心理的安全性の高い職場をつくるリーダー像 ~最高のチームを育むために~

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皆さん、こんにちは!日々の仕事の中で、「このチームなら安心して発言できる」「失敗を恐れずに挑戦できる」と感じたことはありますか?そのような感覚こそが、チームのパフォーマンスを最大限に引き出す鍵となる「心理的安全性」です。

今回のテーマは、まさにその「心理的安全性の高い職場をつくるリーダー像」です。心理的安全性がチームにもたらす効果、それを阻害する要因、そして何よりリーダーがどのように行動することで心理的安全性を育むことができるのかについて、詳しく解説していきます。この記事を通して、あなたがリーダーとして、あるいはチームの一員として、より良い職場環境を築くためのヒントを得ていただければ幸いです。

この記事は、『だから僕たちは、組織を変えていける』斉藤徹(著)を参考に書かせていただきました。

心理的安全性とチームの成果 ~最高のパフォーマンスを引き出す鍵~

「心理的安全性」とは、「チームにおいて、対人関係のリスクを取ることは安全であるという共通認識」のことです。つまり、チーム内で発言したり、質問したり、新しいアイデアを提案したり、あるいは失敗を認めたりすることに対して、否定的な評価や報復を恐れることなく、安心して行動できる状態を指します。

近年、数多くの研究によって、心理的安全性の高いチームは、そうでないチームに比べて、学習意欲が高く、創造的なアイデアが生まれやすく、結果として高い成果を出すことが明らかになっています。

心理的安全性が高いチームでは、メンバーは自由に意見を交換し、建設的な議論を交わすことができます。失敗を恐れずに挑戦し、そこから学ぶことができます。このような環境こそ、チームの潜在能力が最大限に発揮され、最高のパフォーマンスに繋がるのです。

チームの心理的安全性を崩す4つの思考 ~リーダーが陥りやすい落とし穴~

チームの心理的安全性に最も影響力を持つのは、チームのリーダーです。リーダーの言動は、チーム全体の雰囲気を大きく左右し、心理的安全性を高めることも、逆に崩してしまうこともあります。ここでは、リーダーが陥りやすい4つの思考パターンについて解説します。

  1. 完璧主義: リーダーが完璧主義に陥っていると、メンバーはミスをすることを極度に恐れるようになります。些細なミスでも厳しく叱責されたり、完璧な結果を求められすぎたりすると、新しいことに挑戦する意欲を失い、萎縮してしまいます。「自分がミスをしたらどう思われるだろうか…」という不安が常に付きまとうため、自由な発想や積極的な行動が阻害されてしまいます。
  2. コントロール欲求: 全てを自分のコントロール下に置こうとするリーダーは、メンバーの自主性を奪い、心理的安全性を損ないます。細かい指示や過度な監視によって、メンバーは自分の意見や判断を表現する機会を失い、指示待ち人間になってしまう可能性があります。「自分が決めた通りに動けば問題ない」という考え方が蔓延し、チームとしての創造性や柔軟性が失われてしまいます。
  3. 過度の所属欲求: 「チームの一体感」を過度に重視し、異論や反対意見を許さないリーダーは、心理的安全性を崩してしまう可能性があります。「みんなと同じ意見でなければならない」「空気を読んで行動しなければならない」という同調圧力によって、本音を言えなくなり、表面的な関係に終始してしまうことがあります。
  4. 犯人捜しの本能: ミスや問題が発生した際に、原因究明よりも犯人捜しに走るリーダーは、チームの心理的安全性を大きく損ないます。「誰のせいだ?」「責任者は誰だ?」と追及するばかりでは、メンバーはミスを隠すようになり、真の原因が見えなくなってしまいます。また、「自分が責任を追及されるかもしれない」という恐怖から、新しいことに挑戦することをためらうようになります。

これらの思考パターンに陥っていないか、リーダー自身が常に自己を内省し、意識的に改善していくことが、心理的安全性の高いチームを作るための第一歩となります。

エイミー・エドモンドソンが提唱するリーダーの行動 ~心理的安全性を育む7つのステップ~

ハーバード・ビジネススクールの教授であるエイミー・エドモンドソンは、長年の研究を通じて、心理的安全性の高いチームを作るためのリーダーの具体的な行動を提唱しています。以下に、その7つのステップをご紹介します。

