ふと街を歩いていて、素敵なポスターを見かけたり、おしゃれなカフェのインテリアに目を奪われたりすることはありませんか?
「あの人には、生まれ持ったセンスがあるからうらやましいな」
「自分には、デザインやクリエイティブな才能なんて到底ないよな」
そんなふうに、自分と誰かを比べてため息をついてしまったことはありませんか?
でも、どうか安心してください。
センスというのは、決して一部の特別な人だけに与えられた才能ではありません。
今日は、そんな思い込みを優しくほぐしてくれる素敵な一冊をご紹介します。
アートディレクターとして第一線で活躍されている秋山具義さんの著書『こうやって、センスは生まれる』です。
この本から学べる「疑問をセンスに変えるトレーニング法」をヒントに、あなたの日常を少しずつ面白く、彩り豊かなものに変えていく方法を一緒に見ていきましょう。
『こうやって、センスは生まれる』とはどんな本か?
今回ベースにするのは、秋山具義さんの著書『こうやって、センスは生まれる』という本です。
著者の秋山さんは、数々の有名な広告やパッケージデザイン、話題のプロジェクトを手がけてきた超一流のクリエイターです。
「センスが良い人」と聞いて、私たちはどうしても、洗練されたデザインをパッと作り出せる人や、生まれ持った美的感覚が優れている人を思い浮かべがちですよね。
しかし、秋山さんは本書の中で、センスの本質は「特別な才能」ではなく、日常のなかにある「違和感を見逃さずに深掘りする力」だと教えてくれます。
私たちは毎日、同じような景色を見ながら、同じようなルートで通勤や買い物をし、決まりきったルーティンの中で生きがちです。
それは脳のエネルギーを節約するうえではとても便利なことなのですが、同時に「世界に対する感度」を少しずつ鈍らせてしまいます。
『こうやって、センスは生まれる』は、そんな私たちが日々の生活の中で錆びついてしまった感度をもう一度ピカピカに磨き上げるための、いわば「思考の筋トレ本」なのです。
特別な道具も、芸術的な技術もいりません。
今日から、今いる場所ですぐに始められるヒントが詰まっています。
センスを磨くとは、「見慣れたものを初めて見るように捉える」こと
では、そもそも「センスを磨く」とはどういうことなのでしょうか。
秋山さんの言葉を借りるなら、それは「見慣れたものを、まるで初めて見るように捉える訓練」のことに他なりません。
私たちは、一度知った気になったものに対して、それ以上深く考えなくなります。
「電柱なんてどこにでもある」「スマホの画面なんていつも同じだ」と、頭の中で勝手にラベルを貼ってスルーしてしまうのです。
でも、ちょっと立ち止まってみてください。
その「当たり前」の裏側には、それをデザインした人たちの無数の工夫や、歴史的な背景、人間の心理を計算し尽くしたこだわりが隠されています。
センスがいい人というのは、決して物知りでたくさんのデザイン知識を持っている人のことではありません。
「あれ? なんでここはこうなっているんだろう?」という小さな違和感に気づき、それを面白がって深く掘り下げることができる人のことです。
つまり、センスとは知識の量ではなく、世界を見抜く「感覚の柔軟性」なのだと言えます。
そして、その柔軟性は、才能の有無に関係なく、日々の小さな習慣の積み重ねによって誰でも育てることができるのです。
疑問をセンスに変える3つのトレーニング法
それでは、日常の中でその「感覚の柔軟性」を育てるために、具体的にどんなことをすればいいのでしょうか。
本書で紹介されている「疑問をセンスに変える3つのトレーニング法」を、一つずつ詳しく見ていきましょう。
どれも今日からすぐに試せる、とてもシンプルな方法ばかりです。
トレーニング法①:「なぜこの形?」を問うトレーニング
一つ目のトレーニングは、「なぜこの形?」を問うことです。
私たちは普段、街にあふれる様々なモノやサービスを、ただ漫然と消費しています。
でも、少しだけ視点を変えて、目の前にあるもののデザインや仕組みに疑問を投げかけてみてください。
たとえば、スマホのアプリの配置はどうしてこうなっているのか。
レストランの照明は、なぜあんなにも絶妙な温かみのある明るさに調整されているのか。
