チームを率いたり、誰かと一緒に仕事を進めたりする中で、こんなふうにモヤモヤしてしまうことってありませんか?
「どうして何度言っても、あの人は同じミスをしてしまうんだろう」
「自分の思い通りに動いてくれなくて、ついイライラしてきつい言葉を投げかけてしまう」
そして、カッとなって感情的に言ってしまったあとで、「あんな言い方しなきゃよかったな…」と、一人で深く落ち込んで反省する。
そんな夜を過ごした経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
人と向き合うことは、エネルギーを使いますし、思い通りにならないことばかりで本当に大変ですよね。
でも、安心してください。
あなたが感情的になってしまうのは、あなたが冷酷だからでも、リーダーとして未熟だからでもありません。
ただ、目の前の出来事に対して「瞬間的に反応する癖」が、少しだけついてしまっているだけなのです。
今日は、そんな私たちの凝り固まった心をフッと軽くしてくれて、マネジメントや日々の人間関係を劇的に変えてくれる素敵な一冊をご紹介します。
ビョルン・ナッティコ・リンデブラッドさんらの著書『私が間違っているかもしれない』です。
この本から学べる「瞬間反応しないマネジメント」のエッセンスをヒントに、もっと優しく、もっと肩の力を抜いて人と向き合う方法を一緒に見ていきましょう。
『私が間違っているかもしれない』とはどんな本か?
今回ベースにするのは、ビョルン・ナッティコ・リンデブラッドさん、キャロライン・バンクラーさん、ナビッド・モディリさんによる共著『私が間違っているかもしれない』という本です。
著者のビョルンさんは、元々は優秀なエリートとして順風満帆なキャリアを歩んでいました。
しかし、ある日突然、自分の生き方に大きな疑問を抱き、すべてを捨ててタイの森の中で仏教の僧侶になります。
森の修行僧として17年間過ごしたのち、還俗(僧侶から元の俗人に戻ること)し、のちに重度の病気であることを宣告されます。
死と向き合う絶望的な状況の中で彼がたどり着いたのは、私たちが日々の生活でいかに「自分の思考や感情に振り回されて生きているか」という気づきでした。
タイの僧院長から授かった最もパワフルで、人生を救ってくれたシンプルな言葉。
それが、本書のタイトルにもなっている「私が間違っているかもしれない」という魔法のフレーズです。
私たちは、自分が正しいと信じ込んで、相手をコントロールしようとしたり、自分の思い通りにならないことに怒りを覚えたりします。
しかし、一歩引いて「もしかしたら、私の見方が間違っているかもしれない」と自分に問いかけることで、心のざわつきが嘘のようにスーッと消えていくのです。
本書は、私たちが日々の人間関係やプレッシャーの中で、いかに肩の力を抜いて、自分らしく心穏やかに生きられるかを優しく教えてくれる名著です。
「こうあるべき」を手放す。相手を変えようとする幻想からの解放
それでは、本書の教えをベースに、私たちが実践できる「瞬間反応しないマネジメント」のポイントをいくつか見ていきましょう。
まず一つ目は、「誰かに対して『こうあるべきだ』と思ったからといって、その人がその通りの人間に生まれ変わったりすることは絶対にない」という現実を受け入れることです。
私たちは、部下や同僚に対して、ついこんな期待を抱いてしまいます。
「なぜ何度言ったらわかるんだ」
「もっとこう動いてくれるべきだ」
相手が自分の理想通りの動きをしてくれないと、まるで裏切られたような気持ちになって怒りが湧いてきます。
そして、「もっと厳しく指導すれば、あの人は変わるはずだ」と思い込んでしまうのです。
しかし、冷静になって考えてみれば、他人の性格や行動を自分の力で無理やり変えることなど、絶対に不可能です。
どれだけ強く願っても、どれだけ論理的に正論を説いても、人間は他人に変えられるために生きているわけではありません。
相手を変えようと必死になればなるほど、相手は心を閉ざし、自分自身はコントロール不能なイライラに蝕まれていきます。
「相手を変えようとするのをやめること」。
それは諦めではなく、お互いの境界線を尊重するための、とても大切な第一歩なのです。
「この人はこういう個性を持っていて、今の時点ではこういうやり方をするんだな」
まずは、目の前の人の「そのままの姿」をあるがままに受け入れること。
その受容の姿勢こそが、感情的な衝突を防ぎ、穏やかな関係の土台を作ってくれます。
正しさを手放す。完璧を求めないマネジメント
二つ目は、「正しいことが重要なのではない」ということです。
私たちは仕事やマネジメントの場面で、どうしても「自分が正しいこと証明したい」「どちらが正解かをハッキリさせたい」という衝動に駆られてしまいます。
会議で議論になった時や、部下のミスを見つけた時、「私の言う通りにすれば間違いないのに、なぜ分かってくれないんだ」と熱くなってしまうことはありませんか?