  1. 直接話のできる親しみやすい人になる: メンバーが気軽に話しかけられるような、親しみやすい雰囲気を作り出すことが大切です。オフィスで積極的に声をかけたり、雑談の時間を設けたりすることで、メンバーとの距離を縮め、信頼関係を築きます。
  2. 現在持っている知識の限界を認める: リーダーが全てを知っている必要はありません。むしろ、自分の知識の限界を認め、メンバーに教えを請うことで、謙虚な姿勢を示すことが重要です。「この分野については、〇〇さんの意見を聞きたい」と積極的にメンバーに協力を仰ぐことで、メンバーの参加意欲を高め、心理的安全性を育みます。
  3. 自分も間違えることを積極的に示す: リーダーが完璧である必要はありません。むしろ、自分が過去に犯した間違いや失敗談を共有することで、メンバーは「リーダーも間違うことがあるんだ」と安心し、自分も間違いを恐れずに挑戦できるようになります。
  4. 参加を促す: 会議やミーティングなどで、発言を控えているメンバーがいれば、「何か意見はありますか?」「この点についてどう思いますか?」と積極的に質問し、参加を促します。全員が意見を出しやすい雰囲気を作ることで、多様な視点からのアイデアが生まれやすくなります。
  5. 失敗は学習する機会であることを強調する: ミスや問題が発生した際には、犯人捜しをするのではなく、「なぜこのようなことが起こったのか」「どうすれば再発を防げるのか」という視点で議論します。失敗を責めるのではなく、学びの機会と捉える姿勢を示すことで、メンバーは安心して新しいことに挑戦できるようになります。
  6. 具体的な言葉を使う: 抽象的な言葉ではなく、具体的な言葉で伝えることで、誤解を防ぎ、意図を正確に伝えることができます。「頑張って」といった曖昧な表現ではなく、「〇〇の部分はよくできている」「〇〇の点を改善するとさらに良くなる」といった具体的なフィードバックを心がけます。
  7. 境界(規範)を設け、その意味を伝える: チームとして守るべきルールや行動規範を明確に定め、その意味や目的をメンバーに丁寧に説明します。例えば、「会議では批判的な言葉を使わない」「他人の意見を尊重する」といった規範を設け、なぜそれが重要なのかを共有することで、メンバーは安心して行動できるようになります。

リーダーのイメージの変化 ~「強いリーダー」から「弱さを見せるリーダー」へ~

これまでは、「リーダーは強くあるべき」「弱みを見せてはいけない」というイメージが支配的でした。しかし、現代社会において、そのようなリーダーシップはもはや通用しなくなってきています。

変化の激しい現代社会では、リーダー一人で全てを把握し、判断することは不可能です。むしろ、メンバーの多様な知識や経験、アイデアを結集し、チームとして最適な解を見つけ出すことが求められます。

そのためには、リーダーは悩みや弱みも含めた「素の自分を見せる勇気」を持つことが重要です。完璧なリーダー像を演じるのではなく、人間味あふれるリーダーシップを発揮することで、メンバーとの信頼関係を深め、心理的安全性の高いチームを作ることができるのです。

仕事の意味を考えることの重要性 ~内発的動機を高める~

チームの成果を高めるためには、心理的安全性だけでなく、メンバーが仕事に「意味」を見出しているかどうかも重要な要素です。

ピーター・ドラッカーの「3人の石工」のたとえ話は、仕事に対する意味づけの違いが、仕事への取り組み方や満足度に大きな影響を与えることを示唆しています。

  • 1人目の石工(ジョブ): 生活のためだけに働いている。仕事は単なる生活の手段。
  • 2人目の石工(キャリア): 自分の技術を磨き、キャリアアップを目指している。仕事は自己成長の手段。
  • 3人目の石工(コーリング): 大聖堂を建てるという使命感を持って働いている。仕事は自己実現の場であり、喜びの源泉。