町の角にあるポスターは、なぜその高さに、そのフォントサイズで貼られているのか。
「なぜこの形なのか?」
「なぜこの順番なのか?」
そうやって、モノの背後にある意図を想像してみるのです。
もちろん、最初から正しい答えが出なくても全然かまいません。
大切なのは、「なぜ?」と問いかけるその思考の矢印を自分の中に立てることです。
それだけで、いつもの見慣れた景色が、まるで巨大なパズルのように面白く見えてくるはずです。
トレーニング法②:「違和感メモ」をつける
二つ目のトレーニングは、「違和感メモ」をつけることです。
私たちは日常生活の中で、ふと「あれ?」と感じる瞬間に出会うことがあります。
「この看板、なんだかすごく文字が読みづらいな」
「この自動販売機のボタン、押したときの感触がすごく気持ちいいな」
「このお店の導線、なんだかすごくスムーズで居心地がいいな」
そんな、日常のなかのほんの小さな「違和感」や「引っかかり」を、私たちはすぐに忘れてしまいます。
忙しい日々に流されて、せっかくの心の動きをスルーしてしまうのですね。
でも、その「あれ?」と感じた瞬間こそが、センスを磨くための最大のチャンスなのです。
違和感をスルーせずに、その場ですぐにスマホのメモアプリを開いて書き留めてみましょう。
「何か変だな」「なんだか心地いいな」と思った理由を、自分の言葉で思考を止めずにそのまま書き出す。
その習慣を続けることで、自分のなかの「感じ取る力」がぐんぐん強化されていきます。
後から見返したとき、それはあなただけの貴重な「感性の宝箱」になっているはずです。
トレーニング法③:「子供の質問を再現する」
そして三つ目のトレーニングは、「子供の質問を再現する」ことです。
私たちは大人になるにつれて、「そんなの当たり前だよ」と言って、物事の仕組みや現象を深く考えなくなってしまいます。
でも、幼い子供たちは違いますよね。
「なぜ空は青いの?」
「なぜ夜は暗いの?」
「なぜ人は笑うの?」
「なぜお腹が空くの?」
子供たちが発するそんな素朴な疑問の数々は、大人が忘れてしまった世界の真理や不思議に真っ直ぐ切り込んでいます。
この、子供のような素朴な疑問をもう一度自分の中に再現してみるのです。
「大人だから知っていて当たり前」で片付けず、「そもそもこれってどういうことなんだろう?」と初心に戻って考えてみる。
この純粋な好奇心こそが、世界を作り直すための「思考の原石」となります。
常識や既成概念にとらわれず、まっさらな目で世界を眺め直すこと。
それこそが、凝り固まった頭を柔らかくほぐし、あなたの中に眠るセンスを目覚めさせる最強のトレーニングなのです。
「どうして?」の小さな習慣が、世界を新しくする
いかがでしたでしょうか。
今回は、秋山具義さんの著書『こうやって、センスは生まれる』から、疑問をセンスに変える3つのトレーニング法をご紹介しました。
「なぜこの形なんだろう?」と問いかけること。
日常の小さな違和感をスマホにメモすること。
そして、子供のように素朴な疑問を大切にすること。
どれも難しい技術は必要ありません。
お金をかけることも、特別な勉強を始める必要もありません。
ただ、「どうして?」と世界に向かって目を凝らす、ほんの小さな心のあり方の違いだけです。
センスとは、知識の量でも、デザインの技術の高さでもありません。
世界を見抜く「感覚の柔軟性」であり、日々の暮らしの中で「おっ」と心動かす瞬間を愛する姿勢そのものです。
私たちは誰しも、自分の日常を自分の手で新しく彩る力を持っています。
忙しい日々の合間に、ほんの少しだけ立ち止まってみてください。
見慣れた街並みや、いつも使っている道具のなかに隠された面白さに気づけた時、あなたの毎日はもっともっと愛おしく、自由なものに変わっていくはずです。
どうか焦らず、あなたらしいペースで、日々のなかの「小さな違和感」を楽しんでみてください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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