日々の仕事が大きく変わり、人生全体の満足度も向上するのです。
外的な目標と内的な目標～幸福度への影響～
心理学者のティム・カッサーとリチャード・ライアンの研究によると、「外的な目標を持つ人」、つまりお金や名声、容姿などを重視する人は、「内的な目標を持つ人」、つまり人間関係の構築や自己成長、社会貢献などを重視する人と比べて、常に未達成への不安を抱えており、その達成度に関わらず、幸福度が低いことが分かっています。
これは、外的な目標は常に他人との比較によって評価されるため、際限がなく、満たされることがないからです。一方、内的な目標は自分自身の内面から湧き出るものであり、達成感や充実感を得やすいのです。
仕事においても同様で、「ジョブ」や「キャリア」といった外的な目標に偏っていると、常に不安や不満を感じやすく、幸福度も低くなりがちです。一方、「コーリング」といった内的な目標を持つことで、仕事にやりがいや充実感を感じ、幸福度を高めることができるのです。
情熱を傾けられる仕事～マズローの言葉～
欲求段階説を提唱した心理学者のアブラハム・マズローは、「人間が手にしうる最も美しい運命、最も素晴らしい幸運は、情熱を傾けれる仕事で生計を立てられることである」としました。
これは、まさに「コーリング」の重要性を表していると言えるでしょう。自分が本当に情熱を傾けられる仕事を見つけ、それを生業とすることができれば、それはまさに「最も美しい運命、最も素晴らしい幸運」と言えるのかもしれません。
仕事の意味を見つけるヒント～自分だけの物語を紡ぐ～
では、自分の仕事に意味を見出し、「コーリング」へと近づくためには、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか？以下に、いくつかのヒントをご紹介します。
- 自分の価値観を明確にする: 自分にとって何が大切なのか、何を重視しているのかを明確にすることで、仕事にどのような意味を求めるべきかが見えてきます。
- 仕事の目的を再確認する: 自分が担当している仕事が、組織や社会にどのように貢献しているのかを改めて考えてみましょう。
- 仕事の意義を見出す: 小さなことでも良いので、自分の仕事が誰かの役に立っている、社会に貢献していると感じられる部分を見つけましょう。
- 目標を設定する: 仕事を通じて何を達成したいのか、どのようなスキルを身につけたいのか、具体的な目標を設定することで、仕事へのモチベーションを高めることができます。
- 仕事を楽しむ工夫をする: 仕事の中に楽しみを見つける、同僚とのコミュニケーションを大切にするなど、仕事が楽しくなるような工夫をしてみましょう。
- 自己成長を意識する: 仕事を通じて自分のスキルや能力を高めること、人間として成長することを意識することで、仕事にやりがいを感じやすくなります。
- ワークライフバランスを意識する: 仕事だけでなく、プライベートの時間も大切にすることで、心身ともに健康な状態を保ち、仕事にも良い影響を与えることができます。
具体例
より理解を深めるために、具体的な例をいくつか紹介します。
例1：清掃員の仕事
- 「ジョブ」として捉えている場合： 「ただ汚れたところを掃除するだけの仕事」「誰にでもできる仕事」と考え、仕事にやりがいを感じられず、時間だけが過ぎていくように感じるかもしれません。
- 「コーリング」として捉えている場合： 「人々が快適に過ごせる環境を作っている」「病院であれば、患者さんの治癒を間接的にサポートしている」「オフィスであれば、社員が気持ちよく働ける環境を提供している」と考え、自分の仕事が社会や人々の役に立っていることを実感し、誇りを持つことができます。
例2：プログラマーの仕事
- 「ジョブ」として捉えている場合： 「言われた通りにコードを書くだけの仕事」「納期に追われるだけの仕事」と考え、単調な作業に飽き飽きし、モチベーションを維持するのが難しいかもしれません。
- 「コーリング」として捉えている場合： 「人々の生活を便利にするアプリを開発している」「社会問題を解決するシステムを構築している」「新しい技術を通して未来を創造している」と考え、自分の仕事が社会に貢献していることを実感し、大きなやりがいを感じることができます。
例3：事務職の仕事
- 「ジョブ」として捉えている場合： 「単なる事務作業」「誰がやっても同じ仕事」と考え、仕事に意味を見出せず、退屈に感じるかもしれません。
- 「コーリング」として捉えている場合： 「会社の円滑な運営を支えている」「社員が本来の業務に集中できる環境を整えている」「お客様との良好な関係を築くためのサポートをしている」と考え、自分の仕事が組織や人々の役に立っていることを実感し、責任感と誇りを持つことができます。
これらの例からわかるように、同じ仕事でも、それをどのように意味づけるかによって、全く違う経験になります。仕事に意味を見出し、「コーリング」として捉えることで、日々の仕事が充実したものになり、人生全体も豊かになるのです。
仕事の意味を見出すための具体的な質問
仕事の意味を見出すためには、自分自身に問いかけることが重要です。以下に、具体的な質問をいくつかご紹介します。これらの質問に答えることで、自分の仕事に対する考えが深まり、新たな意味を見出すことができるかもしれません。
- なぜこの仕事を選んだのか？ 当初、この仕事にどのような魅力を感じていたのかを思い出してみましょう。
- この仕事を通して、どのような価値を提供しているのか？ 自分の仕事が、誰の、どのような役に立っているのかを具体的に考えてみましょう。
- 仕事の中で、どのような時に喜びを感じるか？ 仕事の中で、特にやりがいを感じる瞬間、充実感を感じる瞬間を思い出してみましょう。
- この仕事を、どのように社会に貢献していると捉えるか？ 自分の仕事が、社会全体にどのような影響を与えているのかを考えてみましょう。
- この仕事を通して、どのような成長を遂げたいか？ スキルアップ、キャリアアップだけでなく、人間的な成長も含めて考えてみましょう。
- もしお金の心配がなかったら、今と同じ仕事をしているだろうか？ この質問は、自分の仕事に対する本音を探るのに役立ちます。
- 自分の仕事の「物語」を語るとしたら、どのような物語になるだろうか？ 自分の仕事にストーリーを与えることで、より深い意味を見出すことができます。
これらの質問に答えることで、自分の仕事に対する考えが整理され、新たな発見があるかもしれません。焦らず、じっくりと自分自身と向き合い、仕事の意味を探求してみてください。
まとめ～仕事を通して人生を豊かに～
今回のテーマ、「仕事の意味を考える」を通して、仕事に対する新たな視点を見つけていただけたでしょうか。
仕事は、単なる生活の糧を得るための手段ではありません。自分の才能を発揮し、自己実現を図り、社会に貢献する、かけがえのない機会です。
ピーター・ドラッカーのたとえ話や、エイミー・レズネスキーの研究が示唆するように、私たちが仕事にどのような意味を与えるかによって、日々の仕事は大きく変わり、人生全体の満足度も大きく変わります。
「ジョブ」から「キャリア」へ、そして「コーリング」へ。自分の仕事に意味を見出し、情熱を傾けられる仕事を見つけることは、人生を豊かにする魔法の言葉です。
この記事が、あなたが仕事に対する新たな視点を見つけ、より充実した人生を送るための一助となることを心から願っています。
「仕事の意味」に関して詳しく知りたい方は、『だから僕たちは、組織を変えていける』斉藤徹(著)、『マネジメント』ピーター・ドラッカー (著)を手に取ってください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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