しかし、職場の人間関係において、どちらが正しいかを白黒つけることには、実はほとんど意味がありません。
たとえ議論に勝って「自分の意見が正しかった」と証明できたとしても、それで相手との関係がギクシャクしてしまっては、チームとしての成果はむしろ下がってしまいます。
大切なのは、誰が正しいかではありません。
完璧を求めず、「自分はできる限りのことをしている」と考えるようにすることです。
そして同時に、「他の人も同じように、できる限りのことをしている」と信じてあげることです。
あの人がミスをしたのは、サボろうとしたからではなく、その時点でのベストを尽くした結果かもしれない。
思うように成果が出ないのは、能力がないからではなく、本人なりに葛藤しながらも頑張っている途中だからかもしれない。
そうやって、自分に対しても、他人に対しても「この人はこれでも精一杯やっているんだな」という前提に立つこと。
その温かい視点を持つだけで、カッときた瞬間に心のブレーキを踏むことができるようになります。
どんな人でも、人知れず大きな苦しみを抱えている
三つ目は、「どんな人でも、人知れず大きな苦しみを抱えているもの。だから、他人にはいつでも親切にすること」という教えです。
職場で不愛想な態度をとる人や、なんだかいつもイライラしていて攻撃的な同僚に出会うと、「なんだあの態度は」とイラッとしてしまいますよね。
あるいは、自分の指示に全く従おうとしない部下に対して、「やる気がないんだな」と決めつけてしまうこともあるでしょう。
しかし、私たちが普段接しているその人の姿は、ほんの一面でしかありません。
見えていないところで、その人は家庭の事情で深刻な悩みを抱えているかもしれないし、自分の能力の限界に直面して夜も眠れないほど苦しんでいるかもしれないのです。
誰もが、心の中に誰にも言えない傷や、重荷を抱えながら毎日を必死に生きています。
それは部下であっても、上司であっても、あるいは家族であっても同じことです。
「あの人も、きっと今、自分なりの戦いをしている最中なんだ」
そう想像力を働かせることができれば、相手のトゲのある言葉や冷たい態度に、感情的で瞬間的な反応を返すことがなくなります。
いつでも誰にでも、優しさや親切心を持って接すること。
それは相手のためだけでなく、自分の心を無用なイライラから守るための、最強の盾でもあるのです。
感謝の魔法。言葉にして伝えることの大切さ
そして四つ目は、「人は、自分がどれくらい周りの人に感謝されているかをよくわかっていないものだ。だからこそ、それを伝えてあげるべきだ」ということです。
私たちは、心の中で「いつも助かっているな」「ありがたいな」と思っていても、それをわざわざ言葉にして伝えることをサボってしまいがちです。
「言わなくても、心の中で思っていれば伝わるだろう」
「大人なんだから、それくらい察してほしい」
そんなふうに思っていませんか?
でも、人間はそこまでエスパーではありません。
自分がどれだけチームに貢献できているか、周りから必要とされているかについて、ほとんどの人は不安を抱えながら生きているものです。
だからこそ、意識的に「ありがとう」を言葉にして伝えることが大切です。
「先日の資料作成、すごく助かりました。ありがとう」
「いつも真摯に向き合ってくれて、本当に心強いよ」
そんなちょっとした感謝の言葉をかけられた時、人は「自分のことを見ていてくれたんだ」「この人のためにまた頑張ろう」と、内側から温かいエネルギーが湧き上がってくるものです。
感謝をケチらずに、どんどん言葉にして伝えていくこと。
それは、ギスギスしがちな人間関係を一瞬で和らげ、チーム全体の空気感を温かく変えていく最高のマネジメント手法です。
「私が間違っているかもしれない」を心のお守りに
いかがでしたでしょうか。
今回は、ビョルン・ナッティコ・リンデブラッドさんたちの著書『私が間違っているかもしれない』から、会社のマネジメントや日々の人間関係に活かせる「瞬間反応しないヒント」についてお話ししてきました。
誰かを自分の思い通りに変えようとしないこと。
正しさを主張するのではなく、「自分も他者もできる限りのことをしている」と信じること。
誰もが人知れず苦しみを抱えていると想像し、いつでも親切にすること。
そして、日頃の感謝を惜しみなく言葉にして伝えること。
どれも特別な資格や才能が必要なことではありません。
今日から、日常生活のほんの小さな瞬間に、思い出してみるだけで実践できることばかりです。
カッときたり、イライラしたり、誰かの言動にモヤモヤした時。
心の中で、そっとこの言葉を唱えてみてください。
「もしかしたら、私の見方が間違っているかもしれない」
その一呼吸が、あなたを瞬間的な感情の波から守り、スマートで温かいリーダーシップへと導いてくれます。
完璧じゃなくていい。
あなたも、あなたの周りの人たちも、今日もそれぞれに一生懸命生きているのだから。
どうか肩の力を抜いて、あなたらしい温かいペースで、明日からも人と向き合っていってください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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