経営学者のエイミー・レズネスキーは、この考え方を「3つの仕事観」として体系化しました。

心理学の研究からも、「外的な目標(お金、地位)」よりも「内的な目標(成長、貢献)」を持つ人の方が、幸福度が高いことが分かっています。

リーダーは、メンバーが仕事に意味を見出せるようにサポートすることで、内発的な動機を高め、エンゲージメントを高めることができます。

具体的な行動例 ~新しいリーダーシップを実践する~

これらの新しいリーダー像を具体的な行動に落とし込むと、以下のようになります。

  • 会議での発言を促す: 会議で発言を控えているメンバーがいれば、「何か意見はありますか?」「この点についてどう思いますか?」と積極的に質問し、発言を促します。特に、内向的な性格のメンバーや、経験の浅いメンバーに対しては、丁寧に声かけを行い、安心して発言できる雰囲気を作ることが大切です。
  • 失敗を許容する: メンバーがミスをした際には、感情的に叱責するのではなく、「なぜミスが起こったのか」を一緒に分析し、再発防止策を考えます。ミスを責めるのではなく、学びの機会と捉える姿勢を示すことで、メンバーは安心して新しいことに挑戦できるようになります。
  • 仕事の目的を共有する: チームの仕事が組織全体の目標にどのように貢献しているのか、社会にどのような影響を与えているのかを、具体的な事例やデータを用いて説明します。メンバーが自分の仕事が単なる作業ではなく、意味のある活動の一部であることを理解できるようにします。
  • 個々のキャリア目標をヒアリングする: メンバーと個別に面談を行い、キャリア目標や将来の希望をヒアリングします。仕事を通してどのような成長を遂げたいのかを理解し、その実現をサポートするための具体的な計画を一緒に立てます。
  • フィードバックを積極的に行う: 定期的にフィードバックを行い、メンバーの強みや改善点を伝えます。一方的な評価ではなく、成長を促すための建設的なフィードバックを心がけます。良い点だけでなく、改善が必要な点も伝える際には、相手の気持ちに配慮し、具体的な事例を挙げて説明することが大切です。
  • 感謝の気持ちを伝える: メンバーの貢献に対して、感謝の気持ちを伝えることを忘れないようにします。「ありがとう」「助かりました」といった言葉だけでなく、具体的な行動や成果を褒めることで、メンバーのモチベーションを高める効果があります。例えば、「〇〇さんが作成してくれた資料のおかげで、プレゼンがうまくいきました。本当に助かりました。」といった具体的な言葉で感謝を伝えることで、相手に気持ちが伝わりやすくなります。
  • 多様な意見を歓迎する: 異なる視点や意見を積極的に歓迎し、議論を深めることで、より良い解決策を見出すことができます。「違う意見も聞かせてください」「〇〇さんの視点は面白いですね」といった言葉で、多様な意見を尊重する姿勢を示すことが大切です。
  • ワークライフバランスを支援する: メンバーが心身ともに健康な状態で仕事に取り組めるように、ワークライフバランスを支援します。休暇を取りやすい雰囲気を作ったり、残業を減らすための工夫をしたりすることで、メンバーのwell-beingを高めます。

まとめ

今回のテーマである「心理的安全性の高い職場をつくるリーダー像」は、変化の激しい現代社会において、組織が成功を収めるために不可欠な要素です。心理的安全性を育み、仕事に意味を見出すリーダーシップは、チームの可能性を最大限に引き出し、メンバー一人ひとりが生き生きと働ける環境を創り出します。

従来のトップダウン型のリーダーシップは、もはや時代遅れです。これからのリーダーは、指示命令で部下を動かすのではなく、メンバーの成長を支援し、チーム全体の力を引き出すファシリテーターとしての役割を担う必要があります。

心理的安全性の高いチームでは、メンバーは自由に発言し、挑戦し、失敗から学ぶことができます。このような環境こそ、創造性やイノベーションが生まれやすく、最高のパフォーマンスに繋がるのです。

また、メンバーが仕事に意味や目的を見出せるようにサポートすることも、リーダーの重要な役割です。仕事が社会や組織にどのように貢献しているのかを伝え、メンバーのモチベーションを高めることで、より高い成果に繋げることができます。

新しいリーダー像は、一言で表すと「サーバント・リーダーシップ」に近いと言えるかもしれません。メンバーに奉仕し、彼らの成長を支援することで、チーム全体のパフォーマンスを高めるリーダーシップです。

この情報が、あなたの組織におけるリーダーシップ開発の参考となり、より良いチーム作り、ひいては組織全体の発展に貢献することを心から願っています。

「仕事の意味」に関して詳しく知りたい方は、『だから僕たちは、組織を変えていける』斉藤徹(著)、『マネジメント』ピーター・ドラッカー (著)を手に取ってください。

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最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

背伸びしない等身大の経験とアイディアのコラムも書いています。
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